星河の覇皇
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第八十七部第三章 港の整備その三十二
「どうもな」
「飲むことは出来ないですね」
「かつてコーヒーは貴族だけが飲めるものでしたね」
「プロイセンでは」
「そして平民は代用コーヒーを飲み」
「窮乏時もでしたね」
「戦争でものがなくなるとだ」
戦争の常である、物資を戦場で大量に消費していく為に物資不足になるのだ。その為現金ではなく切符でものを手に入れる様になる。
「どうしてもだ」
「コーヒーもそうなる」
「それで、ですね」
「代用コーヒーを飲んでいました」
「二次大戦の時等は」
「そうした話を知っているからな」
歴史を学んでのことだ。
「どうもだ」
「閣下としてはですね」
「代用コーヒーは飲めないですね」
「どうしても」
「それは無理だ、そして誰でもだ」
タンホイザーはこうも話した。
「コーヒーはな」
「飲んでいいですね」
「貴族だけが飲む」
「そうすることはないですね」
「そうお考えですね」
「エウロパでは貴族と平民では食べるものが違う」
階級の違いがそれにも出ているのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「コーヒーについては今はそうしたしきたりはないです」
「だからですね」
「コーヒーについてはですね」
「誰もが飲んでいいですね」
「左様ですね」
周りの者達も口々に応えた。
「コーヒーには等級がありますが」
「貴族は上級のものを飲みます」
「そして平民は普通のものです」
「そうなっています」
「だがだ」
それでもというのだ。
「コーヒー自体はな」
「誰もが飲める」
「エウロパではそうですね」
「そうした飲みものなので」
「閣下もですね」
「そう考えている、代用コーヒーはだ」
再びこの飲みものについて話した。
「窮乏した時に飲むものだとな」
「閣下はお考えですね」
「実際にそうでしたし」
「戦争の時そうでしたから」
「だからですね」
「そうだ、だからだ」
そうしたものだと考えているからだというのだ。
「私としてもな」
「それはですね」
「どうしてもですね」
「そう考えてしまう」
「今は窮乏していないので」
「それで、ですね」
「飲むものではない、むしろそこまで追い詰められることは」
代用コーヒーを飲む様なというのだ、エウロパは連合との戦いの時もその後の復興期も普通にコーヒーを飲んでいた。
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