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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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切っ掛けは恐怖

<ラダトーム>

「あ、バコタ!お前、あのバコタかよ!随分と老けちまって分からなかったぜ………お前、こんな所で何やってんだ?」
「こんな所って…見りゃ分かるでしょう。牢屋ですぜ、ここは…捕まっちまったんですよぉ!」
バコタはカンダタの問い掛けに恥ずかしそうに答える。

「いや、そうじゃなくて…何でアレフガルドにお前が居るのかって聞いてるんだよ!」
「いや~…オレッちもよく分からないんですよ…」
右手で頭を掻きながら、更に恥ずかしそうにするバコタ。
「オレッちアリアハンで活動してたんですけどね、運悪く…マジで運が悪かっただけなんですが、捕まっちまいまして………アホ面した男が、巨乳のシスターと歩いていたんで、ちょろっと財布を失敬しようとしたら、その男にバレまして…そいつシスターの体ばかり見ていたんですぜ!だから気付かれたんですよ…」
「なるほど…それでも、その男はスゲーな!お前のスリテクはかなりの腕前だろうに!女の体を凝視してたって分かるもんじゃねー!」
カンダタが鉄格子の奥にいる弟分を見据え、見知らぬ男に恐れを抱く。

「いや、運が悪かっただけですって!今度そいつに出会ったら、財産全て巻き上げてやります「あー!!!思い出した!!!」
先程まで、黙ってバコタとカンダタの話を聞いていたのに、急にアルルが大声を出しバコタの言葉を遮った!
「アンタ、アリアハンの牢屋で私達に『盗賊の鍵』情報をくれた、スリ野郎じゃん!確かシスター・ミカエルの財布をスろうとして、リュカさんに捕まった間抜けよね!」
「あ!お前等、あん時の奴等か!」

「何だ…アルルとバコタは知り合いなのか?」
アルルはカンダタに、アリアハンでの事を簡単に話した。



「なるほど…そりゃ悪いのは運じゃねーよ!何が悪いって、相手が悪い。あの旦那じゃ………五体満足なだけ運が良いんじゃねーの?」
「ア、兄貴もしってるんですか、あの男を!?つー事は、あの野郎も此処に来ているンッスね!だったら丁度良いや…兄貴、オレッちと手を組んであの野郎をギッタギタに伸しちゃいましょうぜ!」
バコタは尊敬する兄貴分のカンダタと再会し、気が大きくなった様である。
カンダタを誘い、自分を牢屋へ入れたリュカに仕返しをしてやる気になっている。

「おやまぁ…カンダタ、頑張ってリュカをギッタギタにしちゃいなよ!このアホが味方になりゃ怖い物無しだろ!(笑)」
バコタの事を嘲笑うモニカ。
「お!?なんッスかその(スケ)、兄貴の女ですかい?流石女の趣味が良いっすね…その(スケ)の言う通りッスよ!オレッちらで、あの野郎をぶっ殺して、こっちの世界にもカンダタ盗賊団の名を轟かせましょうぜ!」
牢屋の中であるのに、下品に笑うバコタ。
どうやら頭の中は空っぽの様だ…

「馬鹿野郎…俺はもう盗賊じゃねーよ!世界を平和にする勇者アルルに同行する、戦士カンダタだ!それに…カンダタ盗賊団は壊滅したんだ………」
「か、壊滅!?だ、誰がそんな事を……ロマリア王国か!?…それともイシスが大軍を派遣したんッスか!?」
「お前をとっ捕まえた男だよ」
溜息と共に話すカンダタ…

「くそっ!あいつ~………兄貴!野郎を許す訳にはいかねぇぜ!寝首をかいてでもぶっ殺すべきッスよ!何だったら家族や仲間を人質を取るって手もありますぜ!オレッちは兄貴の為なら何だってやりますから!」
「カンダタ………このアホには、ハッキリと言った方が良いわよ!何も分かってないから」
一人盛り上がるバコタを、醒めた目で見据えながらモニカが呟く。

「バコタ…さっきも言ったが、俺は盗賊をやめたんだ!盗賊団を再結成させる気も無いし…何より、お前を捕まえた男…リュカと言うんだが、その男と俺は今や仲間同士なんだ!あの人を()ろうとは思わないし、勝てるとも思えない。お前も心を改めて、真面目な人生を送るんだな」
「な、何ふ抜けた事言ってんですか!?まさか兄貴…あの野郎にビビってんじゃないでしょうね!?」
カンダタの言葉に驚きながらも見下した口調で尋ねるバコタ。

「バカ言うな!………って言いてぇが、その通りだ。正直切っ掛けはあの男が怖かったからだ…盗賊団を壊滅させられた時、俺は泣きながら命乞いをした!それはもう情けない姿でな。仮に俺とお前が手を組んで、盗賊団を以前のものより強力にしたとしても、あの人には勝てねぇだろう……俺はそんなあの人が怖い!」
カンダタは穏やかな表情でバコタに語りかける。
「ちっ!暫く見ないうちにヘタレたもんだ!じゃぁ勝手にしろ!ブルって正義の味方の真似事してろ!!」
バコタはカンダタに向け唾を吐き捨て、牢の奥に引っ込みふて腐れてしまう。

アルル達もこれ以上ここに居る用は無いので、町へ戻ろうとバコタの居る牢に背を向け歩き出した。
だが彼氏をバカにされたモニカは気にくわないらしく、牢屋から出る直前にバコタへ向けて嫌味を言った。
「ふん!偉そうな事を言ってるが、アンタはこのラダトームでも囚われてるじゃないの!そんなヤツと手を組んだって、失敗率が上昇するだけだろうに!ヘタレより(たち)が悪いね!」
「うるせぇ!これまた運が悪かったんだよ!トロそうな女と歩いている男が、あの勇者オルテガだなんて分かる訳ないだろ!…だいたい死んだハズじゃないのかよ!」

何気ない一言…バコタにしてみれば何気ない一言だったのだが、アルル達には重大な一言だった。
帰り去ろうとしていたのだが、凄い勢いで牢に戻り、鉄格子を壊しそうな勢いでバコタに確認する。
「オ、オルテガって言った、今!?ど、何処に居るのよ!勇者オルテガは何処に居るの!?」
「え!?あ…そ、その…」
あまりの剣幕にたじろぐバコタ。
「隠すとぶっ飛ばすわよコラ!オルテガの居場所を言いなさいよ!」
「し、知らねーよ!オレッちは捕まっただけで、ヤツの居場所なんか分かる訳ないだろ!詳しく知りたいんなら、警備隊の連中に聞けよ!」
アルルの剣幕に押され、ビビリながらも知っている事を話すバコタ…ただ、殆ど何も知らない様子だ。
「(ぺっ!)この役立たずが!」
アルルは父への手懸かりに我を忘れ、バコタに向かって唾を吐き、牢屋を後にする。
彼氏の方も、頭を抱えながらついて行く…


思いがけず掴めそうなオルテガの情報を求めて…
一旦アルルを落ち着かせないと、警備隊に捕まってしまうかもしれないけど…
頑張れティミー!
彼女(アルル)を落ち着かせるのも、お前の重大な役目だぞ!
父親(リュカ)へのツッコミだけで満足してはダメなんだぞ!



 
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