ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第九幕その十
「日本でもあるね」
「王侯貴族ではね」
「よくあることだね」
「本当にね」
「そう、ハプスブルク家なんてね」
欧州随一の名門として知られるこのお家はというのです。
「それによって栄えたね」
「そうそう、結婚してね」
「相手のお家の勢力を取り込んでいって」
「物凄く大きな勢力になったわ」
「神聖ローマ皇帝にもなったし」
「イギリスも同じで」
婚姻政策を多用したことはというのです。
「それでね」
「それぞれのお家が結婚し合って」
「勢力を維持したり拡大していって」
「そうしたことが繰り返されて」
「あんな複雑な状況になったわね」
「そうだよ、そしてその状況もね」
あまりにも複雑な血縁関係とそれに基づく勢力関係や人間関係もというのです。
「変わったんだよ」
「薔薇戦争が終わって」
「そしてチューダー朝が興って」
「それでだね」
「そうだよ、まあ今でも複雑だけれどね」
先生は笑ってこうも言いました。
「イギリスの王侯貴族の婚姻関係って」
「そうだよね」
「ぱっと見で理解出来ないね」
「他の国の王家との婚姻もあるし」
「どうにもね」
「ビクトリア女王のお孫さんの中に」
その人達の中にというのです。
「ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世がいたしね」
「そうなんだよね」
「だからあの人エドワード七世の甥御さんなんだよね」
「ビクトリア女王の後のイギリス王の」
「あの人とね」
「そしてロシア皇帝ニコライ二世もだよ」
この人もというのです。
「ビクトリア女王のお孫さんだったんだよ」
「お二人仲が悪かったけれど」
「従兄弟同士だったのよね」
「実は」
「それでビクトリア女王も言っておられたよ」
この人もというのです。
「二人の仲が悪いってね」
「ウィリーとニッキーってね」
「イギリス風の仇名でね」
「そう言っておられたね」
「それを見たらね」
そうすると、というのです。
「薔薇戦争の後ね」
「血縁関係って複雑だね」
「イギリス王家のそれは」
「そして欧州全体でね」
「そうなっているね」
「どの国でもそうだけれど」
それでもといのです。
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