ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
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第18話:銃弾とヤイバ
前書き
現場に駆け付けたディケイド一行はG3ユニットと共に戦うことになった。
ディケイドと歌舞鬼は魔化魍を、G3三人組はアンノウンを撃破。
残るワームを前に現れたのはネオライダーの二人であった。
突如現れたネオライダーのサソードとドレイク。
ディケイドと歌舞鬼にはサソード、クウガとサガにはドレイクがそれぞれ襲い掛かっていた。
サソードはサソードヤイバーを振るい、ドレイクはドレイクゼクターによる射撃で応戦していた。
「オラオラオラ!」
「えいえいえいっと!」
サソードの巧みな剣術でディケイドと歌舞鬼の攻撃を捌きながら剣劇をぶつけ合い、対しドレイクは連射による弾幕でクウガとサガを牽制していた。
ディケイドはライドブッカー・ソードモードを用いて、サソードヤイバーをぶつけ合う。
ディケイドは鍔迫り合いを繰り広げながらサソードに訊ねた。
「さっきの怪人どもはお前達の連れか?」
「まあな、怪人達をお前らのような奴らから守るのもネオライダーの仕事だ!」
「ハッ、人を襲う怪人達を守るって聞いたことがないな!」
ぶつかりあうディケイドとサソードは、一歩も引かず刃をぶつけ合う。
そこへ歌舞鬼がディケイドへ向けて叫んだ。
「おい、避けろ!」
「おっと……!」
「地竜・陣円舞!」
歌舞鬼が音叉刀を地面を削るように振るって扱う技を使って、ディケイドと取っ組み合うサソードへ飛ばした。
ディケイドは咄嗟に避け、サソードはサソードヤイバーで防ぎながらもその攻撃を受けた。
マスクドフォームによる分厚い装甲によっていくつか威力は軽減されたが、それでも効いたのかサソードは装甲に受けた傷を見ながら呟いた。
「なるほど、ライダーとしての力とは別に自分自身の剣技があるとはな」
「チッ、分厚い分技の威力が半減されたか」
「ディケイドも油断できないが、お前の剣は重みが違う……だったら!」
サソードは上半身の装甲に通っているチューブの触手を展開させ、それを用いてディケイドを捕縛する。
ディケイドは脱出しようと藻掻くが、間髪いれずにサソードゼクターの尾を押す形で操作する。
「キャストオフ!」
【CAST-OFF】
【CHANGE-SCORPION】
「なっ!? 身動きが!?」
サソードはディケイドにチューブを纏わせた状態のままキャストオフした。
弾き飛ばされた装甲はディケイドと歌舞鬼に襲い掛かり、さらにディケイドはチューブと繋がった装甲が身体に纏わりつき、身動きが取れなくなってしまう。
重厚な形態と打って変わってスマートな形態となった"サソード・ライダーフォーム"は、歌舞鬼に斬りかかっていく。
「一つ、手合わせ願おうか!」
「たく仕方がねえな……ハッ!!」
ディケイドを助ける暇がないと見た渋々と歌舞鬼はサソードと対峙して剣と剣をぶつけ合った。
一方その頃、クウガとサガはドレイク相手に苦戦を強いられていた。
クウガ・タイタンフォームは近くに落ちていた瓦礫の中にあった鉄屑を拾ってタイタンソードに変えると、自慢の防御力で耐えながら近づいていく。
「おりゃあああ!!」
「甘い!!えいっと!!」
ドレイクはクウガの振り下ろすタイタンソードを軽くかわしながら、クウガへ向けて銃撃を繰り返す。
タイタンフォームの防御力で防がれてはいるが、決して良くない状況なのは目に見えている。
現にドレイクは横から飛んでくるサガのジャコーダービュートによる鞭攻撃をドレイクゼクターの羽根の刃で捌きながら応戦している。
「よっと!」
「ちょっとちょっと、邪魔しないでよ!!」
「生憎とそういうわけにはいかないんだよねー」
「お互い様にね!」
ドレイクは銃口を向け、光弾をサガへと放った。
そのまま光弾が直撃し、火花を散らしながら吹っ飛ばされてしまう。
攻撃を受けたサガを見てクウガが叫ぶ。
「ファイ!」
「君も受けな!クウガ!!」
「くっ!?超変身!」
クウガはドレイクの銃撃を受け切った後、隙を付いてタイタンフォームから姿を変える。
機動力の高いドラゴンフォームへと変わり、ドラゴンロッドによる素早い棒術で応戦を始めた。
突如ネオライダーの参戦により、物陰に避難しながら戦いの様子を見ていた北条と夏海は彼ら二人は騒然としていた。
G3の三人はワーム達の対処に追われ、身動きができない。
苦虫を噛み潰したような顔を向けながら北条は呟く。
「最近の傾向からわかってはいましたが、出てきましたか!」
「士君達、大丈夫でしょうか……」
「私達が心配したところで戦っているのは彼らです。僕らにできることは……」
