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金木犀の許嫁

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第三十八話 狭い道を歩いてその六

「思わなかったよ」
「そうだったの」
「俺から見れば真面目で」 
 そうであってというのだ。
「いつもしっかりしている」
「そんな風に見えるのね」
「うん、芯が通っていてね」
「本当にだらしないから」
 夜空は善哉を食べつつ話した。
「実際の私は」
「そうなんだね、そう言われるとね」
 佐京は夜空の話を受けて言った。
「俺もだよ」
「いい加減なの」
「そうだよ」
 こう言うのだった。
「実はね」
「そうは見えないけれど」
 今度は夜空がこう言うのだった。
「ちょっとね」
「そう見えるかな」
「忍者で」 
 そうであってというのだ。
「動きは素早いし頭の回転も早くて」
「だからなんだ」
「もっと言うと器用で成績もいいから」
 学校のというのだ。
「だからね」
「しっかりしている様に見えるんだ」
「ええ」 
 そうだというのだ。
「本当にね」
「けれどそれがね」
「違うのね」
「そうなんだ。実はね」 
 夜空に微笑んで話した。
「白華も俺はしっかりしているって言うけれど」
「違ってて」
「失敗も多いし」
 そうであってというのだ。
「いい加減なんだよ」
「そうなのね」
「手抜きもよくないと思ってても」 
 それでもというのだ。
「ついついね」
「してしまうの」
「そうだしね」
「何かお互いね」
 夜空は佐京の話を聞いて言った。
「それなら」
「そうだね、それを言うとね」
 佐京も確かにと返した。
「お互いね」
「いい加減だね」
「そうよね」
「若しかして」
 佐京は微笑んで夜空に話した。
「人って誰でもね」
「いい加減かしら」
「そうかも知れないね」
「それじゃあ」 
「それじゃあ?」
「織田作さんのカップルみたいね」
「いや、俺浮気しないよ」
 柳吉と違ってとだ、佐京は否定した。
「そんなことは」
「そこは違うわね」
「お金の無駄遣いも」
 そちらもというのだ。
「しないし」
「柳吉さんとは違うわね」
「そうだと思うよ」
「ええ、それはね」
 夜空もそれはと返した。 
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