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神々の塔

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第八十五話 第六天魔王その十

「よく調べておるな」
「信長さんのことも」
「うむ、わしが酒が弱いのを知っておるか」
 こう芥川に言った。
「既に」
「そうです、信長さんがどんな方かも知って」
 芥川は笑って応えた。
「それで、です」
「酒が駄目ということもか」
「知ってます」
「そうか、匂いだけでな」
 その顔を顰めさせたまま言った。
「わしは酔う」
「そうなりますね」
「しかもその酒はな」
「スピリチュアルです」
 綾乃が答えた。
「アルコール度九十七の」
「恐ろしい酒であるな」
「後で飲みます」
 綾乃は笑ってこうも言った。
「そうします」
「そうか、しかしな」
「信長さんにとっては」
「濁り酒一口で酔い潰れるのじゃ」
 そうであるからだというのだ。
「その様な酒はな」
「匂いだけで、ですか」
「酔う、そして酔うとな」
「その分ですね」
「弱まる、全く考えたものじゃ」
「ほな引っ込めます?」
 綾乃は信長が困っているのを見て申し出た。
「お酒は」
「いや、策を用いるのは当然のこと」 
 信長はこのことを冷静に述べた。
「酒に弱いのはわしの弱味、その弱味を衝いてもな」
「ええですか」
「策を用いてくるなら策に勝てばいいこと」
 こう言うのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「このままでいい」
 スピリチュアルを出したままでというのだ。
「策はな、ではだ」
「これよりですか」
「戦おう」
「おっと、まずはわしじゃ」
 ここで豊臣秀吉が出て来た。
「よいな」
「最初はですか」
「上様は最後じゃ」
 信長の方を見つつ話す。
「それでな」
「まずはですか」
「わしが相手をする」
「次はわしじゃ」
 徳川家康も出て来た、鷹揚に笑っている。
「そして最後はな」
「信長さんですね」
「それでよいな」
「はい」
 綾乃も他の者も特に反対することなく頷いた。 
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