アフリカ系が活躍して

「もうな」
「はい、絶対に」
「ミセリみたいなのはいいですよ」
「今年も開幕前にいましたけれど」
「辞めたのが」
「そういう奴じゃなかったらな」
　それならというのだ。
「いいだろ」
「阪神でもいましたしね」
「グリーンウェルっていう凄いのが」
「あいつ何だったんですかね」
「国際詐欺ですよね」
「あんなのじゃなくてな」
　若い後輩達にさらに言った。
「活躍するんだったら人種関係ないだろ」
「全くですね」
「人種の問題じゃないです」
「どういった選手か」
「活躍してくれて人柄もいいか」
「そうだよ、人種なんて関係あるものか」
　照治は言い切った。
「活躍するかどうかだ」
「全くですね」
「そういうことですよ」
「活躍してくれたらいいですよ」
「人種に関わらず」
「そういうことだ、本当にそれ次第だ」
　照治の考えは変わらなかった、だが。
　ふと遠い目になりだ、こんなことも言った。
「昔は俺は近鉄ファンで阪急も好きだったけれど」
「今はないですね」
「どっちのチームも」
「そうなっちゃいましたね」
「藤井寺も行ってな」
　この球場もというのだ。
「ブライアントもブーマーも応援した」
「そアフリカ系の」
「どっちも凄い助っ人でしたね」
「あの人達をですね」
「そうしたよ、あの時思ったよ」
　子供の頃のこと思い出しつつ話した。
「活躍してくれるなら人種は関係あるか、何でこの人達が差別されるんだってな」
「ですよね、本当に」
「あんな凄い人達を見てですよ」
「差別も何もないですよ」
「そうだよな、本当に」
　微笑んで頷いた、そして休憩時間が終わると仕事に戻った。そして若い後輩達と充実して働くのだった。


アフリカ系が活躍して　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２４・１１・２０