神々の塔
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第八十八話 主その四
「しかしそれを科学的に突き止めるとな」
「間違いよね」
「知能指数は人種で決まると言った奴がおった」
二十世紀末のアメリカにおいてだ。
「しかし白人が一番やったか」
「ちゃうかったのよね」
「アメリカではアジア系アメリカ人の方がや」
「白人より知能指数が高かったのよね」
「世界各国で統計を取ってもな」
「アジア系の国家が最上位を独占してるわね」
「そや、しかしな」
リーはそれでもとだ、アレンカールに話した。
「そんなのは個人の努力でや」
「どうにもなるものよ」
「運動神経でもな」
こちらのこともというのだ。
「よく黒人が凄いというけどな」
「それも訓練次第でね」
「どうでもなる」
「そんなものよね」
「結局は本人の努力次第や」
「人種に優劣はないわね」
「環境や訓練でな」
それ次第でというのだ。
「どうでもなる、この世界やと種族でもや」
「それぞれで能力がちゃうけど」
「本人の努力次第でどうでもなる」
「その程度の違いしかないわね」
「そや、種族の違いもそんなものでや」
人の間のそれもというのだ。
「人種間の違いなんてな」
「もっとよね」
「何でもないわ」
「そんなものよね」
「白人至上主義なんて何の科学的根拠もない」
「科学的に調べれば間違いだってわかるわ」
「そんなものでしかないわ」
リーは馬鹿にしきった口調で言い切った。
「そんなこと言う奴はな」
「それだけでアホの証明ね」
「まあ何でもないわ」
「何か術が使えん奴は屑とか言う奴おったからな」
中里は冷たく言った。
「僕は小指一本で術を使わんでや」
「倒したのね」
「ぎったんぎったんにして全裸にしてな」
そうしてというのだ。
「両手両足引き千切ってな」
「小指一本でそうして」
「ついでに目も耳も喉も潰してや」
そのうえでというのだ。
「晒したったわ」
「差別主義者に容赦したら駄目ね」
「白人至上主義もこの世界におったら」
「そうしていたわね」
「ついでに全財産没収や」
中里は笑って話した。
「犯罪者には微塵も容赦せんのが十星連合や」
「ほんまそうよね」
「それで差別主義者もな」
「容赦することはないわね」
「そいつは魔法学校の生徒やったが」
十星連合にあるそうした学校のというのだ。
「しかしな」
「そうしてやったのね」
「学校全体でそうした奴が多かったが」
「全員そうしたったのね」
「ついでに退学にしたったわ」
中里は笑ったまま話した。
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