ハッピークローバー
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第百四十三話 豆腐を食べてその十六
「聞いた限りだとね」
「あの人については全部実話だから」
「お葬式のことも」
「二つのね」
「他にも色々やらかしてるのよね」
「その全部がね」
まさにというのだ。
「実話よ」
「そんな人だとね」
一華はそれならとまた母に言った、豆腐を食べつつ眉を顰めさせてそのうえで言っていくのだった。
「本当にね」
「野垂れ死んでもいいのね」
「誰かの為に何かしたことないのよね」
「一度もね」
生まれてこのかたとだ、母は答えた。
「そうだったわ」
「そうよね」
「献血もね」
この行為もというのだ。
「一度もね」
「したことないの」
「献血したら」
そうすればというのだ。
「輸血が必要な時にね」
「人が助かるわね」
「だからね」
「いいことよね」
「人の為の行為よ」
「私も何度かしてるけれど」
「その献血もね」
これもというのだ。
「一度もね」
「したことないのね」
「そして他のね」
「誰かの為になることも」
「凄くいい煙草吸ってもね」
「働いてなくて他の人からお金貰って」
「ヤミ金から借りてもね」
そうしていてもというのだ。
「人の為にはね」
「何もしなかったのね」
「お金を貸すこともね」
「自分は借金しても」
「しなくてね」
「ケチでもあったのね」
「そう、本当に自分だけで」
そうした輩でというのだ。
「人の為にはね」
「何もしなかったのね」
「そうだったのよ」
「それでお葬式の時もそうした風だったのね」
「そうだったんだ」
父がその通りだと答えた。
「この話も有名なんだ」
「八条グループでも」
「八条家の人達が信者さんの教会にいたからな」
「じゃあうちの学園の理事長さんも見てきたのね」
八条学園のというのだ。
「理事長さんも八条家の方だし」
「勿論な、人がどう言っても思ってもな」
「気付かなかったのね」
「自分はこの世で一番偉いだからな」
そう思い込んでいるからだというのだ。
「だからな」
「それでなのね」
「もうそんなことはな」
「目に入らなかったのね」
「聞こえもしなかったんだ」
「世間の評判は」
「それでだ」
そうした風でというのだ。
「そうなったんだ」
「本当に野垂れ死にするべき人ね」
一華はまたこう言った。
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