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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその四十七

「僕は人を無理に好きになろうとしません」
「それで嫌うと全否定に走るのね」
「そうなります」
「人を好きになるのは自然なのね」
 新一君の場合はです。
「そうなのね」
「はい、あくまで」
「それで嫌うとなると」
「こっちも自然です」
「無理して好きになろうと思わないで」
「嫌うになろうともです」
「というか新一君の場合は」
 考えてみるとです。
「好きになったらその人の全部が好きになるわね」
「全肯定ですね」
「そして嫌うと逆に」
「坊主憎けりゃ袈裟までなんです」
「そうよね」
「その人もですし」
 また長池先輩を見て言いました。
「好きな部分ないです」
「外見も?」
「はい、凄いブスだって」
 ご本人を見て言います、つくづく嫌いな相手には何でも言う子だと思いました。どうしてものやらです。
「その性根から」
「完全に駄目出しね」
「嫌いですと」
「それでも前よりはましよね」
「それで今も少しずつです」
 先輩を見ながら言いました。
「嫌いじゃなくなってます」
「じゃあ一緒にひのきしんしていいのね」
「僕もそう思います」
「そうなったらって思ってたけど」
 新一君が先輩についてわかってくれることがです。
「そうなってよかったわ」
「先輩としてもですね」
「ええ、しかし新一君の欠点ね」 
 この癖性分はです。 
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