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有栖キャロの小学校物語

作者:blueocean
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第17話 学校公開日です

 
前書き
こんにちはblueocanです。

やっとこっちも新作です。
楽しみにしてた人は長い間待たせてしまって済みませんでした……… 

 
「さて、今月の土曜日、学校公開日があります」

さて、ミッドチルダを大きく揺るがした事件終わり、11月になりました。
そんな中、土曜日に学校公開日があるそうです。
私達の小学校では、学校公開日を学期中必ず一回はするみたいで、私、ルーちゃん、エリオ君は初めての経験です。

「だからみんなちゃんと良い子にしててね。特にエローシュは良い子は無理でもせめて静かにしてて。………というか喋るな」
「理不尽過ぎる!!」
「「妥当」」

「佐助………夏穂………」

まあ自業自得だと思います。








「行く」
「駄目ですよレイ」

家に帰って学校公開日の事を言うと、やっぱりお兄ちゃんは行くと言い出しました。

「嫌だ、絶対に行く!!」
「駄目ですって!!私達も学校公開日なんですよ!!」
「知ったことか!!誰に何と言われようと俺は必ず行くからな!!」

とやっぱり駄々をこねるお兄ちゃん。

「お前らは良いのかよ!?キャロの学校生活が見れる数少ない機会なのに!!」

「それは我等も気になるが、学校公開日にはラグナルに様子を見に行かせればいいではないか」
「駄目だ、あんなポンコツに任せられない、俺が見に行かなくちゃ駄目なんだ!!」

「駄目だ、相棒の事までポンコツって言ってる………」
『アギト………泣いて良い?』
「デバイスのままだと気持ち悪いからやめろ」

アギトの厳しい声に何も言えなくなるラグナル。
お兄ちゃんの暴走はとどまる事を知りません。

「レイ、いい加減にしないとオハナシしますよ………?」
「知るか!!俺は何があっても見に行くからな!!」

もはやオハナシにも怯みません………

「レイ」

そんな中、ゲームをしていたライお姉ちゃんがお兄ちゃんの後ろに立ち、

「はっ!」

首に手刀を食らわせました。
お兄ちゃんはまるで電源を切られた人形の様に意識を失いました。

「これで静かになった」
「いや、仕留めたの間違いないではないか………?」

「嫌だなぁ、レイがこんなんで死ぬ訳無いじゃん」

あははと笑っているライ姉ちゃんでしたが、お兄ちゃんは白眼になって気絶してます。

「レイ、大丈夫!?」

優理も流石に心配してお兄ちゃんを揺すります。

「大丈夫、レイなら今日の事を忘れて明日は元気になってるよ!」

何の根拠があるのかそんな事を言うライ姉ちゃん。
その後、お兄ちゃんを部屋に運んでいつも通りになりましたが、本当に大丈夫かな………?







次の日、お兄ちゃんは昨日の事をまるで覚えていませんでした。
なので星お姉ちゃんがお兄ちゃんには学校公開日の事は秘密にすることにしました。

そして当日………

「じゃあ行ってくるね!」

そう言って私は家を出ました。
お兄ちゃんの許可が無いと人になれないラグナルは残念ながら見に来れないのですが、ゼストさんとメガーヌさんが代わりに見に来てくれるので気は抜けないです。

