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第百四十三話 豆腐を食べてその四

「本当に食べるもので変わるのね」
「体臭はな」
「そうなのね」
「そうなんだ」
「お風呂に入っても変わらないわね」
「ずっと食べてると身体に滲み付くからな」 
 その体臭がというのだ。
「それで身体の中からもな」
「出るから」
「それでだ」
 だからだというのだ。
「食べるものでな」
「体臭は変わるのね」
「そうだぞ」
 こう娘に話した。
「食べるもの次第でな」
「やっぱりそうなのね」
「だから体臭を本当に気にするならな」
 そうであると、というのだ。
「しっかりとな」
「食べるものにも気を付けることね」
「やっぱりお野菜とか豆腐だな」
 こうしたものだというのだ。
「そうしたものをよく食べるとな」
「あまり体臭しなくなるのね」
「日本人はよくお野菜とか食べるから」
 母も言って来た。
「お豆腐だってね」
「あまり体臭しないのね」
「日本は確かにお醤油の匂いがするかも知れないけれど」
 それでもというのだ。
「全体的によ」
「あまり体臭しない方ね」
「そうよ、実際極端に匂う人そういないでしょ」
「汗の匂いする人はいても」
 一華はそれでもとだ、母に答えた。
「他の国の子達に比べるとね」
「あまり匂わないわね」
「そうね」  
 母に確かにと答えた。
「そうね」
「そうでしょ、だからね」
 それでというのだ。
「和食はいいのよ」
「そうなのね」
「だからね」
「今みたいに湯豆腐食べたらいいのね」
「お野菜も沢山ね」
「そうしたらいいのね」
「ええ、ただね」
 ここで母は娘にこうも言った。
「ヴィーガンの人達いるわね」
「菜食主義ね」
「極端なね」
 こう言っていいまでのというのだ。
「そうした人達もいるけれど」
「あまりいいお話聞かないわ」
 一華は微妙な顔になって母に答えた。
「あの人達って」
「極端な人がいるからよ」
「命を奪うなって言って」
「精肉業者の人達に嫌がらせしたりね」
「それって犯罪の場合あるわよね」
「あるわよ」
 母はその通りだと答えた。
「器物破損とか障害とかのお話もあるから」
「暴力振るって」
「命を奪うなって言ってね」
 自分達はだ。 
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