北条は夏海にそう言いながら、手元にある拳銃に視線を落とす。
対未確認用に調整された装備だが、それでもネオライダーに通じるかどうか怪しい。
それでもないよりはマシだと北条は構えようとする……そこへ、無線機から通信が入る。
相手は一条からだった。
『こちら一条、配置につきました』
「ッ!!一条さん!」
『状況はこちらでも把握している。今すぐ応戦に出る』
通信越しの一条の言葉を聞いて、とりあえず安心した表情を浮かべる北条。
それを見て、夏海は訊ねる。
「そういえば、一条さんっていうあの刑事さん。一体どこに?」
「彼ならいますよ。一緒に戦っていますから」
―――――
ディケイド達がネオライダーと戦っているときに戦っている少し離れたビルの屋上。
そこには一人の仮面の戦士が重火器を構えて狙いを定めていた。
G3に酷似した姿形を持つその仮面の戦士……そのオレンジの複眼で捉えたのは、クウガを追い詰めるドレイクの姿。
銃撃でクウガを追い詰めるネオライダーのボディを狙って、引き金を引いた。
「……!」
ダァン、と銃撃音と共に飛んでいくライフル弾は音速を超えた速度で向かっていき、遠くの地上にいるドレイクのボディへと直撃する。
予想外の狙撃を受け、ドレイクの身体に装甲越しで衝撃が襲う。
「ガッ!?」
「何!?風嵐!!」
「だぁっ!?テメェ!」
怯んだドレイクが視界に入り、歌舞鬼を押しのけて彼女の元へと向かう。
その光景を見て、G3-03の手によってようやくチューブの拘束から助け出されたディケイドは『あの時』の事を思い出す。
「今のは、あの時の……!」
それは幽汽との戦いの時、とどめを刺されそうになった小狼を助けた謎の狙撃。
あの時の狙撃によって小狼は助け出され、撤退することができた。
その狙撃手について気になっていたが、その答えは意外にもG3-03の口から明らかになった。
「G5……一条さんが間に合ったか」
「一条……あの時の刑事が?」
そう思って、ディケイドは仮面の複眼を見て、遠くに立つビルの屋上にいる狙撃手の姿を見る。
そこにいたのは、白と黒を基調としたG3に酷似した姿を持つ仮面ライダー……『仮面ライダーG5』が大型ライフルを構える姿があった。
一条が装着したG5は、大型ライフル"GR-07 ケイローン"を構えて次の狙いを定める。
「……!」
再び引き金を引いて狙い撃つG5。
放たれた弾丸はドレイクを庇うサソード目掛けて飛んでいく……対し、サソードは居合の構えを取った後、【何か】を捉えてサソードヤイバーを抜刀する。
「そこだ!」
一閃。
紫の残光が自分へ飛んできたライフル弾を切り裂き、後方の地面へと着弾する。
その場にいた一同すら目を見開いて驚く業を披露したサソードはドレイクを抱えて遮蔽物のある場所までその身を隠す。
サソードは痛がるドレイクに様子を伺う。
「大丈夫か?」
「いったたたぁ……マスクドフォーム越しでもこれはヤバイわぁ」
「そんな軽口叩けるなら大丈夫だな」
「ちょっと、もう少し心配してよ」
冷たくあしらわれた事に抗議するドレイクを差し置いて、サソードは暫しこの状況をどうするか考える。
元々怪人達の監視役として見ているだけのつもりで来ていたのだったが、G3ユニットの参戦に加えてディケイド達の参戦で怪人達が劣勢に追い詰められたため、戦うことになった。
アンノウンも魔化魍の童子と姫もやられた今、残されたのはサナギのワーム達のみ。
G3ユニットならまだしも、ディケイド達がいる中で彼らが成虫になるまで待つ時間はない。
そう思ったサソードは【ある事】を思いつく。
「風嵐、お前はマシンゼクトロンに戻って、積んである『アレ』を取って来てくれ」
「積んであるってあれを?いいの?」
「構うものか。俺達の目的は……」
「うん、覚えてる……それじゃあ行ってくる!キャストオフ!」
【CAST-OFF】
【CHANGE-DRAGONFLY】
【CLOCK-UP】
ドレイクはドレイクゼクターを操作して、上半身を覆う装甲を飛散……マスクドフォームからライダーフォームへ変わるとクロックアップを用いてこの場から離れた。
一方サソードは再び一同の前へ出てくると、サソードヤイバーを上へ向けて叫んだ。
「ワームたちよ!我の元へ集え!!」
『『『Kyurrrrrrrrr!』』』
サソードの言葉に賛同するかのように鳴き声を上げているワームたちはG3達との応戦をやめて彼の元へと集う。
ディケイドとクウガは他の仲間達と共に集まり、サソードの出方を伺う。
「アイツ、何をする気だ?」
「みんな、気をつけろ!」
謎の行動に警戒するディケイド達。その一方でサソードはサソードゼクターの尾を引き抜いて押し出す形で操作し、必殺技を発動させる。
「ライダースラッシュ!」
【RIDER-SLASH】
サソードはサソードヤイバーの刃先に集約させて光刃を形成して放つ斬撃『ライダースラッシュ』を発動。