「キャロ!」
「ルーちゃん!!おはよう!!」

朝が弱い、ルーちゃんが珍しく私が迎えに行く前に家から出ていました。

「今日は早いね」
「お母さんに叩き起された………今日くらいしっかりしていきなさいって」
「はは………」

確かにいつもみたいに、寝癖が残っていたりしていない。ちゃんと綺麗な制服に髪も綺麗に結んでポニーテールにしています。

「それじゃあエリオを迎えに行こう」
「うん」

私達はエリオ君を迎えに行って学校に向かいました………











「それじゃあ皆席について………出席をとります」

そう言っていつも通り出席を取る霧子先生。

「………って何よみんなソワソワして………エローシュを見なさい、いつも通り、気持ちよさそうに寝て………はぁ………夏穂、叩き起こして」

「は~い」

そう言って思いっきり拳骨を頭に落とした。

「だ~っ!!何だ!?敵襲か!?」

「ある意味間違いじゃない」
「夏穂が相手ならエローシュに勝ち目は無いわね」

と、冷静に分析する佐助君とルーちゃん。

「痛そうだね………」
「そうだね………」

と、自分がやられた時の事を考えぞっとするエリオ君と真白ちゃん。
何だかんだいつも通りの私達でした………











「みんなおはよう」

おはようございます、有栖星です。
シャイデの挨拶と共に、朝のHRは始まります。聖祥中学校も今日は学校公開日。

まあ中学生にもなると親の目を気にする人はいないので、『土曜日も登校だるい………』位にしか思っていません。

なのでみんなテンションが低いですね。
………まあ私もその一人ですけど。

「あれ?そう言えば零治は?」

シャイデにそう言われ、私は後ろを見ました。
確かにレイの姿は見えません。

「零治君ならトイレに行くってホームルーム前に………」
「ずいぶん長いトイレね………」

………まさか。
でも朝はすっかり忘れてましたし、ラグナルは………回収してない。

「?どうしたの星?」
「もしかしたら初等部に行ったかも知れないです………」
「初等部………何で………?………ああ、キャロね、全くあのバカは………」

油断してました、レイのシスコンは伊達では無いのに………

「後で初等部に連絡してみるわ。あのバカを連れてきてもらえるようにね………」

溜め息を吐きながらシャイデはその後、ホームルームを終えました。
………帰ったらオハナシです。









「それじゃあ前に来て、お手本として漢字を書いてもらいます」

授業も始まり、まだ早い時間にも関わらず見に来るお父さんお母さんがいっぱいいます。
あっ、メガーヌさんとゼストさんもいました。
仲良く腕を組んで廊下から様子を見てます。

「ルーちゃん、メガーヌさんとゼストさんが来てるよ」
「………お母さん、少しは自重してよ………私の方が恥ずかしいよ………」

そう言って教科書で顔を隠してしまいました。
まあ………確かにイチャイチャしてるのは恥ずかしいかもしれませんね………

「ね、ねえキャロ………」
「何エリオ君?」
「窓からレイ兄が見えた気がしたんだけど………」
「お兄ちゃんが?まさか………」

そう呟きながら外を見ると………
花壇の大きな木に隠れながら覗いているお兄ちゃんがいました………

「………」
「………どうする?」
「どうしましょう?」

制服のままである事を見ると中等部から抜け出して直接来たみたいです。
今は授業中ですので授業が終わったらお兄ちゃんを呼び出すことにしましょう………





「お兄ちゃん!!」

授業が終わり、窓を開けると既にその場にお兄ちゃんはいませんでした。
周りを見ても誰もいないですし一体どこへ………

「レイ兄は?」
「消えちゃった………」
「うそっ!?」

慌ててエリオ君も探しますがやはり見当たりません。

「忍者みたいだねレイ兄」
「でも本当に何処に行ってたんだろう………」

それとも流石に帰ったのかな?

「あの………何だか手伝ってもらって済みません………」
「良いって良いって。いつもキャロがお世話になってるしね」

そう話ながら普通に教室に入ってくるお兄ちゃん。

「おっ、キャロ。キョロキョロしてばかりじゃ勉強についていけなくなるぞ………」
「お兄ちゃん………」

お兄ちゃんは普通に教室の中に入ってきてました。真白ちゃんが持っていたプリントを手に持ち、クラスの一員みたいな雰囲気をだして馴染もうとしています。

180cm程身長のあるお兄ちゃんにはいくらなんでも無理なのは誰の目からも明らかなのですが、お兄ちゃんは気がついているのでしょうか?

