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今度こそ、成し遂げてみせる【未完】

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第15話「その手は繋ぐ為にあるんだ!皆で力を合わせて倒そう!/まさかこんな事になろうとは…」

 響、翼、クリス、そしてヒルデは街にある東京スカイタワーにてノイズと戦いを繰り広げ、現在は”彼女”と対峙していた。

 事の発端は櫻井了子である。二課司令官、風鳴弦十郎は最近の彼女の様子がおかしいと気づいた。

 それだけでは無い、…彼女の行動に疑いをそして違和感を持ち始めたのだ。
 弦十郎の指示の元、調査部による調査と米国政府による御丁寧な案内でその疑い、違和感が確証へと変わった。

 …まず、おかしいのだ。ノイズはそもそも本来、一般人が普通に生活していてノイズに遭遇する可能性は非常に低く、一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回るとされ、人々の認識もそのようなものとなっている。
 
 私立リディアン音楽院高等科周辺にてノイズの発生が頻発している状況は、明らかな異常事態と言えた。

 そんな存在を確認した二課は直ちに彼女が所有している屋敷へと赴いた。
 だがそこには戦闘が起きたと容易に分かった。軍人達が血を流していたからだ。

 二課は疑いの対象である彼女をいぶり出す為に、スカイタワーにて発生したノイズに対し、敢えて全ての装者とヒルデを向かわせた。
 例の【ソロモンの杖】による人為的な発生によるものだと分かったが、現在の所有者が分かっていない。…いや、既に分かった、が適切だろう。

 「フィーネ!この惨状はお前の仕業か!」
 「フィーネ、だと!?どういうことですか、櫻井女史!」

 身近に居たのだ。
 今、対峙している彼女こそが…櫻井了子でありフィーネであると。彼女がソロモンの杖によりノイズを自在に操っている存在であると。
 世界中の人類の遺伝子構造に潜み、アウフヴァッヘン波形に呼び覚まされる旅に蘇る先史文明期の巫女。それがフィーネの正体である。

 フィーネの末裔は、世界中に存在するが、同一時間上に存在するフィーネは、その魂の数と等しくひとりである。己が恋心を伝える為にバラルの呪詛を解き放ち統一言語を求めた彼女は人類の歴史に度々登場し、数千年の時を経た現代において、ついに、その成就を目前とするのであった。

 それを証明するかのように突然地面が大きく揺れだした。その揺れは徐々に大きくなり、地響きが辺り一帯に鳴り響く。そして、天を突くように大地を割りながら、巨大な塔が現れた。

 だがそれだけでは無い、了子の…フィーネが今までやってきたことは序章に過ぎない。最終目標は…月を破壊し、世界を再び一つに束ねること。

 少女達は人々と世界を守る為に、彼女の野望を止めるべく、行動を開始する!


 第3.5話 まさかこんな事になろうとは…
 〈ヒルデSIDE〉

 「もはや余人に私を止めることなど叶わぬ。そこで大人しく見ていることだな」

 「櫻井女史、いやフィーネよッ、お前を止めて見せる!」 『私達が!!』

 「ふん、永遠を生きるこの私が、余人に歩みを止められる事などあり得ぬことよ」
 
 なんでこうなったんだ...。始まりはアレか?
 たまたまスカイタワー最上階でガイドブック片手に街の景色を眺めていたら、目の前でノイズが発生していたことか?
 眼前で空を飛ぶ1体のノイズを倒した後、ガラスを剣技で破壊した。緊急時だから仕方ないな、私は悪くないぞ、悪いのは全てノイズのせいだ。

 タワーから地面へと着地した後に響、翼、奏、クリスと共闘したことか?
 そういえば最初不穏な空気だったな。響主導で手を繋いだら緩和どころか良くなったが…。しかし何故かクリスから謝罪が? 前もあったよな。

 しかし、了子、いやフィーネか。
 …なんて痛い奴なんだ。まさか厨二病を患っていたとは。

 …いや思えばあの時から分かってはいた。彼女は誰も居ない廊下をキョロキョロと見渡し、研究室へと入り、コーヒをコップに注ぎ入れ、ちょびちょびと飲みながら言っていたからな。

