DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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凱旋→パレード→お家騒動→脅し→そして祝賀会…何、この順序?
よく考えたら、偉業を為し得たんだよね…私達って!
ラダトームの町に入って初めてその事に気が付きました。
すんごいの人が…ワラワラ群がってきやがって…
こっちはさっさとお城へ行って、アルルパパのラブラブトラブルを見学したいのに。
ちっとも進めやしないわ!
随分と時間が経過してから近衛隊が迎えに来て、やっと進める様になりました。
両サイドに人垣が出来、まるで一大パレードみたいで楽しかったです。
…にしても、近衛隊の登場が遅すぎませんか!?
町中の人が入口付近に集まってしまってるのに、行動が遅いと思います!
なんとかお城に辿り着いても…
今度はメイド共が群がってきます!
お前等仕事しろよ!
でも全員がオルテガさんに集まる為、お父さんとウルフが羨ましそうに指をくわえて眺めてるんですよ。
きっと…いえ、100%全員喰っちゃい済みなのだから、羨ましがるんじゃないつーの!
特にウルフ!!貴方には私が居るでしょ!!
まぁ、そんなこんなで辿り着きました王様のとこへ。
なお、アルルさんがボロボロなのです。
他の皆はそれ程では無いのですけど、アルルさんだけがボロボロのヨレヨレなのです。
何故かというとね…
ハイエナの様に群がるメイド群から、愛しのダーリンを奪還する為、アメリアさんがとった行動が、母娘フォーメーションなのです。
具体的に言うと、“協力”への同意を得ていないにも拘わらず、ママさんが娘さんを盾にして、メイド群へ突撃突破してダーリン奪取するという、画期的かつ斬新で開いた口が塞がらない作戦を実行したからなんですね。
ダーリン奪取した際は、硫黄島占領時に旗を立てた兵隊さん達の様に、独占物である事を誇示するディープで濃厚でアダルティーな“ちゅー”を披露するアメリアさん。
因みに、今作戦の参謀長はマイママです。
「よくぞ戻った勇者アルルとその一行…そして勇者オルテガよ!」
先程の“旦那奪還大作戦(DDD)”に思いを馳せていると、嬉しそうなラダトーム王が話しかけてきた。
まぁ、世界も平和になり、太陽を拝む事が出来たのだから“ゴキゲン”でしょうね。
尤も…王様ゴキゲン状態には、もっと別な理由が存在すると私は思います…つーか、此処にいる全員が思っておりますよ。
だって王様も隣に、ニコニコのお姫様が立ってますからね。
えぇ、アレです!
もてる男は辛いヤツです!
さてさて…どんなウルトラCを決めてくれるのか…すんっごく楽しみですぅ♥
「よ、よう…大魔王を倒して…も、戻って来たぜ!」
あははははは、大魔王の前でも不貞不貞しかったオルテガさんが、小太りのオッサンを前に緊張してますわ!
前世だったら、絶対動画撮影するのになぁ…
「オルテガ様…ご無事で何よりですぅ!」
きっとお姫様的には本心から言ってるんだろうけど、このタイミングって最高に最低だよね。
オルテガさんの表情が引きつりまくりよ。
因みに、我がパーティー内の面子を見回すと、概ねオルテガさんを哀れむ目で見ております。
私とお父さんとラン君だけが、心底嬉しそうに…しかも王家の人々とは別の意味で嬉しそうに眺めておりますわ。
「あ~…うん…き、聞いたよ…その…お、お腹の子供の事…」
「はい!私、オルテガ様の子供を授かりました!私…嬉しくって…」
どストレートに言っちゃいやがったよ。
オルテガさんは少しでも言葉を濁そうとしてるのに、お姫様って天然?
「そ、その事で…大切なお話があるんだよね!うん…あるんだよ!!」
「皆まで言うなオルテガ…王位継承者の父親になるのだ…我が王家の一員として迎えようぞ!」
キター!家督相続問題ですよ。
「お、王家の一員!?ば、バカ言うな…俺は平民だ!王族になる気も貴族になる気もサラサラ無い!何より俺には妻がいる。心の底から愛しているアメリアがいるんだ!子供の父親にはなるが、夫にはなれない………申し訳ないローリア…」
「ふ、ふざけるな!ワシの娘を孕ませておいて、その責任を取らないと言うのか!?」
「そ、そうなりまス…」
「そんな事が許されると思っているのか!?」
うん。父親としての意見では、そうなるわね。
「……し、知るか!さっきも言ったろ…俺は既に結婚してんの!ほら、愛しの妻…アメリアだ!」
でもオルテガさんは逆ギレる!
