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彼は いつから私の彼氏?

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2-4

 12月の期末テストまで私達は、図書館の自習室とか翔琉君ンチで勉強した。翔琉君のお母さんも我が息子の変わり様に驚いている様子だった。

 私は、刺繍糸で手首に着けるミサンガみたいなものを作っていた。急 こしらえだったので簡単なものだけど、翔琉君とお揃いなのだ。同士という証なのだ。翔琉君も文句も言わず着けてくれている。

 テスト用紙が配られる度にそれを上から握り締めて翔琉君のほうを見たのだけど、彼もそれに応えてくれているようだった。合間の休憩時間に、白浜美蕾が翔琉君に話し掛けるんだけど、彼は心落ち着かせたいから話し掛けないでくれって、ビシッと突き放していたのだ。それで、心地良かったけど私には別の目標があった。

 すべてのテストが終わった時、私達は眼を合わせていて、出来たよね ウン 大丈夫と 言っているのがわかった。

「水澄 なんか すごいね どんどん書いていてさー 今までと ぜんぜんちごーぉたやんかー」と、智子ちゃんも帰り道で

「うん 最後やしー トップ 狙ろうてたんやー」

「はぁー トップ・・・宮川君の上かぁー?」

「そうやー トップってゆうたらトップや 翔琉には負けるかもしれんけどなー」

「そーゆうたら ふたりで頑張ってたみたいやもんなー 水澄がこんなに頑張るって知らなんだ 美蕾ちゃんが現れてからだよね 対抗心 むきだし」

「そっ そんなことないよー 別に 意識してないモン」

「ウチに 見え見えのウソはやめなー 声が上ずっている」

 そして、冬休みも近づいた時、私と翔琉君はふたりで河道屋先生に呼ばれて

「あなた達の仲の良いのは好ましいと思っているのよ 励まし合っているみたいネ 香月さん 石田三成って知っているよねぇー」

「はい! 生まれたのは滋賀の長浜のほうとか」

「そうねぇー どこのお城のお殿様になったの?」

「もちろん 生まれ育った長浜です いいお殿様で 城下の人達にも慕われたとか」

「あっそう 欅原君 合ってる?」

「ええ 最後は悲運の人でしたが 豊臣のために尽くしたとか」

「そう どこで あなた達 間違った知識を覚えてしまったのかしらー それも 二人揃ってー・・・ テストで同じとこ間違えているの 長浜は羽柴秀吉よ 三成は佐和山城 こんなことで同じように間違うなんてー 算数でもあったの 同じところの間違い 席が隣同士だから・・・疑いたくなるでしょう?」

「先生 私達 そんなー・・・」

「そーです 疑われるようなことしてないです」

「ふふっ 信じてるわー 二人を・・・ 一緒に勉強したのね 期末テストの結果がね 香月さんが1番 2番は欅原君 3番は宮川君だったわ 彼は今までず~っと1番だったのよね でも入試を控えて、いつも通りでも1番になれると思ってたのかしらね」

「えっ やったー 翔琉」と、私は思わず彼の手を取って跳ねていた。

「うっ あじゃぁー 水澄に負けたのかぁー」

「あじゃぁー じゃぁないわよ 欅原君 君は漢字の書き取り 3ツも間違ったのよ それで -9点 それが無ければ香月さんの上だったのよ ハネル部分をハネテないとか つまんない間違い それに 私も許せないのは 水澄ちゃんの 澄の字 1本足んないのよ! なんなのよー 大切な女の子の漢字くらい・・・」

「えー 水澄って呼ぶだけで 書いたこと無かったからー」

「そ~いう風に どこかで いい加減なとこ 直しなさい! でも 二人で頑張って勉強したのわかるわー テストの時もお揃いのミサンガしてたわねー」

「あぁー 水澄ったら 強引なんでなー」

「あのー 先生 どうして 私と翔琉は 席が隣りなの多いんですか?」

「あらっ そーだったかしら なんとなくかなぁー 不思議と欅原君の隣りには香月さんになっちゃうのよね 迷惑だったかしら?」

「いえ 別に・・・ なんか訳があるのかなって 聞いてみたかったからー」

「まぁ 自然とね でも 仲良くなってくれて良かったわー」

「あのさー 俺等のことより 先生 自分のこと心配しなよー 誰も居ないんだろう」 

「なっ なんてことを・・・ 余計なお世話よ! そのうち何とかなるわよー 今は君達のことが手一杯で・・・」

「はぁ そのうちねぇー」

「・・・ 欅原君 通信簿 これからつけるのよ わかってる?」

「それって 完全なパワハラじゃぁないですかぁー」 

 冬休みになる前に父兄に直接、通信簿を渡すと言うことがあって、お母さんが学校から帰ってくるなり

「水澄 水澄ちゃぁ~ん お母さん とっても嬉しいわぁー 期末テスト クラスで1番なんだってぇー いつも1番だった子 追い抜いちゃったんだってね!」

「だからぁー それはー この前 言ったじゃない」

「でもさー 先生から聞いて初めて・・・河道屋先生って 水澄ちゃんのことベタ褒めよー もともと、おとなしくて素直な子だったけど、特に6年生になってからは誰とでも明るく優しく接して、勉強も前向きに頑張っているってー お母さんの育て方いいんでしょうねって お母さんも褒められちゃったー」 

「へっ へぇー お母さんがねー」

「誰に似たのかしらー・・・ お父さんじゃぁないよねー ・・・」

「そんなのー 私はお父さんとお母さんの子供ですよ!」

「・・・そうね・・・お母さんの娘よねー あのね さっき お父さんに電話しといたの 今日は早く帰ってきてーって お寿司ネ 回転寿司だけど」 
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