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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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勇者が旅立つ場所

<ラダトーム>

アルル達は思いがけない所でオルテガの情報を手に入れる事が出来た。
オルテガは数年前に、ラダトーム近くの平原で、全身大火傷状態で発見されたと言う。
この闇の世界アレフガルドには、表の世界…つまりアルル達が暮らしていた世界から、幾人もの人間が迷い込んできて居るらしく、オルテガの事も表の世界の住人であると推測され、手厚い看病を施されたらしい。

更に、ここラダトームには大魔王ゾーマを討伐しようとする猛者が集う場所となっており、表の世界の住人からも、帰る術を模索する方法の1つとして、討伐に参加する者も少なくない。
そしてオルテガも、怪我より全快した後、ラダトーム付近で体慣らしを行い、つい数ヶ月前に大魔王ゾーマ討伐へと旅立ったというのだ。
因みにバコタは、オルテガが旅立つ前日にスリを働いたらしく、そのオルテガにアッサリ捕まったという………


そんな情報を手に入れ、待ち合わせ場所のラダトーム中央広場でリュカ等を待つアルル達。
「おや?随分と早いね」
そこへ何時もの緊張感の無い声が聞こえてくる。
「リュカさん、私達はすっごい情報を入手しましたよ!」
瞳を光らせたアルルが、ノッソリやって来るリュカ達を急かす様に叫んでいる。

「あぁそう………一応僕達も情報仕入れたよ…ちょっとあっちの裏路地で話そうか…」
瞳を輝かせたアルルを筆頭に、ティミー達は明るい表情でリュカ等を待ち構えているのだが、リュカ達は全員がちょっと困り顔で近付いてくる。
「はぁ?何を言っているのですか!リュカさん達もそれなりに情報を得たのであれば、2度手間にならぬよう、宿屋へ戻りみんなが集まった所で話し合いましょうよ!何でワザワザ裏路地にまで行って話さなければならないんですか!?無駄でしょう…」
何故かリュカは人目を憚り情報を伝えたい様子…
しかし早く母に、父の事を知らせたいアルルは、リュカの発言に苛ついている。

「あー…うん…そうなんだけどね…とりあえずさ…あっちの裏路地で互いに発表会でもしようよ。留守番組に伝えるのは、その後でも良くね?」
「いい加減にして下さい!何時も何時もそうやってふざけて…私のお父さんの情報なんですよ!真面目にしろと言うのは無理でしょうけど、ふざけるのくらいは止めてくださいよ!」
キレる数秒前のアルルが、座りきった目でリュカを睨んでいる。

勿論、リュカはそれに怯んだりはしないのだが…息子の方は胃が痛くなっているらしく、腹部を押さえながら会話に参加する。
「父さん達も何か情報を仕入れたんですね?しかも、それは人目を憚る様な情報って事ですか…?」
「ティ、ティミー…何言ってるの!?どうせリュカさんの嫌がらせよ!早く宿屋へ帰って、母さんにも教えてあげなきゃ!」
リュカの言葉を嫌がらせと決めつけ、宿屋への帰路を急がせるアルル。

「アルル!リュカさんは訳あって、人気のない場所での情報公開を奨めてるのよ!ちょっとはリュカさんの事を理解しなさいよ!」
アルルの一方的な言葉に、当の本人より怒りを露わにするハツキ。
「ハ、ハツキ…な、何よ…リュカさんは何時もふざけてるでしょ…今回だって…」
「アルル…僕も父さんが訳あって言ってると思うよ。だから………」
父の事への焦りから、ヒステリックになるアルルを、宥める様に言い説くティミー。
「何よ…何時もと今回に違いなんて見えないじゃない…」
流石にティミーからの説得には、渋々ではあっても従うアルル。
ブツブツと文句を言っているが、皆と一緒に裏路地へと移動する。


「いや~…こうやって人目を憚って裏路地とかにくると、思わずビアンカとイチャイチャしたくなっちゃうよね!」
だが相変わらず動じることなくチャラつくリュカ…
「ア…アンタが何時もそうだから、アルルも苛つくんでしょう!普段から謹んで生きてくださいよ!」
つい先刻は擁護したのだが、思わず怒鳴ってしまうティミー。

「なぁ~にぃ~?気を使っているのに、酷い言われ様じゃん!パパの気持ちも理解して欲しいですねぇ……」
「「こ、このやろー……」」
一々苛つく言い方をするリュカに、声を揃えて文句を言おうとする勇者2人…
「ティミーもアルルちゃんも、いい加減リュカの性格に慣れなさい!そうやって一々小さい部分に目をやらないで、全体を見渡せる思慮を持ちなさい!」
しかしビアンカが珍しく大声で叱咤をした為、アルルもティミーも言葉を続ける事が出来なくなった。
ビアンカの言う通り、アルルとティミーは視野が狭い…おのれの未熟さを恥、俯く2人…

すると、
「ぷふーっ!カップルで怒られてやんのダッせぇー!初めての共同作業は、ビアンカに怒られる事でした!ってか…あはははは!」
大爆笑のリュカが…
勇者2人の手にデイン系の放電が走ってる!


さて…
完全に人気のない裏路地へとやって来た一行。
まず最初にアルル等の情報から聞く事に…



「………と言うワケよ!お父さんはやっぱり生きていて、数ヶ月前にここラダトームを旅立ったらしいの!私達も早く後を追いましょう」
アルルは自分たちの情報を言い終えると、急かす様に話し合いを終わらせようとする。

「ふ~ん…僕等の仕入れた情報と、重複する部分があるね…尤も僕等の仕入れた情報は、もっと細部まで明確なんだけどね…」
リュカは宿屋へと転進しようとするアルルを止める様な言い方をし、この場に留まる様に仕向ける。
「な、何よ…私達は、この町の事に精通している警備隊に聞いてきたのよ!」

「うん…でも警備隊の情報って、町全体を見ての情報でしょ?オルテガ個人の事となれば、細部までは知らないだろうに…」
そして困惑した言い辛そうな表情で、自分たちの仕入れた情報を話し出す。
「アルル達の情報は、詳しくオルテガを知らない者の情報…だが僕等のは違う。オルテガの事をよく知っている人から聞いたんだ!」
リュカの言葉を聞いた途端、アルルは大きく目を見開き、リュカに掴みかかって尋ね出す!

「だ、誰よ!?父さんの事を詳しく知っている人物って!どうしてそんな人がこの町に居るのよ!?此処は異世界なのよ!私の住んでいた世界とは、違った世界のなよ!」
胸ぐらを捕まれ、大声で怒鳴られるリュカ…しかし、それ程怯んだ様子もなく、何時もの優しい顔で笑っている。
むしろアルルをリュカから引き離そうとしているティミーの方が、彼女の感情に当てられビクついているだろう。

「まぁ、落ち着けよアルル。今からちゃんと話すからさ!」
ティミーがアルルを引き離してくれるのを待って、話を続けるリュカ…
「僕達はね…オルテガさんの事をよく知る人に会ってきた。………それは家族だ!オルテガさんの息子さんに会ってきたんだよ!」

オルテガの家族に…息子に会ってきたと言うリュカ。
果たしてそれはどういう意味であろうか?(つまりアレね!)



 
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