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金木犀の許嫁

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第三十八話 狭い道を歩いてその四

「今夜もね」
「飲むんだ」
「そうなのよ」
「お酒も好きになったんだね」
「飲む様になってからね」
 今は善哉を食べつつ話した。
「そうなったのよ」
「成程ね」
「ただね」 
 夜空はこうも言った。
「織田作さんお酒駄目だったのよ」
「そうだったんだ」
「バーにいる写真あるけれど」
 東京に行った時のそれである銀座にあるルパンというバーでの写真が今も残っている。この店には太宰や永井荷風も通っていて彼等の写真もある。
「それでもね」
「お酒飲めなかったんだ」
「苦手だったらしいわ」
「そうだったんだ」
「どちらかというと甘党で」
「それで善哉も食べていたんだね」
「それで飲みものはね」
 夜空はそちらの話もした、二人共まだ一杯目を食べている。
「コーヒーだったのよ」
「お酒じゃなくて」
「もう何かあると」
 それこそというのだ。
「喫茶店を探して」
「コーヒーを飲んでいたんだ」
「そうだったのよ」
「昔だとハイカラだね」
 佐京はその話を聞いてこう言った。
「コーヒーが好きなんて」
「喫茶店でね」
「そうだよね」
「学生時代からそうでね」 
 京都の三高の頃からだ。
「何かあるとね」
「コーヒーを飲んでいたんだ」
「ぞうだったのよ、大阪は都会で」
「織田作んさんは都会の人だったんだね」
「それでハイカラだったしね」
 やはり都会が流行の最先端だからとだ、夜空は話した。
「当時は今よりもそうだったし」
「ハイカラで」
「大阪は東京の次に大きな街でしょ」
「今もね」
「西だと一番のね」
 日本のというのだ。
「だからね」
「ハイカラなコーヒーを飲んで」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「お酒はね」
「苦手だったんだ」
「結核だったせいもあるみたいだし」
 織田が酒を飲まなかったことはだ。
「それでお酒は飲まないで」
「コーヒーだったんだ」
「そうだったのよ」
「あの人お酒は駄目だったんだね」
「それで善哉も好きだったのよ」
「このお店に来て」
「それで食べていたの」
 そうだったというのだ。
「多分奥さんともね」
「成程ね」
「まあね」
 ここでだ、夜空はこうも言った。
「織田作さんの作品って柳吉さんもそうだけれど」
「その頼りない旦那さんだね」
「結構だらしない人も多いのよ」
「そうなんだね」
「お金でも異性関係でもお仕事でもね」
「いい加減なんだ」
「そうした人が多くて」
 それでというのだ。
「ふらふらしてね」
「あちこち歩いて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。 
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