娘を持つ父親として、どうなのよその態度は?
「俺は彼女と結婚してて、娘もいる!そんな2人を守りたいから、単身大魔王討伐に旅立ったんだよ!もう差し違えるつもりで挑んだワケ…だから生きて還るつもりは無かったんだ…」
奥さんと娘さんを抱き締め、切実に訴える姿はちょっと心を動かす…
「娘が仲間を引き連れて俺を追ってきてくれなければ、間違いなくゾーマの城で死んでいただろう…そんな俺に責任を取るつもりなどある訳ねーだろ!死ぬ前に美女達と、やりまくってただけなんだから!」
だけど、本音を暴露っちゃったら全てが台無しだよ。
まぁ私としては面白いから良いけどね。
「私からもお願いします。勇者オルテガは決死の覚悟で挑んだのです…ですから、その覚悟の為のやむを得ない事だったと思って、諦めては頂けませんか?」
王家のお家騒動に口を挟むのはルビスちゃん。
お兄ちゃんの立てた作戦では、精霊神ルビス様の威光を笠に着て、ヤリ逃げを正当化させる予定なのだ…果たして上手く行きますかな?
「な、何だお前は!?関係ない者が口出しするでない!」
「わ、私はルビス…この世界を創造した精霊神ルビスです!」
う~ん…身分をひけらかす女神様…本人もイヤイヤなんだろうけど、観ていて気分の良いもんじゃないわ。
「ル、ルビス……? せ、精霊神ルビス…様!?」
お、皆さん動揺してますわ。
そりゃそうか…この世界の創造主にして全知全能の女神様なワケだし…
“全知全能”?…コイツがぁ~(笑)
「ほ、本当にルビス様ですか!?本物の精霊神ルビス様で在られますか!?」
「はい。大魔王ゾーマの力で石像に封印されておりましたが、アルルの活躍により救出されました。それ以後は彼女等と共に、大魔王ゾーマを討伐する旅へ赴いておりました」
「ルビス様…申し訳ございません、いくらルビス様の命令でも、これだけは認める訳には参りません!事は国家の威信に関わる事…跡取りの親が夫婦でないなどと…あってはならない事なのです!」
王様を始め、家臣の人々も恭しく頭を垂れる…
しかし気持ちは変わらない様で、お姫様と結婚する事を取り消さない王様。
「はい残念ティミー君!お前の作戦は失敗した様だよ」
そうね…これ以上話し合いを行っても平行線でしょうし…お兄ちゃんが立案した作戦は大失敗って事よね。
「くっ…では父さんならどうするんですか!?」
ニヤニヤしながらダメ出しをするお父さんに、悔しながら代案を提示させるお兄ちゃん。
きっと初めから代わりの作戦があるのだろうと私は思いますよ。
「僕?…そんなの簡単。プランBに移行するだけだよ!」
ほらね…
でも、“プランB”って何かしらね?
「「「プランB?」」」
お兄ちゃんとオルテガさんとルビスちゃんが、キレイに声を揃えて聞き返す。
「また適当な事を…」
でもお兄ちゃんは悔しさから、反抗的な台詞を…
「そう…きっと上手く行かないと思ってたから、僕なりの解決方法を考えておいたんだ!」
きっと上手く行かないなんて、酷いわよね…お兄ちゃんが彼女の父親の為に、一生懸命考えた作戦なのに。
でも私も上手く行かないと思ってたわ。
「いくらリュカの頼みでも、この件に関しては口出しはさせん!余計な事を言うでないぞ!」
あ、この王様…お父さんに力押しは効かないのに…
余計厄介な事になるって分からないのかしらね?
