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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その三

「しかしです」
「領主もおらずな」
「はい、全くの無人であり」
「何も手がついていないな」
「そうした星系です」
 タンホイザーはモンサルヴァートに素直に答えた。
「この星系は」
「だが戦略上の適地だ」
「暗黒宙域進出と踏破を考えますと」
「それならばだな」
「ここにです」
 そのノール星系にというのだ。
「基地を築くべきです」
「そういうことか」
「はい、それで統帥本部長ともですね」
「話をしてな」
「最後はですね」
「閣下がお決めになる」
 ギルフォード、彼がというのだ。
「そうなる」
「左様ですね」
「だが閣下は以前よりだ」
「以前からですか」
「卿が今いるノール星系についてだ」
 まさにその星系にというのだ。
「注目されていた」
「そうなのですか」
「以前その星系のことをお話に出されていた」
「もう既にですか」
「そうだ、あの方は既にだ」
 まさにというのだ。
「暗黒宙域への進出と踏破を言われていたが」
「拠点もですか」
「お考えでな」
「ノール星系にもですか」
「言及されていた」
「既にそうだとは」
「驚くべきことだな」
 モンサルヴァートはモニターに映るタンホイザーに言った、二人は遠く離れても互いに視線を交えさせて話をしていた。
「我々が動く前からだからな」
「もう暗黒宙域のこともですね」
「お考えだったな」
「既に選挙の公約で主張されていました」
「踏破してな」
「その先にある新天地を手に入れる」
「その為にだ」
 まさにというのだ。
「お考えだった」
「そしてですね」
「ノール星系も言われていた」
「その拠点に」
「そこまでは言われていなかったが」
 それでもというのだ。
「ご自身の頭の中にだ」
「もう置いておられましたか」
「そうだ」
「恐るべき慧眼ですね」
 タンホイザーはモンサルヴァートの話をここまで聞いて唸って述べた。
「もう既にとは」
「実にな」
「はい、ですが」
「それでもだな」
「私も実際にです」
「辺境を見回ってだな」
「ノール星系はです」
 まさにというのだ。
「そうした場所だとです」
「実感したな」
「はい」
 こうモンサルヴァートに答えた。 
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