神々の塔
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第八十一話 老子と孔子その十
「人にしてです」
「どの種族の姿でもな」
「かなりです」
「わしは大柄なのは知っておろう」
「はい」
メルヴィルもこのことは知っていた。
「元々武人の家の出身で」
「父上が大柄でな」
「孔子さんもですね」
「そうじゃ、人間の身体ではな」
孔子は微笑んで話した、謹厳ではなく気さくな感じである。
「二メートル以上あった」
「今の尺で」
「それだけあった」
「大きいですね」
「当時はかなり目立ったものじゃ」
昔の人は摂取している栄養の関係で小柄であった、古代ローマで一六〇程であった。中国は一六〇以上あった様だが孔子はその中でかなり大きかったのだ。
「しかも筋肉質だったのでな」
「尚更ですね」
「目立った」
「そうでしたね」
「それで武芸も得意じゃ」
孔子は笑って話した。
「そのことも覚えておくのじゃ」
「怪力で、ですね」
トウェインも言った。
「武芸もですね」
「うむ、だから術だけでなくな」
「そうしたこともですね」
「頭に入れて来るのじゃ」
「わかりました」
トウェインは確かな顔で頷いた、そしてだった。
一行は戦に入った、孔子は確かに怪力で武芸に秀でていてだ、アレンカールもカポエラの技を退けられて言った。
「この技も退けられるとはね」
「ほんま武芸も凄いな」
「学者さんとしてだけやないのね」
「孔子さん自身が言いはった様にな」
芥川は退いたアレンカールの傍に来て言った。
「ほんまな」
「とんでもない大男で筋骨隆々でね」
「武芸も力も備えてはるな」
「強いわ」
「そうよね、しかし」
「それで諦めるか」
「そんな筈ないわ」
笑顔でだ、アレンカールは芥川に答えた、退く際の身のこなしもよかったが今もしっかりと構えを取っている。
「絶対にね」
「そや、孔子さんは術も格闘も出来るが」
「それでもよね」
「こっちもやり方がある」
芥川は不敵な笑みを浮かべて言った。
「儒学はかなり真面目な教えや」
「型に嵌めるのね」
「そや、真面目やとな」
「トリッキーなやり方とは相性が悪いわね」
「そや」
まさにというのだ。
「そこがや」
「狙い目ね」
「僕等で言うとな」
「まさにあたいと」
「僕や」
芥川は不敵に笑って言った。
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