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水着は売れる

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第五章

「あんたの水着はどうも今回で終わりだけれど」
「他の娘達はなのね」
「やっていくでしょうね」
「これからは」
「そしてそれで写真集が売れてね」
「人気が出たらよしね」
「そうよ」
 そうなるというのだ。
「本当にね」
「そうなるのね」
「声優さんもグラビアに出て」
「水着になって使われて」
「それを受け入れないとね」
 そうでないと、というのだ。
「やっていけない時代になったのはね」
「事実ね、そういえば」
 ここで季久子はある先輩声優を思い出して言った。
「樋高典子さんだけれど」
「あんたいつものっこさんって言ってるわね」
「あの人元アイドルよ」
「作間麗さんもね」
「あの人もね」
「お二人は元アイドルで」
 そうであってというのだ。
「今は声優さんだけれどアイドル時代はね」
「水着になっておられるわ」
「アイドルだからね」 
 それならというのだ。
「言うまでもないわね」
「そうよね」
「極論すればね」
 姉はこうも言った。
「使われるのは誰でもね」
「あるのね」
「男の子はそうしないとね」
「健康なら」
「我慢出来ないのが現実だから」
「発散しないと駄目ね」
「そう、学校にいてもその辺り歩いていても」
 日常生活を過ごしていてもというのだ。
「もうね」
「そうしたことするわね」
「普通にね、女の子として生きていたら」
「誰だってなのね」
「使われることはね」
「あるのね」
「アイドルだったらその可能性が高い」
 こう言ったのだった。
「そうかも知れないわね」
「普通の娘より」
「それだけのことかも知れないわね」
「そうなのね」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「声優さんになっても」
「使われても」
「その可能性が高いってね」 
 その様にというのだ。
「それだけのことって割り切って」
「やっていくの」
「それでいいかも知れないわね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「これからもね」
「割り切って」
「お仕事頑張っていってね」
「わかったわ、しかしね」
 季久子はマネージャーの言葉に頷きつつ言った。
「女の子、女の人って普通にしていても」
「使われる可能性があってね」
「有名になって」
「お仕事で水着とかになるとね」
「尚更なのね」
「そのことはもう言うまでもないことで」
「自然なことで」
「何も考えないで言わないでね」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「やっていくことね」
「それも世の中よ」
「そういうことね」
「自然なことだから」
「男の子にとっては」
「おトイレと同じと思って」 
 そうしてというのだ。
「やっていってね」
「わかったわ」
 季久子も頷いた、そうしてだった。
 それからも仕事を頑張っていった、水着になったのも写真集を出したのもこれが最後であった。だが。
 それからもグラビアの仕事は来てコスプレもした、そのどれもが人気で売れっ子であり続けた。そうして充実した人生を送ったのだった。


水着は売れる   完


                   2024・8・28 
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