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昔は夏だけだった

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第五章

「誰でも奇麗なら」
「グラビアの仕事をするね」
「そうした風になったんですね」
「そうだよ、駆け出しのアイドルの娘だけが水着になる」
「そうした時代は終わりましたね」
「地位のある女優さんもなって」
 そうしてというのだ。
「もっと言えばね」
「もっとと言いますと」
「グラビアは観られる仕事だね」
 このこともだ、桐生は言ったのだった。
「そうだね」
「はい、観られて注目される」
 桐生も答えた。
「それがです」
「グラビアの存在意義だね」
「そうですね」
「そして水着や下着を見られると」
 そうしたものを着た姿をというのだ。
「どうなるか」
「もうそれは言うまでもないですね」 
 桐生は笑って答えた。
「健全な男の子、男の人なら」
「そうだね」
「もうですよ」
「そうしたことをするね」
「そうしたことに使われますね」
「誰でもね」
 山田は笑って話した。
「そうしたことに使われることはね」
「言うまでもないですね」
「どんな人も水着や下着になると」
「そうしたことに使われますね」
「そうだよ、そうなることはね」
「絶対ですね」
「だから昔からあるんだよ」
 山田は自分が若い頃はおろかそれこそグラビアで水着や下着が出る様になってからのことを話した。
「それこそね」
「昔から変わらないですね」
「まあ昔の水着は違ったけれどね」
「駆け出しのアイドルの人達の」
「今はビキニばかりだけれど」 
 水着はというのだ。
「ビキニも大胆だったんだ」
「昔は、ですか」
「ワンピースが多かったんだ」
「そうでしたか」
「それも露出が少ない」
 今と比べると、というのだ。
「そうしたものだったんだ」
「そうでしたか」
「もうね」
 それこそというのだ。
「そこも時代だね」
「水着になっても露出が少ないのは」
「そうだね、しかしあることは事実で」
 そうした仕事がというのだ。
「水着や下着になるということは」
「そうしたことに使われる」
「そういうことだよ」
「それが現実ですね」
「アイドルになれば」
 この仕事に就けばというのだ。 
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