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神々の塔

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第八十三話 光の神その八

「簡単やない」
「人には良心があってな」
「恥も外聞もあるからな」
「道徳心も信仰心も」
「そうしたもんがあってな」 
 それ故にというのだ。
「そんな落ち込んだりとかいう人らしい心のない」
「そこまでになることはな」
「難しいな」
「餓鬼というんか」 
 シェリルはこの存在のことにも言及した。
「もうな」
「バケモンと呼ばれるまで堕ちるとなると」
「そうかもな」
「餓鬼やな」
「それで餓鬼になれば」
 その時はというと。
「あまりに浅ましく自分のことだけ考えて」
「他のことは考えへんで」
「そうなってな」
 それでというのだ。
「ほんまや」
「落ち込むこともないな」
「落ち込むのもな」
 それもというのだ。
「マイナス思考やが心のプラスの要素からな」
「なるもんか」
「そうかもな、我欲ばかりになれば」
 心にあるものがというのだ。
「ほんまな」
「落ち込むこともないね」
「自分がどうかばかり考えて」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「考えることも」
「自分がどうするか、何を手に入れるか」
「それだけで」
「一切なくて」
 他のことはというのだ。
「落ち込むこともな」
「ないわ」 
 そうだというのだ、そしてだった。
 シェリルはメルヴィルに顔を向けてだ、こんなことも言った。真剣そのものの顔で口調もそうしたものになっていた。
「落ち込むこともええことや」
「そう考えるとやな」
「もう我欲ばかりになるとな」
 そうなればというのだ。
「人やないわ」
「仏教で言う餓鬼やな」
「そうした類になってな」
 それでというのだ。
「ほんまな」
「どうにもならんな」
「常にふんぞり返って」
 そうなっていてというのだ。
「自分は偉いとかしかな」
「思わんで」
「もう感謝も遠慮もや」
 そうしたものもというのだ。
「一切な」
「なくなるな」
「そしてな」
 そうなってというのだ。
「何かあったら自分に問題あるとは考えへんで」
「他人のせいやな」
「全てな」
 まさにというのだ。
「そう考えてな」
「それでやな」
「成長もせんわ」
「変わることもないな」
「餓鬼が落ち込むか」 
 そうなるかというのだ。 
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