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第百四十七話 文化祭開催その六

「遺伝で自分もなの」
「それでかなりね」
「気にしていたの」
「あと何か性病に罹って」
 坂口安吾が言うには南京で梅毒に罹患したという、そのせいか南京の基督という作品では梅毒に罹患した娼婦が主人公である。
「もてるから不倫の話もあって」
「訴えられるとか」
「当時は犯罪だったしね」
 戦後の日本と違いだ。
「だからね」
「色々あったのね」
「それで悩んでいたから」
「作家さんにならなくても」
「自殺してた可能性はね」
「あったのね」
「精神的に脆い人だったみたいだし」
 その為にというのだ。
「あの人作家さんにならなくても」
「そうだったのね」
「それでこの人が自殺して」
 彼だけに終わらずにというのだ。
「太宰もそれ知って」
「自殺したの」
「作家はこうして死ぬべきだって言ったそうだから」
 芥川の死を知った時にだ。
「まだ学生さんだったけれど」
「だからあの人自殺したの」
「太宰は躁鬱だったそうで」
「鬱になったら」
「よくね」
 その時はというのだ。
「死にたいって言って」
「何回か死のうとして」
「それで最後は、だったけれど」
「芥川の自殺からなのね」
「そう思う様になったふしあるみたいよ」
 こうケニアの娘に話した。
「あの人はね」
「芥川を尊敬していたから」
「学生時代からでね」
 そして世を去る時までだったのだ、如是我聞を事実上最後の作品人間失格と共に書いていたがそこで芥川に言及しているところから伺えることだ。
「ずっと芥川を尊敬して」
「生きていって」
「死に方もね」
「芥川みたいに自殺したのね」
「この二人似てるしね」 
 富美子はどうにもという顔で話した。
「そうでしょ」
「そうなのよね」
 ケニアの娘も確かにと頷いた。
「似てるのよね、あの二人」
「それは太宰が芥川を尊敬していて」
 そうしてというのだ。
「いつも意識していて」
「似たのね」
「そうだったみたいよ」
「それで似てるのね」
「太宰が芥川をなぞったのか」
 逆に芥川は太宰を知らなかった、当時青森の学生だった太宰を芥川が知っていた可能性は皆無だったと言っていい。
「それでね」
「似てるのね」
「太宰が芥川を意識していて」
「芥川みたいになろうとしていて」
「何か作風もね」 
 作家としてのそれもというのだ。 
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