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同志諸君に告げる。これが理不尽だ!

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第18話

 
前書き
サイト管理者です。第18話「要塞ワープ実験」になります。
どうぞ、ご覧下さい。
*はナレーション風のセリフです。 

 
 地球にてアンドロメダ級4隻の就役式典が終わった頃、ミドガルドは自身の領域でもあるとある宙域で、『あること』が行われようとしていた…。

 その宙域には少数のミドガルド艦隊が一つの”何か”を誘導しているようだった。”何か”は宇宙に溶け込むかのような漆黒の球体であった。

 「サブスペースの影響領域への侵入準備…。パイロット艦隊による誘導終了。繰り返す、パイロット艦隊による誘導終了」

 パイロット艦隊に誘導されていた”何か”はミドガルドパイロット艦隊よりも大きかった。いやアレを大きいなんて済ましても良く無いだろう。

 何故なら準惑星サイズを誇る天体なのだから…。

 ”何か”は金属で出来たような巨大な球体であることから、まるで人工的に造られたかのようであるようだ…いや、間違いじゃ無い。”何か”は人工的に造られた。

 その証拠に”何か”の球体にはなぞるように青く輝く線が多々あるのと、後部中央にメインの推進部と思われる巨大な一つのエンジンが埋め込むようにあり、メインの推進部を囲むようにして推進部と思しき複数のエンジンが同様に埋め込むようにあった。それは青い粒子を放ちながら動いていた。

 そして、”何か”の正面中央には巨大な穴のようなものがある。兵器の一種だろうか…。

 その”何か”を知るミドガルドは”何か”に対してこう呼んでいた。その名も『ガイエンブルク級移動要塞』っと。

 「サブスペース発生シークエンス8まで終了を確認。これよりサブスペース発生シークエンスを最終段階へ移行」

 要塞には本計画の立案者である七大統治者が一人、ステラ。作戦の司令官を務めるオリビアと瓜二つのオリビアNPC。副司令官のマーシャルクローンコマンダー、リルデ。技術部門を中心にプレイヤー数十人と62400人の将兵、そして数多のバトルドロイドが乗り込んでいた。

 一方、旗艦を務める統治者級(エターナルストーム級)のブリッジには司令席に座るオリビアを囲むようにしてオリビアと瓜二つであるオリビアNPCを筆頭に幕僚達が集い、更にクローン中将ないしクローン少将達、及び各艦隊の司令官であるクローンコマンダーが集合し要塞より離れた宙域で、固唾を飲んで三次元投影された巨大スクリーンに映る光景を見守っていた…。

 「これほど揃うと中々に壮観だな。同志(創造主)よ」

 「あぁ、そうだな」

 オリビアはチラッと隣に佇んでいる黒ローブ姿の映像伝達ロボットを見やる。ロボットは人ベースではあるが頭は違った。頭は近未来的なテレビカメラのような物となっている。

 「──。カウントダウンを開始…30、29、28、27──」

 「後方支援部隊は速やかにワープゲート軸線上から退避せよ。繰り返す──」

 カウントダウンが始まったと同時にもう一人のクローンオペレーターが退避する旨を後方支援部隊に指示する。

 指示を受け取った後方支援部隊の艦艇達は直ぐ様に退避に入る。完了した頃にはカウントダウンは10秒を切っていた。

 「──7、6、5、4、3、2、1…ガイエンブルク要塞ワープ開始!」

 ガイエンブルク要塞は宙域を照らしながら吸い込まれるかのようにワープした。


 

 少しして、ワープする予定のポイント…此処、通常空間に現れた。ワープのエフェクトは青白く○字状に空間が割れるようにその中心部から、蒸気の様な靄を纏わりつかせながら物体がゆっくりと現れようとしていた。

 その光景を旗艦に報告する為、ワープゲート近場で報告する艦が1隻居た。

 「此方《フォックスアハト》。発生時、重力場、共に許容範囲内。──」

 蒸気の様な靄を纏わりつかせながらガイエンブルク要塞はゆっくりと現れ、数秒後に通常空間から姿を完全に現した。

 「此方《フォックスアハト》。────」



 〜〜〜ミドガルド旗艦 統治者級〜〜〜
 
 巨大スクリーンに映るガイエンブルク要塞を観てブリッジに集まる者達は、結果を待っていた。
 
 「《フォックスアハト》より通信です…。ガイエンブルク要塞、ワープ成功です!」

 『おぉ〜』

 ガイエンブルク要塞がワープ成功したことに皆、歓喜の息を漏らしていた。ふと、自分達の後ろに座るオリビアを見やる。

 「……」

 オリビアは顔を脇に控えるロボットから正面へ向く。席を立ち、声高に宣言する。

 「ガイエンブルク移動要塞を正式に主力兵器の一つとすることを、此処に宣言する!」

 『はっ!』

 こうして地球、イスカンダル、ガミラスの与り知らないところで要塞のワープ実験が終了した。

 余談だが実はこのワープ実験はミドガルドが管理下に置いているすべての惑星、星系、星間国家に生中継されている。これによってミドガルドに対し畏怖の視線を向けていることにミドガルドは知らない。

