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第百四十一話 楽園はなくてもその五

「日本の宮内庁の予算が六百億で」
「天皇皇后両陛下が三億らしいわね」
「年間ね、あそこは五千億だから」
 日本円にしてというのだ。
「将軍様の贅沢で」
「ふざけてるわね」
「うん、かなりね」
 古田は目を怒らせて言った。
「あそこは」
「そうよね、やっぱり」
「あそこは楽園どころか」
 またこう言うのだった。
「地獄だよ」
「将軍様だけが贅沢している」
「そうだよ、あそこは極端たけれどね」
「楽園じゃないにしても」
「それでも人の世にはね」
「結局楽園はないのね」
「そうだと思うよ、僕の父方の祖父ちゃん最近腰痛いってね」
 その様にというのだ。
「いつも言ってるし」
「お年寄りだから」
「そう、歳でね」
 実際にというのだ。
「痛風で苦しんでいたし」
「今は腰なのね」
「それで苦しんでるから」
「楽園にはいないのね」
「うん、けれどね」
 それでもとだ、古田は言った、
「幸せだってね」
「幸せ?」
「何処でも思えるよね」
「楽園でなくても」
「北朝鮮は無理だろうけれど」
 この国にいればというのだ。
「食べものも何もなくて」
「自由だってね」
「文字通りの地獄だから」
 北朝鮮はというのだ。
「それでね」
「幸せは感じられないわね」
「内戦の国とかね」
「あるしね、そうした国も」
「八条学園に来ている子達の祖国でもね」
「アフリカがまだあるわね」
「アフリカってね」
 この地域の国々はとだ、古田は餃子を食べつつ言った。
「変な独裁者が出て」
「もう自分しかなくてね」
「物凄い汚職して」
「贅沢してね」
「蓄財もするけれど」
「国民の人達苦しめて」
「側近の人達だけいい目見て」
 そうであってというのだ。
「暴政と弾圧でね」
「国を滅茶苦茶にするのよね」
「それが内戦にもなって」
「他の国とも揉めて」
「どうしようもなくなってるね」
「そうした国がまだあるのよね」
 理虹もこのことは知っている、兎角アフリカの国ではそうした独裁者と無残な戦乱の話が絶えないのだ。
「あそこは」
「そうだよね」
「酷いわね」
「それでそんな国にいたら」
「幸せはないわね」
「実際アフリカのそうした国ってボロボロになって」
 文字通りのだ。 
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