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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第七幕その一

               第七幕  薔薇の騎士から
 先生はエンベルグさんとブラウシュタインさんのことについてです、今研究室で日笠さんに言われていました。
「結婚されるのでエンベルグさんがです」
「ブラウシュタインさんにプレゼントされたいのですね」
「結婚記念として」
 それでというのです。
「お二人の間に永遠にある様な」
「そうしたプレゼントをですね」
「されたいとです」
 その様にというのです。
「エンベルグさんはお考えです」
「そうなのですね」
「それで何かです」
「僕に考えがあるか」
「おありでしょうか」
「そうですね」
 そう言われてもです、先生は。 
 戸惑ったお顔になってです、日笠さんに言いました。
「僕個人の経験からはです」
「お話出来ないですか」
「恋愛経験がないので」
 だからだというのです。
「ですから」
「ご自身の経験からはですか」
「申し上げらません、ですが」
「それでもですね」
「知識からはです」
「お話出来ますね」
「近頃僕は薔薇と縁がありますが」
 このお花はというのです。
「薔薇は恋愛の象徴でもあります」
「そうしたお花の一つですね」
「はい」
 日笠さんにまさにと答えました。
「あのお花は」
「そうですね」
「はい、ですから」
「薔薇をですか」
「そうです、ですが」
「ですが?」
「ここで薔薇の騎士は」
 この楽劇のお話もするのでした。
「どうもです」
「お勧め出来ないですか」
「あの作品は名作です」
 先生は言い切りました。
「まさに」
「そう言っていいですね」
「リヒャルト=シュトラウスの代表作の一つで」
「まさに名作ですね」
「そうですが」
 それでもというのです。
「あの作品の銀の薔薇は花嫁に贈られる薔薇ですね」
「そうですね」 
 日笠さんもまさにと頷きました。
「そうですね」
「しかしです」
 それでもというのです。
「結婚するのは誰と誰か」
「薔薇の騎士の中で」
「それは薔薇を持った使者と花嫁です」
「花婿になる人でなく」
「花婿役がです」
「あの作品では悪役ですね」
「かなり滑稽でユーモラスに描かれた」
 作品中でそうであってというのです。
「お世辞にも褒められた立場ではありません」
「粗野で品がなく」
「田舎者と言えばです」 
 先生はどうにもというお顔で言いました。 
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