「真白ちゃん、このプリント教卓に置けばいい?」
「あっ、ありがとうございます」
「お兄ちゃん!!」
「何だキャロ?」
「正座!!」
「えっ?」
「正座!!!」






「あのですね、俺だって本当は来る気は無かったんだよ。だけどキャロやエリオ、ルー達の学校生活なんてこういうときにしか見れないだろ?だから………てへ」
「ふざけてます………?」
「すいませんでした!!」

小学校の教室で1年生の少女相手に本気で土下座する中学生。
そんな周りから見たら笑い者になる光景だったが。そんなことを思わせないほど、キャロの怒りは凄かった。

「………まるで星姉みたい」
「星さん?僕からしたら気配り出来る綺麗なお姉さんだけどな」
「間違ってないけどそれだけじゃない。キャロの家で一番強いのは絶対に星姉」
「そうなんだ………」

そんなルーの言葉に怒らせないように気をつけようと思うエリオだった。

「キャ、キャロちゃん………一旦落ち着いて………」
「いいえ真白ちゃん、お兄ちゃんはキツく言ってもまた絶対に同じことをします。徹底的に言わないと………」
「キャロちゃん、でも………」

そう言う真白の視線の先には………

「いい加減授業したいんだけど……」

困った顔をした霧子先生がいたのだった………










「あなたが有栖零治君ね、シャイデから話を聞いているわ」

授業は既に始まっていますが、そっちのけでお兄ちゃんと話しています。
みんなの注目されて私がちょっと恥ずかしいです。

「………絶対に良くない事だ」
「まあ小学校の子供達には言えないことね」
「絶対に事実をねじ曲げて言ってますからそれ!!」
「零治さん!!俺、あなたの事を師匠と呼ばせていただきます!!」
「止めろ!!今エローシュが入ってきたら完璧にそっち方向に思われるじゃないか!!」

そっち方向?一体何を言っているのでしょうか………?

「まあそれはともかく今すぐ学校に戻った方がいいわよ、シャイデから連絡があって、『星となのはがオハナシ~って探し回ってる』って」
「俺に死ねと!?」
「えっ!?何か命の危険があるの?」

霧子さんの驚きは最もだと思います。星お姉ちゃんはともかく、なのはさんのオハナシはなんとも言えませんが、お兄ちゃん曰く肉体的に来るらしいです。

「あの2人が動き出してるなんて………そこまでやる必要あるのかよ………?」
「………何で恐れているのか分からないけど、零治君、仮にも生徒会長なんだから駄目でしょう………」

「いいえ、生徒会長の前にキャロの兄です!!」

力強く言ってますが、ただ単にシスコンだと言っているようなものです。

「恥ずかしい………」
「キャロ、ドンマイ………」
「フェイトさんも居たら僕も同じ目にあってたのかな………?」

未だに討論している霧子先生とお兄ちゃんを見ながら私達は話していました………








さて、お兄ちゃんのとの騒動も取り敢えず落ち着き、気を取り直して授業も再会です。
時間が進むに連れてギャラリーも増え、エローシュ君以外のみんなにも多少の緊張感が生まれてきました。

「みんな固くなってきたわよ?いつも通り授業をやれば良いの。取り敢えずエローシュ、何か一発芸でみんなの」
「何という無茶振り!?」

まあそんな緊張感もエローシュ君のおかげで和らぎ、いつものクラスに戻っていく。
エローシュ君って本当に凄い………

「だが断る!!」
「あっそう、なら良いわ」
「えっ、あっさり引かれた!?」
「アンタは一体どうしたいの………」
「先生が振ったんでしょうが!!」

まるでコントみたいな事をし始める2人にクラスのみんなだけでなく保護者の人達も笑顔になっていました。

「さて、アホに付き合うのはこれくらいにして授業さっさと始めましょう」

先生の言葉でみんなはいつも通りの雰囲気の中、教科書を開きました。

「キャロ、レイ兄大丈夫かな?」
「さあ?」









「ふぅ………」

授業参観も終わり、皆も緊張から開放されました。

「終わったね」
「うん」
「良かったわねエリオ。リンディさんも見に来てくれて」
「うん………ちょっと恥ずかしかったけど………」

リンディさんが見に来てからエリオ君ロボットみたいにカチコチになってましたからね………
逆にエローシュ君はテンションが上がっておかしくなってましたけど………

「レイ兄は大丈夫かな?」

ルーちゃんが心配しますが恐らく駄目でしょう。
仕方がないので今日はお兄ちゃんの面倒を見てあげましょう。

優理には絶対に譲りません………

「………何かキャロ怖いんだけど」
「負けられない戦いがあるのよ」

そんなルーの答えに首をかしげるエリオだった………  
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