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八条学園騒動記

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第七百六十四話 悪より嫌なものその十

「いいです、ですが葉の端なぞ」
「例え乱れていても」
「少し見る位ですね」
「こだわるものではないですね」
「常に言うものではないですね」
「神の教えを学ぶなら」
 修行を受けてというのだ。
「教えを見て信仰を備えるべきであり」
「組織の仕組みなぞですね」
「どうでもいいですね」
「この目でそうしたことをする人を見たことがありません」
 セーラは述べた。
「正道には至れない人のすることです」
「全くですね」
「それは出来ないですね」
「そうした人は」
「教えではなく仕組みの問題点ばかりを言う人なぞ」
「救われる人がいれば」 
 人間にはというのだ。
「救われない人もいますが」
「今お話している人は救われないですね」
「そうした人ですね」
「だから餓鬼になりましたね」
「そして今は餓鬼道にいますね」
「そうです、人の底を抜くことも」
 そして餓鬼になることもというのだ。
「簡単な様でいてです」
「難しいですね」
「左様ですね」
「人間の底の床は非常に堅固であるので」
「そうは出来ないですね」
「人としての美徳を完全に失わなければ」
 そうしなければというのだ。
「抜けないものです」
「そして堕ちない」
「そうですね」
「そうです、それはです」
 人間の底はというのだ。
「美徳を完全に忘れねば」
「抜けないもので」
「簡単ではないですね」
「人はある程度以上の域に上がるには相当な苦労を必要としますが」
「下がるにもですね」
「相当なものが必要ですね」
「相当な堕落が必要です」
 ある程度以下に下がるにはというのだ。
「その場合もまた」
「下がるにもですね」
「相当なものが必要ですね」
「今お話している人は生きていてです」
 そうしていてというのだ。
「一切の美徳を持ちませんでした」
「ただふんぞり返ってばかりで」
「学んでこなかったのですね」
「そうです、何しろいいところがないとです」
 人間としてのそれがというのだ。
「身内に言われるまでにです」
「酷かったのですね」
「相当に」
「いいところがない即ち美徳がない」
 そうなるというのだ。
「そこまで言われるなら」
「もうですね」
「まさに餓鬼ですね」
「はい、心の修行どころか」
「他のこともですね」
「一切してこなかったのですね」
「働かず家事もせずだったので」
 即ち何もしなかったというのだ。
「それではです」
「世界も限られますね」 
 ベッキーがこう言ってきた。
「住むそれが」
「そうですね」
「はい、非常に」
「事実です」
「住んでいる世界は、ですね」
「非常に狭かったです」
「やはりそうですね」
 ベッキーはセーラの言葉に頷いた、そうしてそのうえでセーラに対してこんなことを言ったのだった。 
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