 『―――それは、はるけき過去に施されし、カストディアンの呪縛から解き放たれた証。―――』

 更に、響の写真が至るところにあったのだ。…コレ以外にもストーカーとは、事案ではないか、罪深い女だ。
 
 しかしフィーネが言っていたカ・ディンギル…意味深な壁画や文字がビッシリと外にもあったし、そして巨大な砲身の中にあるかのように、ポツンとあるエレベーター…はぁ? え、何? では今まで砲台って事に気づかずに行き来していたってことか!それを実現するとは…。

 …戦慄する他ないな。

 「ふん、少しの力程度でこれとは…。しかし、やはり貴様は地に立っているか、それも無傷の状態で」

 ん? そういえば先程から静かだ。

 辺りを見渡すとシンフォギアを纏っている響が地に伏しており、悔しそうに苦しそうに顔を上げ、うめき声を出している。

 …え?
 唖然としてしまうのは悪くないだろう。
 翼とクリスはどうしたのだ? まさかクリスはミサイルに乗ってガ・ディンギルとやらに特攻したとか無いよな? 翼も特攻しているとか無いよな?

 どうやら気づかぬ間に、二人は天に召されたようだ。
 …う、嘘だー!?
 
 な、何故だ。
 何故、このような…涙流したほうがよいのか? いや、涙は似合わないな、この私には。

 しかし、何故私は無傷のままなんだ?
 避けたとこの女な言っていたが、そんな記憶は無いぞ。
 謎だな。

 「まぁ、いい」

 よくないんだが?、巫山戯やがって!
 ギッタンギッタンのベッタベッタにしてくれようか? あぁん!
 私が無傷な状態の理由を教えろ!…いや、五体満足な状態なのは此方としては有り難いのだが。

 「一発目は雪音クリスによって月は掠め、ほんの一部を砕けることで阻止された。2発目も風鳴翼、天羽奏によって同様に。両者は絶唱を使った。だがもう帰らぬ存在となった」
 
 くっ、クリスに翼、お前達のことは忘れないぞ!
 仇は取ってやる! 響がな。
 だから早く起きてくれ! 私だけじゃ無理あるぞ!
 
 「…余力はもう残されていないだろう。貴様は兎も角、地面に転がる立花響は戦うことすらままならない状況だろう。既に発射シークエンスに入っている…今度こそは必ず穿つ」

 ソレを月に砲撃?されると世界滅亡??…現実は非情だな。
 てか我が管理局は何をしているんだ! 私のピンチだぞ!

 ―――もう一人の私に告げる。

 馴染みあるこの声は…! 遅いぞ、いったい何を…っ。

 ―――そう心配するな。

 「…なんだ? 空気を切り裂くこの音は一体…」

 フィーネが疑問に思ったか、私も遺憾ながらお前と同じく同感だ、しかし、私はこの正体を知っている。

 ドカァァーアン!!!

 「な、馬鹿なッ!ガ・ディンギルが…!?」

 ―――私達が居るのだから。

 その言葉と同時に、4つの光が天を貫く。

 一つは蒼、青く澄み渡る翼の光。
 一つは紅、マグマのように輝くクリスの光。
 一つは黄、黄金に輝く響の光。

 夜明けと共に立ち上がる四人。

 希望が絶望の淵より光り輝き立ち上がる。

 純白のギアを纏って翼を羽ばたかせ、響達は空へと舞い上がる。

 さぁ、いよいよ決戦。覚悟は良いかフィーネ?
 反撃の時だ!
しかし、我が管理局の部隊がいないが、この戦力であれば問題ないと考えたのだろう、私も同じ考えだ。

この戦い貰ったな。…しかし、月の欠片落ちて来ないか心配だが、まぁ、落ちてくる訳がないな!
 曇りなき笑顔を内心でしている私は、確信があった。

 …そう、フラグ地味た、いや、フラグを建築していたことを、暫く経った時に知ることになる。

 「――軌道計算、出ました。このままでは、直撃は避けられません…」

 月のほうを注視すると、砕けた月の欠片が、徐々に徐々に大きくなっていくのが分かる。

 ……言うんじゃ、無かったな。 
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