金木犀の許嫁
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第四十話 昔の忍者その五
「ほんまな」
「そうなんですね」
「そやから大阪を舞台にしててもな」
「ヤクザものはお好きではないんですね」
「そや、日常系がええわ」
微笑んで言うのだった。
「大阪を舞台にしてもな。しかしほんま小説も漫画もな」
「昔と違いますか」
「のらくろなんてないしな」
今はというのだ。
「あの頃は大人気やったが」
「戦争中ですね」
「そや、皆読んでた」
そこまでだったというのだ。
「それで戦争が終わって手塚治虫が出たわ」
「あの人が」
「そして手塚治虫が出て来た頃にな」
戦争が終わってすぐにというのだ。
「私は死んだ」
「結核で」
「そや、それで幽霊になってからずっと見てたが」
手塚治虫という漫画家をというのだ、この人もまた昭和を象徴する人であった。昭和は他ならぬ昭和天皇と美空ひばりそれにこの人が世を去ったことで終わったと言えるだろうか。
「凄かったな」
「色々な名作を生み出していますね」
「不眠不休で描いてな」
「そうしてですね」
「凄い描いてたわ、それで漫画が一気に出て」
娯楽の中でというのだ。
「アニメも出てな」
「娯楽が変わりましたか」
「そうなったわ、それで忍者ものもな」
「変わりましたね」
「今も漫画やアニメで出て」
そうしてというのだ。
「ゲームでも出てるな」
「定番のキャラの一つですね」
「そのゲームも出たしな」
それでというのだ。
「もうな」
「忍者は定番ですね」
「ファンタジーのな」
「今の日本の大衆娯楽の中でもですね」
「勿論小説でも出てるしな」
「それでもですか」
「ああ、変わったわ」
そうだというのだ。
「主に体術で戦う」
「そうした存在ですね」
「妖術も仙術も使わん、忍法帖とかもな」
「出ないです」
「ほんま変わった、しかしな」
それでもどだ、織田は笑って話した。
「それはそれでおもろい、それもかなりな」
「面白いですよね」
佐京は確かな顔と声で織田に答えた。
「今の忍者ものも」
「ゲームかてな、昭和から色々な忍者キャラ出てゲームの主人公にもなってるが」
「忍者ゲームもいいですね」
「ゲーセンでよお見たわ」
「大阪でもですね」
「ああ、ただゲーセンも減ったな」
織田はこのことは首を捻り悲しそうな顔で述べた。
「ほんまな」
「よく言われていますね」
「ああ、昔はもっとあったんや」
佐京にゲームセンターの話もした、それは昔を懐かしむそのうえで残念がるそうした顔で寂しそうだった。
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