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金木犀の許嫁

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第三十二話 大阪の野球その十三

「大阪に行って」
「実家にもね」
「戻りたいわね」
「皆でね」
「二人でも行ってきたらどうかな」
 佐京は笑顔で話す夜空に横から言った、今は五人で居間でくつろいでいる。
「そうしたらどうかな」
「二人で?」
「うん、それか一人でもね」
「駄目よ、それは」
 夜空は佐京の言葉に眉をやや顰めさせて返した。
「だって私と佐京君許嫁だから」
「あれっ、真昼さんと二人じゃないんだ」
「だって許嫁でしょ」
 またこう言うのだった。
「だからね」
「夜空さんと俺でなんだ」
「そう、実家に帰る時はね」
「二人なんだ」
「そうよ」
「真昼さんとじゃないんだ」
「あっ、そうね」
 夜空は言われて気付いた。
「そうでもあるわね」
「そうだよね」
「言われてみればね」
「けれどね」
 それでもというのだった。
「私は佐京君と戻りたいの」
「実家に」
「許嫁で今後夫婦になるから」
 だからだというのだ。
「そうしたいの」
「そうなんだ」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「お姉ちゃんとはね」
「考えてなかったんだ」
「今はね」
「姉妹で戻ってもいいよね」
「二人の実家だから」
「どうかな」 
 こう夜空に言うのだった。
「そうしても」
「いいの?」
 夜空は佐京の言葉を受けて問い返した。
「そうしても」
「何か問題あるかな」
「そう言われると」
「一人でもね」
 佐京はその場合も話した。
「いいと思うよ」
「そうなの」
「何時でもね」
「何時でもなの」
「夜空さんが戻りたいなら」
 それならというのだ。
「そうしたらいいよ」
「そうなの」
「俺はそう思うよ」
「どうなのかしら」
「こだわることないですよ」
 白華は笑顔で話した、五人でお茶とお土産の北極のアイスキャンデーを楽しんでいる、そうしながらの言葉だ。
「別に」
「そうなの」
「というか問題あります?」
 白華は首を傾げさせて問うた。 
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