円形状に飛ばしたいくつもの斬撃波がディケイド達へ迫る。
「全員伏せろ!!」
ディケイドの言葉に従ってクウガを始めとしたライダー達は伏せてライダースラッシュの斬撃波を回避する。
周囲へ着弾し爆発が起き、その余波で爆炎が辺りを包む。
視界が煙と炎に覆われてしまい、迂闊に身動きができなくなってしまう一同。
「うわぁ、真っ暗だねぇ……一体どこから不意打ちを」
「いや、そうじゃねえな」
辺りを探るサガに対して、歌舞鬼が否定の言葉を呟いた。
やがて視界が晴れると、……そこにはサソードと彼が集めたワームの姿がなかった。
恐らく先程の爆炎に紛れて何処かへ消えたのだろう。
クウガは拍子抜けしたような声を上げる。
「退散したのか?しかしなんで……」
「さてな、ネオライダーについては探らないけないことが多いようだな」
ディケイドは未だにネオライダーの目的が見えない事を不満そうに呟く。
その隣ではG3達が未確認生命体が退散したことに一先ず危機は去ったと安堵する。
遠くの方で戦いを見守っていた夏海と北条も一息ついた。
―――その時であった、地面が揺らいだのは。
「きゃっ!?」
「なんですか、この揺れは!?」
北条は突然発生した地鳴りと揺れに驚き、何か起きているのか周囲を探る。
すると、ディケイド達の前方のコンクリートの地面が砕け散り、そこから『何か』が出てくるのが見えた。
北条は這い上がってくるそれを見て叫ぶ。
「あ、あれはなんなんだ!?」
『ギリギリギリギリ……!!』
―――――
遠くのビルの方にもG5……一条もその光景を確認していた。
G5のサポートのために傍らにいた夏目が出現した『ソレ』を見て叫ぶ。
「一条さん!あれは……!!」
「巨大な未確認生命体……!」
現れたのは巨大な蟻の形をした怪物……魔化魍の『オオアリ』。
硬い地面を砕き割るように現れた二体のオオアリは巨大な大アゴを歯軋りさせながら、ディケイド達へ襲い掛かる光景が目に見えた。
ディケイド達はそれれぞれの武器で応戦しているが、決定的な有効打にはならない様子。
G5はケイローンを構えて、その大きな頭部を狙って引き金を引いた。
銃弾はオオアリの頭部に直撃して一部が抉れる……だが、一瞬怯んだ程度で傷を再生させながら再びディケイド達へ蟻酸を吐きながら足の爪で襲い掛かっていく。
それを見たG5と夏目は驚く。
「そんな……G5の装備が効かないなんて!」
「あれは俺達の知っている未確認じゃない。現代兵器じゃ通じないということか」
「一条さん、私達は……!」
「諦めるにはまだ早いぞ、夏目」
自分達が知っているグロンギとは全く異なる未確認生命体に消沈しかける夏目に対し、G5の言葉が飛ぶ。
G5は援護射撃を続けながら、彼女に言い放った。
「4号が、クウガがまだ諦めずに戦っている……アイツと同じクウガが誰かの笑顔を守るために目の前で戦っている限り、俺達が先に諦めちゃならない!」
「一条さん……そうですよね、私達はまだ、戦える!」
夏目はケイローンの弾薬をG5に渡し、それをケイローンにセット、再びオオアリへ向けて狙撃する。
今のところは決定打にはならないが、手足を狙って動きを封じる。
それまでに、打開策を見つけなければ……。
――その時、二人の頭上を黒い影が通り過ぎた。
G5と夏目は思わずその"黒い影"の視線を覆う。
高速で飛んでいく【ソレ】はディケイド達とオオアリがいるビル街へ向かっていく。
夏目はそれを見て、驚いた表情を浮かべた。
「あれってまさか……!」
魔化魍という魑魅魍魎の存在が巡り合った今、ディケイド達へ向かっているのは何者か。
それを知るのはG5を装着した一条と夏目の二人しかこの場にはいなかった。
後書き
今回本格的にディケイドと遭遇した紫電斬刃と水野風嵐。
実は古巣時代にやっていたサソードとドレイクが主役でやっていたカブトのオリ主の二次小説のオマージュキャラです。
今となっては消えてもう読めなくなってしまったですが、せめて何らかの形で残したいなと思って出来上がったのがこの二人ですね。
何気に出てきた一条さんが装着したG3の後継機『仮面ライダーG5』。
見た目は白黒を基調としたG3-Xですが、特段これといった特徴的な能力はないですが、新型武器・ケイローンと一条さんの射撃の腕前で作中トップレベルの強いライダーになりつつあります。
幽汽から小狼を助けた狙撃も一条さんのG5の仕業です。
鬼に金棒ってこういう事ですね!
解釈違いの方はすいませんです……。
清めの音でしか倒せない魔化魍・オオアリ登場、しかも2匹。
有効打のディケイドと歌舞鬼がいるとはいえ、苦戦は必至。
次回、馬の鎧、再び
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