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ハッピークローバー

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第百四十三話 豆腐を食べてその三

「ご飯もよ」
「食べないと駄目ね」
「茸の佃煮買ってきたから」
 見ればそのおかずもあった。
「そちらでね」
「ご飯を食べるのね」
「そう、そしてね」 
 そうしてというのだ。
「沢山食べなさい」
「そうすることね」
「そうしなさい」
「じゃあそうするわね」
 一華はにこりと笑って応えた。
「お豆腐にはぽん酢かけてね」
「一華その食べ方好きだな」
 父は娘の言葉を聞いてそれに突っ込みを入れた、三人でそれぞれの席に座って豆腐が入っている鍋を囲んでいる。
「お豆腐は」
「ぽん酢かけてね」
「そうだよな」
「お父さんは色々だけれどね」
「その時の気分次第でな」
 父はそれでと答えた。
「変えてるよ」
「そうよね」
「お醤油をかけてもな」
 そうして食べてもというのだ。
「美味しいしな」
「ぽん酢じゃなくて」
「お父さんお醤油好きだしな」
 それでというのだ。
「その食べ方も好きだぞ、ただな」
「ただ?」
「学生の頃メキシコの子に醤油の匂いがするって言われたな」
「お醤油の?」
「お父さんはな」
「そんなことあったの」
「ああ、お父さんだけじゃなくてな」
 娘にさらに言った。
「日本人自体がな」
「お醤油の匂いするの」
「そう言われたんだ」
「そうだったの」
「食べものや調味料で体臭も変わって」
 そうであってというのだ。
「日本人はいつもお醤油だからな」
「お醤油の匂いするのね」
「タイの人だったらな」
 この国の人ならというのだ。
「コリアンダーだって言われてるんだ」
「パクチーね」
「インサイともいうな」
「その匂いなのね」
「あそこはいつも使うからな」
 料理にというのだ。
「だからな」
「それでなのね」
「タイの人達はな」
「パクチーの匂いがするのね」
「そう言われてるんだ」
 実際にというのだ。
「これがな」
「そうなのね」
「そしてな」
 それにと言うのだった。
「他の国の人達も同じなんだ」
「食べるもので体臭が変わるのね」
「そうなんだ」
「そうなのね。実はね」
 ここで一華は今日の体臭のことをかな恵達と話したことを父に話した、母に対してもそうしたことをだ。
 そのうえでだ、父に言ったのだった。 
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