金木犀の許嫁
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第三十二話 大阪の野球その七
「おられました」
「あちらは」
「歌舞伎の人達もです」
「大阪公演も多いですから」
「元々上方歌舞伎の場所でもあったので」
それ故にというのだ。
「歌舞伎の人達もです」
「よくおられますね」
「今も。そしてお笑いの街ですが」
「吉本もある」
「お笑いは漫才に新喜劇に」
そういったものに加えてというのだ。
「落語もありますね」
「大阪は落語も有名ですし」
「その落語でもです」
これでもというのだ。
「有名で」
「落語家の人達もですね」
「多くです」
まさにというのだ。
「歩いていました」
「そうなんですね」
「織田作之助さんはもう昔ですが」
「昭和十年代の人ですね」
「昭和二十二年没です」
死因は結核だった、僅か三十四年の短い一生だった。
「そうですから」
「それで、ですね」
「昔ですが」
「それでもですね」
「あの人もです」
「難波におられて」
「歩いていました」
そうだったというのだ。
「あの街を」
「そうでしたね」
「はい、今ではです」
「昔のことですね」
「織田作之助さんも」
彼もというのだ。
「そして南海もです」
「昔ですね」
「はい」
そうなったというのだ。
「今は」
「そうですね」
「南海もです」
「今は身売りして」
「福岡に行って」
そうなりというのだ。
「あちらのチームになりました」
「そうですね」
「福岡に入って」
そうしてというのだ。
「もうです」
「あちらのチームですね」
「そうなりました、それに」
幸雄はさらに話した。
「藤山寛美さんもです」
「もうあの人も」
真昼が応えた。
「そうですね」
「昔の人になりましたね」
「そうでしたね」
「偉大な芸人さんでしたが」
「お笑いの」
「今ではです」
最早というのだ。
「鬼籍に入られて」
「それで、ですね」
「もうです」
「昔の人ですね」
「そうなりました」
そうなったというのだ。
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