今度こそ、成し遂げてみせる【未完】
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第2話「備えよ」
なんやかんや叫んでたヒルデは秘密道具の一つ、【キャンビングカプセル】を出して寝ていた。
ーー翌日ーー
夜が開けた日の朝、キャンピングカプセルの直ぐ近く。直径3m丸机に囲むように座るヒルデと7人の姿があった。
「ではこれより【第1回 コレから何を為す?会議】をここに執り行う」
管理局の腕章をつけたヒルデが会議の開始を宣言する。つまるところ私だな。
彼女らはひみつ道具を使って用意した人材であり、私の事を誰よりも理解している者達だ。
今はまだここにいるメンバーだけしか用意していないが、必要があれば増やす準備も既に整えている。
「まずこの会議の進行を務めさせてもらうのは議長の私、ヒルデだ」
この流れで他も自己紹介をやっていくのだが皆、同一人物かつ同じ性格。
まぁ理由としては人が増えれば意見も沢山出て捗ると思ったから。
使った道具は【タマゴコピーミラー】。
【フエルミラー】とよく似た名前と効果の複製系の道具。
タマゴコピーミラーはコピーする過程で卵を生み出し【エッグハウス】という孵化器でコピーの卵を孵す。
事前に卵の段階で○×うらないを使い、性格が明らかに違うものがいないか診断してから
孵すようにしている。
フエルミラーでも良かったと思う。なんせ直ぐ複製が出来るのだから。だが同時に危険性が存在する。
性質上、使用者の姿も映り込むのだがそのまま一定時間を過ぎると実体化した鏡人間が自我を持って出てきてしまう。
そうなると衝突は避けられない。負ければフエルミラーの中へと追いやれてしまうことが起こり得る。
よってタマゴコピーミラーを使用が決まった次第だ。
にしても…
「(全員の挨拶を終え、私も含めてだが私同士でのツッコミは中々に面白いな)」
「さて、何か案は?」
直ぐに手が挙がった。
「ではどうぞ」
「ヒルデだ、まずはこの一帯を基地化するのはどうだろう?」
基地化か、確かにありかもだな。しかしそれは…、
「それでは、未確認の勢力に見つかるのでは?」
「衛星で発見される可能性は?」
そう、そうなのだ。そもそもあの女神は、異世界とは言っていない。
ましてや…、
「この世界は前世の地球かもしれないし、そうでは無いかもしれない」
「あるいは高度な科学文明を持つ世界、か」
危険だ、全部では無いが要望どおりに特典が付与されたとはいえ、油断は出来ない。
まぁこんな感じで緊張感持ってる私達だが同時に…、
「地下にでも作らないか?秘密基地を…」
『よく言った!採用!』
前世より夢見たことが実現出来ることに高揚している!
「分かっているな」「流石は私だ」「お褒めの言葉を感謝するぞ私」「浪漫の実現到来、か」「遂に、か」「オリジナル!秘密基地採用を!」
…確かに前世より夢見たことが実現出来るが出来ることに高揚しているのは分かる。この私もそうだ。
分かるのだが……なんか凄い。語彙力が無くなってしまう程に凄い。これが自分同士での会話なのか……。
あ、瞬時に落ち着きを取り戻したな皆。かくいう私も。
『ではさっそく秘密道具の出番だな』
「あ、あぁ、地下工事マシンを使う」
【地下工事マシン】とは設計図を描いてこの機械に入れ、『コンクリートボンベ』を上に乗せバルブをひねると、地下に思い通りの基地が出来上がる。
「これより、設計図を作成する」
私は合図を出した。よし、取り掛かるぞ!
ーー数十分後ーー
『この内容でどうだろう?』
完成だ!
