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色々と間違ってる異世界サムライ

作者:モッチー7
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第30話:武士道VS死人使い

 
前書き
お詫び

本作の連載を楽しみにしていた読者の皆様、申し訳ございません。
悪魔城物語IF(https://www.pixiv.net/novel/series/12572398)などの別作品の執筆に熱心になり過ぎて、本作の執筆が滞っておりました。
大変申し訳ございませんでした。 

 
月鍔ギンコperspective

某が何度ぐれむりんを斬り捨てても、ぐろぶと言う外道のせいでぐれむりんは何度も立たされる……
これでは、ぐれむりんが不憫過ぎます!
「クソ!何なんだこのグレムリン!?どうやっても死なないぞ!」
「いくら何でもしぶと過ぎる!」
「なら、私の爆裂―――」
「やめろ!この里ごと吹き飛ばす気か!?」
このままではジリ貧です……
なら!
「某がぐろぶを斬る!それまで―――」
「解ってる!それまで持ち堪えろって事だろ?」
「負けたら許さないからな!」
「頼みます!」
某が向かうはただ1人!
「ぐろぶぅーーーーー!」
だが、ぐろぶは何故か不敵な微笑みを浮かべており、
「やはりそう来ましたか……単純ですねぇ」
で、某の太刀筋は……ぐろぶには届かなかった……
それどころか……
「速い!?もうそんな所に!?」
見えなかった……ぐろぶの動きが!?
「さあ、亡者共。この死人使いグロブが今1度命を与えましょう。ミハリ・クシゼキキ・イヨカナ・ハグジソラム!」
「やめろぉー!これ以上、ぐれむりんの死を汚すなぁー!」
某は再びぐろぶに……死者を弄ぶ糞外道に刀を振るいますが……
「危ないですねぇ。当たったらどうするんです?」
またか!?
ただ立っているだけにしか見えないあの動きで、あんなに素早く逃げるとは……
柔術とも大陸に在ると信じられている体術とも違う!
この動きは……なんだ!?
……と……考える余裕は無い様です……
いや……違う!
こういう慌てふためかめなければならぬ時こそ、冷静沈着でなければならない!
そうだ。
某はここで何を成さなければならないのか?
その一点に集中せねばならぬ。
そこで、某はこの戦いを振り返りました。
何度斬っても立ち上がるぐれむりん。
何度も斬られたぐれむりんを何度も無理矢理立たせるぐろぶ。
そのぐろぶを斬ろうとすれば、ぐろぶは異様な動きで遠くに逃げてしまう。
その間、ぐろぶに無理矢理立たされているぐれむりんはこの里を襲い続ける……
ならば!
「すまぬ!先程の宣言を撤回する!某がぐれむりんを引き付ける!セツナ殿達がぐろぶをお頼み致します!」
「何!?」
あの異様な逃げ足の持ち主である筈のぐろぶが初めて焦った顔を魅せました。
どうやら、某のこの動きは予想外だった様です。
「ぐれむりん!こっちへ来い!某が相手だ!」

アリューシャperspective

「アイツ!……逃げやが―――」
「違うよ」
「違うわよ!」
「違いますね」
そこの3人、アンタの目は節穴か!?
アレを逃げたと呼ばず、何を逃げたと呼べと?
が、そんな私の考えを察したのか、セツナと言うビーストが私を諭す様に何かを指差した。
「アレを観て視な」
セツナが指差した方を視ると、グロブが他のエルフに向かって攻撃魔法を行おうとしていた。
「おい!アイツヤバいだろ!?」
だが、セツナは冷静だった。
「引き籠り過ぎたな素人さん?アイツの顔を良く観て視な」
顔って、そんな事を言ってる場合じゃないわよ!
このままだと、アイツの攻撃魔法がこの里を襲ってしまう!
「ツキツバぁー!こっちを見ろぉー!」
え?
アイツ、焦ってる?
「ツキツバは見抜いていたのさ。グロブが転送魔法で何度も逃げながらグレムリンを何度も復活させたその真意を」
真意?
一体どう言う事?
が、そんな困惑しながら焦る私を翻弄するかの様に、セツナは冷静に勿体ぶった。
「説明が聞きたそうだな?」
「馬鹿かお前!そんな事をしている場合じゃないわよ!それくらいは視れば―――」
「それだと、ツキツバがグロブの転送魔法に翻弄されるだけだぜ」
「じゃあどうしろと言うの!?」
「聞きたければ……素直に訊きな」
なんか……腹が立ってきたな……
「貴方達、やはりこの里の敵の様ね!」
すると、私を馬鹿にする様に呆れながら説明する。
「普通逆だと思わないか?何故敵に逃げられた時に焦る?いくら転送魔法が得意だからってのもあるが、ツキツバに何度も斬られそうになった時は全然焦ってなかった。寧ろ、グロブを斬ろうとしたツキツバをグロブは小馬鹿にした。それってつまり、グロブの作戦はツキツバが何も考えずにグロブに斬りかかるのを想定したものだった」
「え?」
敵に襲われる事を想定して作戦を立てる?
「ま、住処を死守するだけで勝てる戦いを繰り返してるだけのアンタらには解らないでしょうね?卑劣で残忍な追撃者の考えなんて」
「つ……追撃!?」
えーーーーー……っとぉー……どう言う事だ?
「つまり、グロブにとって、ツキツバが生きてこの窮地を脱する事が敗けなんだよ」
「何?敵を追っ払って逃げる背中を拝む事が敗北に繋がるだと?」
……やっぱり、言ってる意味が解らない……
「敵が逃げてくれる事は、非常に喜ばしい事の筈だろ?」
「それは、拠点を防衛している時や敵に追われている時の話。ツキツバを殺す事しか考えてないグロブにとっては、ツキツバを取り逃がす事こそが想定外の展開なんだよ」
それってつまり……狩りで獲物を取り逃がす時の悔しさの事を言っているのか?
だとしても……
さっきまでグロブがいた場所を見て……やはり私は理解不能となった。
「獲物を取り逃がした悔しさにしては……アイツ、焦り過ぎではないのか?」
すると、セツナは大笑いした。
「その焦り、追い詰められて後が無い殺し屋にしか理解出来ないでしょうね」

