八条学園騒動記
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第七百六十七話 口臭その二
「何でも皮を汚すから」
「ああ、お洗濯の時に出る服の汚れで」
「それでね」
「禁止されてたのね」
「そうだったのよ」
「そうなのね」
「私達から見るとね」
今の連合市民の生活からというのだ。
「とんでもなく不潔ね」
「当時のモンゴル人の暮らしは」
「多分体臭もね」
こちらもというのだ。
「当時としてもね」
「かなりのものだったのね」
「口臭だってね」
「野蛮人みたいな」
「遊牧民には遊牧民の文化があってね」
ナンはそれでとだ、アロアに話した。
「人間として暮らしてたけれどね」
「それでもなのね」
「過酷な環境だったから」
それ故にというのだ、モンゴル高原は極寒で水も少ない。そうした非常に過酷な自然環境だったのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「お風呂も歯磨きも洗濯もね」
「しなかったのね」
「そもそもお食事もね」
ナンは遊牧民のそちらの話もした。
「羊肉と乳製品でね」
「やっていったのね」
「そういうのがなくなったら」
その時はというと。
「周りの国を襲って」
「略奪して」
「食べていたのよ」
「ワイルドね」
「略奪は産業だったのよ」
遊牧民達から見ればというのだ。
「もうね」
「そのことも凄いわね」
「生きる為のね」
「食べる為の」
「そんな極限状態だったから」
それでというのだ。
「食べるものすら極限の」
「そうした環境だったから」
「本当にお風呂も入ってなくて」
「歯磨きもしてなかったの」
「ええ、だから今ね」
「私の口臭のこと言ったのね」
「そのことを思い出してね」
そうであってというのだ。
「言ったのよ」
「そうなのね」
「私も毎日磨いてるしね」
「お風呂も入ってるわね」
「ゲルで暮らしてるけれど」
モンゴル伝統の組み立て式の住居でというのだ、学園の周りを気の向くまま移動して暮らしているのだ。
「毎日ね」
「お洗濯もして」
「清潔に暮らしてるわ」
「そうなのね」
「もうモンゴルもね」
ナンはアロアに笑って話した。
「遊牧民の国かっていうと」
「違うのよね」
「都会で定住したり」
アロアにさらに話した。
「農業や漁業をしたり」
「そうして暮らす人が増えてるのね」
「昔ながら遊牧をしている人はね」
「少ないの」
「皆がそうじゃないわ」
そうだというのだ。
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