八条学園騒動記
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第七百六十五話 感謝されずともその三
「まことにです」
「極めて卑しく」
「最早地獄よりも下だとです」
「言われるまでなので」
「人とはです」
心がそうである存在とは、というのだ。
「極めてです」
「離れていますね」
「畜生道と餓鬼道の間には途方もない隔たりがあります」
「餓鬼はそうなのですね」
「そこまで卑しく」
そうであってというのだ。
「人とかけ離れた」
「そうした存在ですね」
「そうなのです」
まさにというのだ。
「彼等は」
「その彼等にお布施は」
「彼等は感謝せずとも」
それでもというのだ。
「それで、です」
「餓鬼が癒される」
「そうなるからですね」
二人も言った。
「するといいのですね」
「それだけ餓鬼が助かるので」
「そしてそれが徳となる」
「自分の」
「ですから」
そうであるからだというのだ。
「私はです」
「時としてですね」
「布施餓鬼はすべきとですね」
「思われるのですね」
「そうなのですね」
「はい、感謝されずとも」
またこう言うのだった。
「それが善行であるなら」
「すべきですか」
「相手がどう思っても」
「相手が助かるのなら」
「そうであるなら」
「確かに餓鬼になるなら」
そこまで堕ちるならというのだ、セーラもこのことはわかっていて決して忘れずに考えて言うのだった。
「相当に酷く」
「容易に助からず」
「よくもなりにくいですね」
「どうしてもですね」
「そうした存在のままですね」
「餓鬼から人間に戻るのは」
それはというと。
「極めてです」
「難しいですね」
「現実として」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「助けることはです」
「善行ですね」
「それに他ならないですね」
「日本の禅宗の僧侶の方々は」
彼等はというと。
「お食事の時に行いますね」
「布施餓鬼をですね」
「ご飯を少ししますね」
「三食常に」
「それを忘れないですね」
「それはです」
このことはというのだ。
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