内容は以下の通りーー
地下一階層 ロビー、警備区画、通信室、電力供給室。
地下二階層 警備区画 通信室、武器庫、トイレ。
地下三階層 実験区画 収容所、電力供給室、警備室、トイレ。
地下四階層 建造製造区画 艦船、武器、兵器、戦闘機器、格納庫、武器庫、研究所、工房、通信室、警備室、電力供給室、トイレ。
地下五階層 職員区画 カフェテリア、ランドリー、バスルーム、トレーニングルーム。食堂、レクリエーションルーム。
地下六階層 特別区画 資料室、備品倉庫、司令場、管理部、通信室、会議室、電力供給室。
以上。
「ーーー問題ないだろう。設計図は出来上がった。気合入れてやっていこうか」
『了解した』
「まぁやることは設計図を入れて、コンクリートボンベセットしてバルブひねってボタン押すだけの簡単な仕事だけどな」
『ハハハ』(笑い声)
「ハハハ、じゃあボタン押すぞ?ポチっとな」
地下工事マシンは作動を開始した。
ーー1時間後ーー
私はコピー達と共に完成した秘密基地に入り出来を確認していた。判定結果はーー
『素晴らしい!?』
予想以上の出来に会見一致の言葉!全員同一人物だから当然か。
「まさか秘密道具に此処までのことが出来るとは」
「いやはや、これは驚かない方が無理があるというもの」
まったくもってその通りだとも。
まさに近未来の見た目だし構造だし、言葉で表すことがとても難しい程に良く出来ている。
秘密基地は見事に完成! 何度も言っているが本当に素晴らしい。…あ、そうだ。
「そういえば…」
「どうした、私?」
「いや役職とか組織とか決めてないけど大丈夫か?オリジナル」
あぁその事か…。
「問題ない。既に決まっている」
「そうなのかオリジナル?まぁ同じ私だから考えてること分かるんだけども」
「それでも聞いてみたくなるよな?」
「同じ私だからな」「同じ私だからか、気兼ねなく話せるし表情も口調も崩せるから好きだ」
「人前だと何故か強制的に表情とか口調が堅くなってクールになるよな?」
「まぁ安全だと分かってるからね、此処」
オリジナルである私がそう発言をすると、コピー達がすぐに会話を中断する。
「まずは組織名は【管理局】」
「初期メンバーである君たちは【セブンシーニオオフィサー】とする」
日本語にすると七人の最高幹部。
英語で言ったのは…その、察して欲しい。
「君たちには黒い管理局の腕章をつけてもらう」
与えた理由としては増えるコピー達と区別するためのものだ。
この黒は最高幹部としての証。
ちなみに私は赤。
「そうなるとオリジナルは…」
「【管理者】だ」
何故かって?作中のヒルデと同じく謎を呼ぶ存在だからだ。分かっていることは管理局の創設に関わり世界を守護すべく組織を率いる(陰ながら)ぐらい。
後はまぁ響き良かったから。
「最後に方針だが決まったことは特に無い。あるとするならこの世界について知ることと未知の脅威への対抗策として人手不足を解消と開発を行ってもらいたい」
『了解した』
返事をありがとう。
「ではコレにて【コレから何を為す?】会議を終了とする」
『お疲れ』
よし、基盤も出来たことだし、外にでも行くか。
「管理者、外に行くのか」
「あぁ、気分転換にな」
「じゃあ情報収集よろしく」
パシリがやってきた。
「おいコラ、パシリするなよ??」
「大丈夫大丈夫、私達もする」
「それ絶対やらない奴のセリフだからな?はぁ誰に似たのやら」
『オリジナル』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
…分かったことがある。
まずは地球であり科学文明であること。
コレには驚いたがどうやら歩んできた歴史が違うようだ。
特典が付与されたからか言葉は分かるし書くことも出来た。出来なかったら大変困る。
年数の方は差があり20年程ある。
此処までは良い。此処まで良いのだ。自分は今現在、危機的状況に襲われている。
私は某コンサート会場のとある一角に立っている。
会場はまさに、阿鼻叫喚と呼ぶに相応しいだろう。
観客はこの突発的な事態に混乱しながら我先にと出口へ雪崩れ込む。
それに引き寄せられるかのように飛来する謎の存在。
私はその場で唖然とし悟った…これ、死ぬやつだ。
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