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八条学園騒動記

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第七百六十六話 沙羅双樹の花その二

「そうでしたね」
「これは清盛公が無間地獄に堕ちる」
「それを表していますね」
「あれだけ栄えた人も」
「遂には死んで」
「地獄に堕ちる」
「そうなりますね」
「人はまことに無常です」
 セーラはそうした存在だと話した。
「衰え滅びまことに小さい」
「そうした存在ですね」
「はい、ですが」
 そうであるがというのだ。
「その人はです」
「そうしたことがわかっていなかったですね」
「わかっていますと」
 そうであればというのだ。
「自分がこの世で一番偉いなぞとです」
「考えられないですね」
 ラメダスが応えた。
「絶対に」
「はい、何があろうとも」
「人は小さいものである」
「そう考えまして」
 そうであってというのだ。
「学び修行し」
「自分を高めていましたね」
「その人は本が好きでも」
 沙羅双樹の花達を見つつ言うのだった。
「どの本からもです」
「学ばなかったのですね」
「信仰もです」
「学ばず」
「持ちませんでした」
「まさに何も備えなかったのですね」
「ですから天理教の方で三ヶ月修行の様なものをさせてもらっても」
 そうしたことを経験してもというのだ。
「奥さんに逃げられてから」
「丁度いい機会でしたね」
「自分を見詰めなおしてやりなおす」
「そうするどころか」
 やりなおすどころかというのだ。
「天理教の悪口を言う様になりました」
「それも組織の仕組みですね」
「どうでもいい様なことをですね」
「何もいいものを備えられる人ではなかったのです」
「何をさせてもらっても」
「当然本を読んでも」
「いいものに近寄ることはぞしない」
 そうした輩だったというのだ。
「ただそこでふんぞり返り」
「一切学ばない」
「自分を見ることもしなかったのですね」
「自己満足に浸っているだけで」
 ただそれだけでというのだ。
「まことにです」
「何もしなかった」
「そうですね」
「微かに、ほんの少しでも」
 沙羅双樹の花を観る目が遠くなった、そのうえでの言葉だった。
「何かがあれば」
「そうはらななかったですね」
「餓鬼には」
「まことに人ではです」
 神仏ではないこの存在がというのだ。
「何をしても救えない人がです」
「いますね」
「どういった教えでも」
「宗教でも哲学でも」
「そうした人がいますね」
「零ではです」
 まさに何もない状態をこう表現して話した。
「それではです」
「よくなりませんね」
「絶対に」
「足しても掛けてもどうにもなりません」
「人格については」
「何か、それこそゼロコンマでもです」
 それだけの割合でもというのだ。 
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