八条学園騒動記
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第七百六十八話 ナンの歯磨き粉その四
「そのチンギス=ハーン様の頃は」
「モンゴル帝国ね」
「モンゴル人は皆馬に乗って」
「歩くより馬に乗ってよね」
「それで弓だってね」
こちらもというのだ。
「誰もがよ」
「使ってたのね」
「それで遠くのものまで見えるから」
「弓が上手だったの」
「馬に乗ったまま使えたのよ」
その弓がというのだ。
「例え鐙がなくてもね」
「鐙ないと乗れないでしょ」
アロアは馬に乗る時のことを考えてこう言った。
「あと手綱も必要よね」
「そのどちらがなくてもモンゴル人乗れるから」
「今でも?」
「馬の心もわかるしね」
「まさに足そのものね」
「だからね」
それでというのだ。
「そういうのがなくてもね」
「馬に乗れるの」
「最悪鞍がなくても乗って」
そうしてというのだ。
「馬の身体を自分の両脚で挟んで踏ん張ってよ」
「馬に乗るの」
「そうしてるの」
「滅茶苦茶下半身強かったのね」
アロアはナンのその話を聞いてモンゴル人が裸馬に乗るその姿を想像していった、そのモンゴル人は実はナンだ。
「そうだったのね」
「そう、それでね」
「馬に乗って弓を使うにしても」
「やっぱり安定感あるとね」
「違うわね」
「弓も下半身でしょ」
「上半身を使うけどね」
両腕それに背筋をだ、弓は身体のそうした部分が重要になるのだ。
「けれど下半身もね」
「大事で」
「それでね」
その為にというのだ。
「特に馬に乗ってると」
「馬に乗ってると揺れるし」
「下半身がしっかりしていたら」
「違うわね」
「それでモンゴル人の足腰はね」
「凄かったのね」
「だからね」
その為にというのだ。
「馬に乗って弓を使っても」
「狙いが正確だったのね」
「中国だけれど」
ナンはこう前置きしてアロアに話した。
「三国志で董卓っているでしょ」
「物凄く悪い奴ね」
「女好きで残虐でね」
「無茶苦茶な奴よね」
「董卓って強いでしょ」
「強いからあれだけの悪事働けたのよね」
「董卓って馬に乗っていてね」
そうであってというのだ。
「両利きで左右に弓を交互に撃てたのよ」
「それが凄かったのね」
「采配もよかったみたいだけど」
「自分自身も強かったのね」
「腕っぷしも凄くて」
「馬も弓も優れていて」
「それでね」
その為にというのだ。
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