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八条学園騒動記

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第七百六十八話 ナンの歯磨き粉その三

「うちのクラスって」
「そうよね」
「兄弟とか親戚の人がいたら」
「寮で暮らさずにね」
「一緒にアパートで暮らすわね」
「そうなるわね」
 まさにというのだ。
「そうした場合は」
「一人だと寮に入る子が殆どで」
「私達のクラスって兄弟とか親戚が八条学園に通っててね」
「同じの場合多くてね」
 それでというのだ。
「アパートで同居するわね」
「学校が紹介してくれたお部屋にね」
「入ってね」
「暮らすわね、けれどね」
「あんたはゲルでいいって言ったわね」
「寮に入らないでね」
「それで認めてもらって」
 そうしてというのだ。
「暮らしてるわね」
「実際にね」
「それで快適なのね」
「いいわよ、困ることなんてね」
 微笑んでだ、ナンはアロアに話した。
「全くないわ」
「そうなのね」
「ただ都会で暮らしてると」 
 ナンはここで少し困った顔になって話した。
「目が悪くなるわね」
「遠くのものを見なくなって」
「そう、モンゴル人の視力って五・〇とかだから」 
 それだけの視力だというのだ。
「遠くまでね」
「見えるわね」
「私もそうだったのよ」
 かつてはというのだ。
「視力がね」
「五・〇あったの」
「それが今や二・〇よ」
「今もいいわね」
「けれどかなり落ちたでしょ」
「五・〇と比べたらね」
 アロアはそれならと答えた。
「やっぱりね」
「五分の二だからね」
「かなり落ちたわね」
「そうなったわ」
「草原の生活とは違うのね」
「街はね、村だってね」
「同じ?」
「見渡す限り大平原で」
 そうであってというのだ。
「遥か彼方まで見る」
「そうした生活じゃないから」
「だからね」
 その為にというのだ。
「目だってね」
「視力が落ちるのね」
「もう本当にかなり遠くまで見えるのよ」
「視力が五・〇だと」
「それで弓や銃だってね」
 そうしたものもというのだ。
「上手にね」
「使えるのね」
「昔はね」
 ナンはアロアに話した。 
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