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星河の覇皇

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第八十七部第二章 膠着状態に入りその二

「我々はそうです」
「戦ってはいない」
「それ故に余裕がある」
「それで観戦に徹しているので」
「その分楽ですね」
「そうです、ただオムダーマン軍がここで動きを停止するとは」 
 大尉はこうも言った。
「意外でした」
「これまで破竹の勢いだったというのに」
「それを止めてですから」
「それは確かにですね」
「予想外でしたね」
「何かです」
 ここで言ったのはジンバブエ軍の中尉だった。
「急に動きを停止しましたね」
「ですね、そしてアバダン星系に集結し」
「あの星系の基地化に入っています」
「そうなっています」
「まさに」
「あの動きは」
 中尉はさらに言った。
「まるで急に決まったかの様な」
「ですね、それまでは一気に進んでいました」
「国境から今の戦線まで」
「阻むものはいないという感じで」
「一方的でした」
「ですが」
 それがというのだ。
「まさにです」
「急に動きを止めて」
「そしてアバダン星系の基地化に入るとは」
「何か急に予定が変わったかの様ですね」
「まさに」
「そしてティムール軍も」
 グアテマラ軍大尉の言葉だ、見ればその手にある皿には鮪のトロの握りが一貫ある。それを食べつつ言うのだった。
「ここで、です」
「これまで撤退していたのが」
「動きを止めて」
「前線を構築しつつ再編成に入る」
「動きが変わりました」
「こちらも」
「この両軍の変化は」
 動きのそれはというのだ。
「やはり何かがあった」
「両軍にそれぞれ」
「そうでないとわからないですね」
「見たところ双方異変はないですが」
「一体何があったのでしょう」
「この急な変化は」
「それが気になります」
「はい、ですから」
 それでとだ、グアテマラ軍大尉はさらに言った。
「そのことも見るべきですね」
「そうすべきですね、やはり」
「何もなくて動きは急に変わりません」
「両軍共予定通りの動きとは思えません」
「戦争で事態の変化は常ですが」
「その変化があってです」
「やはり変わっていますね」
「両軍共」
「見たところ変化はなくとも」
 オムダーマン軍もティムール軍もというのだ。 
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