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八条学園騒動記

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第七百六十四話 悪より嫌なものその九

「近寄らず」
「批判めいたものにばかりですね」
「向かい」
 そうしてというのだ。
「自分を高めることがです」
「なかったですね」
「当然自分が偉いとです」
「それもこの世で最も」
「そう思うだけで」
 そうであってというのだ。
「全くです」
「更正しなかったですね」
「感謝や慎みや思いやりなぞです」
「備えなかったですね」
「そうでありまして」
 そしてというのだ。
「備えたものは」
「三ヶ月の修行で」
「天理教への悪口です」
「それもどうでもいいことに対する」
「ただそれだけでした」
「何にもならなかったですね」
「むしろ悪口の種を増やしただけで」
 ただそれだけでというのだ。
「害をです」
「備えましたね」
「世の中どんないい場所に入ろうとも」
「いいものを備えない人がいますね」
「そうです、全くです」
 セーラは今は白い薔薇達を観つつ話した。
「薔薇を観ても薔薇を観ず」
「棘すらもですね」
「棘を目にするならまだいいです」
 薔薇に付きもののそれをというのだ。
「ですが」
「薔薇の葉の端の」
「些細な乱れに見えるものを観てです」
「その薔薇が醜いとですね」
「言う様なら」
 そうであるならというのだ。
「薔薇の美しさなぞ」
「わかりませんね」
「美しい薔薇には棘がある」
 セーラはこうも言った。
「よく言われますね」
「そうですね」
「何かと」
「はい、棘は何の為にあるか」
「薔薇を守る」
「その為ですね」
「そのことがわかれば」
 そうであればというのだ。
「得るものがあります、ですが」
「葉の端なぞですね」
「何でもないですね」
「そんなものにこだわっては」
「それも鬼の首を取った様に批判ばかりしては」
「そんなことでは」
「何もなりません」 
 セーラはきっぱりと否定した。
「薔薇はお花をです」
「まず見ることですね」
「それが大事ですね」
「それから棘を見ることです、ただ棘から見ても」
「いいですね」
「それもまた」
「やがてお鼻にいきますので」
 薔薇のそれにというのだ。 
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