めぐみんperspective

やはりおかしいと思っていたのです。
あのツキツバが一目散に逃げ出すなんて、天地がひっくり返っても在り得ない事ですから。
それってつまり……この私に思う存分爆裂魔法を撃たせてくれる為の演出なのですね♪
「ならば、お任せください!何度も復活するグレムリンなど、この私がひとまとめに火葬してあげます!」
そして……この私の当たって欲しい予測を裏付ける様にあの男がツキツバの許に転送されました。
「待てぇー!貴様、英雄の称号を持つグループである『サムライ』に泥を塗る気かぁー!」
「もう引っ掛かりませぬぞ!」
グロブの奴、焦ってる焦ってる♪
「何!?」
「自軍を勝利に導く事、武士の務め!」
お陰で、爆裂魔法の詠唱がスムーズに進みます♪
「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が深紅の金光を望み給う。覚醒の時来たれり、無謬の境界に落ちし理。無業の歪みとなりて、現出せよ!踊れ、踊れ、踊れ!我が力の奔流に臨むは崩壊なり!並ぶものなき崩壊なり!万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段!これこそが究極の攻撃魔法!爆裂魔法(エクスプロージョン)!」
「しまった!全てはこの為の布石か!」
私の爆裂魔法が、何度も復活するグレムリンゾンビを綺麗に灰にしていきます……
「ぬうぅー……ならば!」
グロブは再び転送魔法を使ってツキツバの攻撃を避けました。
「めぐみん殿!急ぎ里に戻りますぞ!」
あ……すいません……
先程の爆裂魔法に魔力を注ぎ過ぎて……
「ちょっ!?こんな所で寝ないで下さい!」

セツナperspective

ツキツバがグレムリンゾンビをこの里から追い出す為に囮となり、めぐみんが突然と消えた……
となると……
「はい!私は運が良いぃー!」
「ぐは!?」
やっぱりね。
「大方、ツキツバを追うのに夢中になったグレムリンゾンビがアンタの蘇生魔法の効果範囲から出たか、めぐみんの爆裂魔法でグレムリンゾンビが全滅したか?」
「くっ!」
「図星の様ね?どっちにしろ、アンタはツキツバを殺す事に夢中になり過ぎてグレムリンゾンビを使い果たした。だからこの里にいるエルフを殺してエルフゾンビを補充する。そんなところか?」
「くっ!」
……図星とはね……
「あんたらしくないな。ツキツバの攻撃を転送魔法で避け続けたアンタが、仕切り直しと言う手段を思いつかないなんて?」
あの様子からすると防衛と狩猟以外の戦闘をした事が無いアリューシャですら、この予想には理解し納得した。
なら、これ程の卑怯を恥かしがらずに平然を行ったグロブが、逃亡して仕切り直しと言う手段を択ばないのが不思議でならない……
いや……1つだけ理由がある!
「あんた程の大物が既にここまで追い詰められるなんて、ツキツバはそこまで魔王を追い詰めていると言うの?」
グロブがキョロキョロ周囲を視てる……この期に及んで転送魔法による逃走ではなく、使えそうな死体を探すとは……
もしかして!?ツキツバが言いかけたあの言葉!何者かにツキツバとクソセインとの出遭いを阻まれてると言おうとしていた!?
「だとすると、やはりツキツバがこの世界に来た理由は、やはり魔王か?」
その時、この里の長老がやって来て、アリューシャがもたもたしてる様に観えたのか、かなり物騒な檄を飛ばす。
「何をしている!?早く奴を殺すのだ!奴は危険だ!生かしておけば、必ず―――」
あ!馬鹿!
「死ねぇー!」
使えそうな死体を探していたグロブにとって、長老が飛ばした檄は正に渡りに船!
「ギャアァーーーーー!」
「長老!?」
「さあ、亡者共。この死人使いグロブが今1度命を与えましょう。ミハリ・クシゼキキ・イヨカナ・ハグジソラム!」
何をしてくれたのよ!?そこの出しゃばり老人!
ツキツバやめぐみんがせっかくグレムリンゾンビをこの里から追っ払ったのに、この里にとっては最も厄介なゾンビが誕生しちゃったじゃない!
「う……うぅ……」
「え……長老……」
「……馬鹿が……」
で、この里の長老がゾンビとなってこの里を襲うとは全く想像できないアリューシャ達は、面白い様に大混乱した。
「長老!お気を確かに!」
「長老が、俺を殺そうとした!?」
「やめて!この子だけは!」
それに対し、自身の使い魔と言えるゾンビを取り戻したグロブは、この里のエルフを嘲笑う程の余裕を取り戻してしまった!
「ご心配はいりませんよ。この私がいる限り、そこの方は死にませんから」 
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