 まぁ、もっともミドガルドはデ・ブランを除き管理なんぞしていないのだが…。ある種の放置。



 〜〜〜ミドガルド 駐地球大使館〜〜〜

 〈イザベラSIDE〉

 「…何?」

 『はっ、ユリアオブザーバーが大使に用があると…』

 「そう…ルナテント佐良。ユリアを中に入れなさい」

 『はっ。…どうぞ』

 部屋の一対の扉が音を立てて開かれ、4人の人物が入って来た。一人は言わずもがなユリアで残り3人は兵士。

 深緑色を基調とした士官用の軍服を身に纏い、大尉の階級章を付けているクローンルナテント佐良とフェイズⅡアーマーを装着しているクローントルーパー2人。

 ルナテント佐良はキャプテン美波と勤務交代要員であり現在はユリアの警護を行っており、一方のトルーパー2人はこの執務室を警備する衛兵。

 「やぁ、仕事お疲れさん」

 「イザベラも仕事お疲れ様ね」

 入室したユリアが親しみ篭った笑みを向けるのは、同じ感情を宿した笑みを私も作る。

 「貴女達は下がりなさい」

 「「「はっ」」」

 他者がいない執務室で二人きり…。私は執務席を立ち、執務机の正面にあるソファーに移動する。ユリアもソファーに座るけど、向かい合わせに座ってる。

 「それで用件は?お互い忙しい身だけど今日はどうしたの?」

 「いやまぁ、そうなんだけど…」
 
 歯切れが悪いこと。

 「実は、オリビアNPCからこんな物を貰ってね」

 それは…個人端末コンピューター?随分と古い型を…。情報か何か、それとも映像でも詰まっているのかしら?。

 「え?なんでそれを…」

 「プレゼントされちゃったんだ」

 はぁ?

 「なんでも…『面白いものが二つ撮れた。同志イザベラと一緒に見てほしい』ってさ」

 面白いもの、か。気になるわね。

 「良いわね。ちょうど休憩時間に入るところだったし、観ましょうか」
 
 〜〜〜映像再生〜〜〜

 バレル『──その星の名はテレザート。文明の頂点を極めてとされる伝説の惑星。その星の民は人間の意思そのものを物理的な力へと変えて、利用することが出来た…』

 …ん?。月面にあるバレル大使の大使館の様子なのだけども…。バレル大使と元ヤマト戦術長現ゆうなぎ艦長古代進一尉の会話の様子…え?何?早速ツッコミどころが出てきたんだけど…。

 「バレル大使がドアップされてる…てか、セリフといい発言者の名前といい、台本形式みたい」

 …まずは観よう。

 バレル『人間の想像力に限界が無いように、精神から引き出されるエネルギーにも限界は無い。無限に等しい力を誇った彼等は、その気になれば星座の形を変えることすら出来た』

 「へぇ〜…ファ!?」

 「何ですって!?」

 バレル『いつしか、彼等は肉体を必要としなくなり、精神だけの存在となった』

 !?え、神なの?ねぇっ、テレザートに住まう人達って現人神か何かなのッ!?ヤバ過ぎるわ!!どうなってるのこの世界は!!

 バレル『──そして、生きた人間では決して辿り着くことは出来ない次元の果てで、一つの命に結晶した。その名はテレサ。あの世とこの世の狭間であって、全ての平穏を願い続ける女神』

 女神様!?まさか想像している金髪金眼だったり…、

 *正解だ。同志イザベラよ。

 「私が思っていたことを!?」

 「でもイザベラ。これって結局は御伽噺の類…」

 バレル『古代一尉、コレは御伽噺では無い。テレザートが実在する逸話は様々な星間文明に残っている。どれも1000年以上も前のだが──』
 
 「「……マジか」」(唖然&驚愕)

 古代 『テレサのメッセンジャー?』

 バレル『そう。我々よりも高い次元に存在するが故に、テレサはこの宇宙の始まりから終りまで見通している。テレサに呼ばれた者はあるべきことをなさねばならない。──』

 古代 『…この座標、我々に幻を見せたあのエネルギー波と方向が一致します』
 
 バレル『そう、君達はそれを救難信号と称した。──』映像停止。

 「アレ?止まったね。」

 不調かしら。

 「叩いたら治るかな」

 テレビじゃないんだから…。逆に叩きに叩くと壊れるかも…ん?

