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金木犀の許嫁

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第三十四話 妹達への提案その一

                第三十四話  妹達への提案
 真昼は早速だ、朝朝食を食べつつ夜空と彼の隣の席に座っている佐京に顔を向けてそのうえで言った。
「二人共今度難波に行ってきたら?」
「実家のお話したから?」
 夜空はそれでとだ、姉に聞き返した。
「だから?」
「あっ、今回は実家に関係ないわ」 
 ご飯にかき混ぜた納豆をかけつつ言った、献立はその二つに若布と豆腐の味噌汁、卵焼き、それに漬けものだ。
「別にね」
「じゃあどうしてそう言うの?」
「デートよ」
 真昼は笑顔で答えた。
「それでよ」
「行ってきたらっていうの」
「難波にね」
「難波といいますと」 
 佐京は納豆ご飯を卵焼きをおかずに食べつつ言った。
「夫婦善哉ですか」
「わかったかしら?」
「二人、許嫁でですよね」
「行ったらっていうと」
「やっぱりですね」
「夫婦善哉でしょ」
「あと自由軒ですね」
 こう真昼に言った。
「あと鰻ですね」
「いづも屋ね」
「鰻は高いですが」
「お家にお金ないの」
「あります」
「じゃあそっちも行ってきたら?」
「高校生のカップルで鰻屋さんは」
 どうかとだ、佐京は疑問を感じるオーラを出して話した。
「どうも」
「場違いかしら」
「そう思います、ですが」 
 それでもというのだった。
「自由軒、カレーならです」
「いいわね」
「はい、それで善哉もですね」
「食べていいでしょ」
「はい」
 佐京は確かにと答えた。
「そうですね」
「だから今度時間がある時に」
「その時にですね」
「二人でね」
 即ち許嫁同士でというのだ。
「行ってきたらいいわ」
「そうですね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「じっくりとね」
「楽しんでくることですね」
「織田作さんの作品か」
 ここで真昼はふと思い出したことがあってそれも話した。
「織田作さんご自身みたいにね」
「織田作さんご自身も」
「あの人愛妻家だったから」
「だからですね」
「その織田作さんみたいに二人でね」
「行くといいですか」
「あの人最初の奥さんと結婚するまで色々あったのよ」
 喫茶店で働いていたがそこで学生時代の織田が出会ってからだ、当時彼女と交際していた素行のよくない者と揉めたりもしたらしい。 
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