八条学園騒動記
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第七百六十六話 沙羅双樹の花その三
「あればです」
「そこからよくなりますね」
「何かしらいいものがあれば」
「そうです、しかし」
「何もなければ」
「人はよくなりませんね」
「人ではどんな宗教や哲学でも救えないのなら」
そこまでレベルが低ければというのだ。
「どうにもなりません」
「全くのゼロでは」
「それでは」
「はい」
まさにというのだ。
「どうにもなりません、この人は兎角誰が何を言ってもやらせてもです」
「美点を備えられなかった」
「それも全く」
「何があってもそうだった」
「それで餓鬼になったのですね」
「餓鬼になるからには」
人間の身体でいる間にというのだ。
「もうそれだけ酷いということで」
「救われないですね」
「滅多なことでは」
「そして救われず」
そうであってというのだ。
「実際に餓鬼になりました、何を見ても変わらずそれどころか」
「見たものに文句を言う」
「それこそ葉の端の様なことに」
「そしてそれに気付いて言える自分は偉い」
「そう思うだけでしたね」
「文句、あら捜しはです」
そうした発言や行いはというのだ。
「何の努力をせずともです」
「行えますね」
「そうですね」
「そうしたものですね」
「何をせずとも」
「行えまして」
そうであってというのだ。
「それで、です」
「自分が偉いと思える」
「自己満足に浸れるですね」
「まさに麻薬ですね」
「それもかなり悪質な」
「覚醒剤なら使えば捕まります」
この時代にもこの麻薬は存在している、ただし連合では麻薬については厳しいがマウリアは決してそうではない。
「しかしです」
「自己満足は、ですね」
「自分の頭の中なので」
「違法ドラッグではないので」
それでというのだ。
「決してです」
「捕まらないですね」
「何があっても」
「だからこそ悪質です」
誰が止めても聞かなければ続けるからだというのだ。
「そしてその人はです」
「どんなものを見ても文句を言い」
「そこから自分は偉いと自己満足に浸り」
「そこで終わり努力しなかった」
「生きていて」
「そして何もです」
それこそというのだ。
「美点を備えませんでした、沙羅双樹の花を観ようとも」
「仏教の教えもですね」
「見ず考えなかったですね」
「誰が見ても何が偉く」
その人がというのだ。
「天狗になれる要素があるのか」
「わからないですが」
「その人にとってはそうですね」
「自己満足に浸っていたので」
「そうなっていったのですね」
「怠けふんぞり返り図々しく恩義を知らず生きて」
そうであってろいうのだ。
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