 「あ、再生したわね。でも…」

 「なんか海底ドックにあるヤマトをバックに見覚えがありまくる顔が十数人揃ってる…」

 本当に何な…あ、コレが二つ目なのね。

 森雪『古代君、真田さん。お帰りなさい」

 古代『すまない。連絡もしないで…』

 島 『気にするな古代。真田さんから送られた時間断層のデータは皆確認しています』

 相原『こ、この情報はいつ…』

 真田『…中央に留まれ。あの時、去り際に土方さんはそう言った。少しでも情報を集める為、私はヤマトの再改造を引き受けた。…だが、くっ、時間断層の事を突き止めたところで、大きな流れを止めることなど。…結局、我々は負けたんだ』

 …むっ?今なんと言ったのかしら?おかしいわね。耳掃除怠っていない筈なのだけれど時間…え?

 「あれ可笑しいな。時間断層は機密事項であった筈なんだけど…」

 …マジか。

 古代『ど、どいうことですか?』

 徳川『ヤマトのクルー全員に本日付けで配置転換命令が出たんじゃ』

 古代『そ、そんな…』

 島『気にするな。お前のせいじゃ無い』

 徳川『儂らの気持ちを、上層部が分かる筈も無い…』

 相原『3年前のあの大航海で、地球は救われた筈ですよね…っ』
 
 南部『今の地球は、コレで良いのかよ…ッ』

 古代『…俺達はこの世に居ない大切な人から何かを語り掛けられた。…大きな災いが宇宙の何処かで起きようとしている。その事を言葉では無く、心で感じ取らされた。…今の地球政府は分かろうともしない。彼等に見えるのは…現実の光景だけだ。生きる為に、地球の主権を守る為に…でもそれは間違った未来に突き進むことじゃ無いのかっ?このままでは…死んでしまった者達へと顔向け出来ない!』

 「にしても大きな災いって何かしら?」

 「白色彗星とかじゃない?後は災いとかでは無いけどテレサ。でもそれってなんの関係が…え?」

 古代『俺は、ヤマトでテレザートに向かいたい…皆!力を貸してくれ!』

 「「……」」

 真田『古代、行こう。今の地球にヤマトの居場所は無い。だからこそ真実を突き止め、間違った未来を変えるんだ。それこそが今、やらねばならないこと…ヤマトと共に生きた我々の道なんだ!』

 古代『真田さん…!』

 徳川『沖田さんがきっと導いてくれる』相原『そうだ行こう!』山崎『ヤマトで行こう!』百合亜『頑張ります!』榎本『俺達は間違ってない!』南部『司令部が何だってんだ。負けるもんか!──』

 *以上で二つの面白いもの映像はこれにて終了。ちゃんちゃん♪。

 そう残し、画面は一瞬で暗くなり、電源もオフとなった。

 「「……」」 

 静寂が部屋中を支配し、無言でこの部屋から隣にらう執務室へと向かい、ソファーにどしりと座る。そして……

 「「これのどこが面白いんじゃあーッ!!」」

 私達は叫んだ。仕方が無いでしょう?色々と衝撃的すぎるのだもの…はぁ。

 オリビアNPCから渡された映像を見た私達は、頭を抱えて悩みに悩みまくった。


*この後、なんやかんやあってヤマトの反乱はお咎め無しと藤堂長官より地球防衛軍全てに通達され、ヤマトは独立部隊としてテレザート星への調査航海を正式に藤堂長官より言い渡されたのであった。

 *一方その頃、

 「ゾル星系最果ての星か…」

 「はっ、特殊な楕円軌道の為、黄道面から大きく外れておりますが…紛い物の恒星が生物の活動を保証しています」

 「ならば我々は別なものを”保証”してやろう。いつもの手順は既に踏んだ。…では始めるとしよう」

 大陽系に再び危機が迫っていた。

-

 「オリビア統治者。ご報告致します。太陽系最果ての星、第11番惑星に〇〇〇〇〇〇○の艦隊が出現しました。侵略と思われます」

 「…ふむ」

 「地球軍の空間騎兵隊と呼ばれる者達による活躍により、住民の避難は迅速に行わています。その為、都市部に向けて重点的に艦載機によるミサイル攻撃、爆撃を受けましたが幸いというべきか死者は驚く程におりません」

 「…ふむ?」

 「現在は〇〇〇〇〇〇○の兵器と思われる複数の人型機動兵器と兵士達が地上にて掃討戦を行っているようですが…無意味なことこの上無いでしょう。逃げ遅れた者達もいるようですが既に避難場所へと向かっている最中なのですから。それともう一つ、新たな報告がございます。地球を発ったヤマトが現在、第11番惑星に進路を取ったようです」

 「なん、だと!」

 「!?」

 (オリビア統治者…っ。あなたはそこまで第11惑星の事を想って…!?)

 「オリビア統治者!太陽系巡回中の艦隊を直ぐに差し向けます!では私は此方で失礼させて頂きます!!」
 
 

 
 
 「…消去しなくては」「同志(創造主)、自分の世界に集中しすぎたあまりに重大になりそうな報告を聞き逃した…」 
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