「あ゙…口出しぃ~?………ビアンカ、マリー…」
一気に不機嫌な顔と口調になったお父さん…
私とお母さんに目と指で合図を送る。
事前に何も聞いてはいないが、大体予想はつく…
お父さんの指が、王様の右側の人の居ない所を指す。
だから私は、威力を落としたイオラを、その方向に向かって放ちます。
壁に大きな穴を開け、風通しを良くしました。
お母さんの方を見ると、私とは逆の壁に掛けられていた絵やカーテン類を、ご自慢のメラミで灰にします。
あ、一応断っておきますけど、死傷者は0ですよ。
「一つ聞く…ラダトーム国王、お前は僕の親友であるオルテガの敵か?」
この状態を見せられて『敵』と言うヤツが居れば、そいつは絶対に大馬鹿だ。
ナールだったら言うかもしれないわね。
「自らの命も省みず、世界の危機を救う為、単身旅立ったオルテガに対し、責任問題を持ち出して、彼の自由意志を奪うのであれば、キサマは僕の敵と見なす!」
ドラゴンの杖で王様の顔をグリグリしながら脅す、この素敵紳士は私のお父さんです!
「ま、まぁ待て………べ、別にオルテガの自由意志を奪うつもりなどない…ただ、娘を孕ませたのだから、責任を取って…ぐは!」
ダメよ王様…脅しモード(やくざモードとも言う)の時のお父さんに正論を言っても、余計怖い目に遭うだけなのよ。
胸ぐらを掴まれ、軽々と持ち上げられる王様…可哀想に(笑)
「理解して無いようだから教えてやる。キサマらが国家の威信と総力をかけても倒せなかった大魔王を倒したのは、今此処にいる僕等なんだぞ!キサマら国家より強い僕等が、何故キサマらに従わねばならないんだ?キサマら全員を殺して、僕等で新たなる国家を創り上げたっていいんだぞ!精霊神ルビスは僕等の味方だし、敵対するキサマらなんぞ物の数ではないのだから…」
嘘ね!
お父さんがそんなめんどくさい事を進んでやるとは思えないわ。
まぁ…連中には分からないだろうけどね。
「わ、分かった!ワシ等はお前等の敵ではない!ほ、本当だ…信じてくれ!!」
「ほう………言っておくが、中立も敵と見なすぞ…」
王様必死(笑)
2メートル程持ち上げられた状態で、半ベソかいて命乞いしてるわ。
「み、味方だとも!オルテガを始め、お前等皆ラダトーム王家とは味方だ!」
言質取ったね!
家臣の皆さんも、一斉に頷き敵対心が無い事をアピってます。
「う、生まれ来るワシの孫の父親として、ラダトームで暮らしてくれれば文句はない!そ、そうだろローリア!?」
「はい、お父様!私はオルテガ様がお側に居て下されば、他に何も望みません!」
よし、一件落着よね!
「どうよ…納得させたゼ!ワイルドだろ~」
王様を投げ捨て、私とお母さんの肩を抱きながら皆さんの下に戻るお父さん…うん、ワイルドですぅ!
「何が『プランB』ですか…脅しただけじゃないですか!」
「プランBの『B』は『暴力に訴える!』の『B』だ!」
おぉ…偽り無いじゃん!
「………か、母さんもマリーも、あんまり父さんの馬鹿な行動に付き合わないでくださいよ!」
「あらティミー…馬鹿だけど正しいわよ」
「そうよお兄ちゃん!極めつけの馬鹿だけど、お父さんは正しいのよ!」
非常識な父親と、それに同調する母妹にガックリと項垂れるお兄ちゃん…でも、
「…ふふ…ふふふ…あはははは!」
同じ気持ちのお兄ちゃんは、我慢出来ずに笑い出す。
そしてリュカ菌に毒された私達は、みんなして笑い出します。
まぁ、ルビスちゃんだけは苦笑いだけどね。
それでも王家の人々及び家臣等には、恐ろしい存在として映るでしょうね。
「あ、あのー…世界が平和になった事だし…国を挙げての祝賀会を催そうかと…思ってるんだけど…どう?」
少し脅えながら王様が宴を提案してきた。
本当はお姫様の婚約パーティーとして用意していたのだろうけどね。
「祝賀会ぃ~………」
でもお父さんは不機嫌な声で渋り出す。
何でよ!?
「う、宴を提案して不機嫌になられたのは初めてだ!」
「だって…大丈夫なの?飲み物に睡眠薬を入れたりとか…嫁を攫ったりとか…そう言うのしない?」
どんだけトラウマよ!?
後書き
さぁ、あとちょっとで完結です!
バレンタインデーまでには完結させるよ!
出来なかったら………メンゴ!
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