始皇帝の目
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第二章
「本当にな」
「見ただけですね」
「それだけだよ、それでな」
劉邦はさらに言った。
「男はああならないとってな」
「思われただけですか」
「あの時はな」
「そうでしたか、何でもです」
家臣は劉邦にこうも話した。
「始皇帝の目は青くて髪や髭は赤かったとか」
「ああ、そんな話あるな」
劉邦もそれはと返した。
「わしも聞いたことがあるぞ」
「珍しいですよね」
「ああ、この国だとな」
「漢でも」
「漢でも他の国でもな」
「中原や南にある国はですね」
「大抵黒い目で黒い髪や髭だからな」
そうした外見でというのだ。
「かく言うわし等もそうで」
「そうなっていて」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「青い目とか赤髪とかな」
「髭もですね」
「西から来た奴等の特徴だな」
「そうですよね」
「あっちから来た連中はな」
「匈奴にもいますね」
「そうした外見の奴もいるな」
青い目や赤い髪の毛や髭のというのだ。
「漢にもいることにはいる」
「西から来た連中に結婚した連中が」
「それで秦はな」
その始皇帝の国である。
「西にあるからな」
「西から来た連中も多いですね」
「だからな」
それでというのだ。
「始皇帝もな」
「西の連中の血を引いていますか」
「あの人の家にもな」
「そうですか」
「わしは見ていないぞ」
劉邦はこのことは断った。
「始皇帝は見たけれどな」
「目や髪の色はわかりませんでしたか」
「髭もな」
そちらの色もというのだ。
「車の中にいるのを車の窓から遠目で見ただけでな」
「そこまではですね」
「見てもわからなかった、車の中は日が差してなくて結構暗かったしな」
このこともあってというのだ。
「本当にな」
「そこまではですね」
「ああ、しかしそうした話は聞いている」
「そうなんですね」
「それで秦は西にあったからな」
またこのことを言うのだった。
「だからな」
「それで、ですね」
「西から来た連中の血を引いていてもな」
「おかしくないですね」
「あそこは昔から西から人が来てただろ」
「周が西にあった頃から」
「そうだったしな」
それでというのだ。
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