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第73話「シスの暗黒卿」後半
前書き
ネオ・代表O5−1です。第73話「シスの暗黒卿」後半となります。
どうぞ、ご覧ください。
艦橋へ通じる唯一の通路を守備していた、ガトランティスの兵士達。
それらは4号―――ダークネス卿の手によって、あの世行きとなった。
「―――指示ヲ願イマス、ダークネス卿」
兵士達を指揮していた指揮官の首を切断した瞬間、バトルドロイドの小隊が彼女のもとへやって来た。その正体はB1バトルドロイドの上位型に位置する―――BXコマンドー・バトルドロイドで、小隊はBXコマンドーのみで構成されている。
頭部と胸部に白い識別子を有する、高位のコマンドー・ドロイドは彼女からの命令を待つ。この小隊を率いる、隊長である。
隊長へ、ダークネス卿は指令を下した。
「決まっている、突入だ」
隊長は頷くと、部下にドアの破壊を命じた。
正確には―――ドアの一部を切り開く、だ。つまりは、切断である。【フュージョンカッター】を使用し、進路を確保するのだ。
BXコマンドー2体が近づくと、切断を開始した。
フュージョンカッターはドアや障害物を切断する物で、武器にでもなった。ダークネス卿が保有するライトセーバーと同じく、切断出来ないものは皆無だ。
その証拠に、固く閉ざされたドアはドンドン溶かしていく。
やがてその証である、マグマの如く赤い色をする円状となった。
「盾を前へ」
切断していたBXコマンドー2体はブラスターライフルを右手で持つと、装備している個人用のエネルギー・シールドを左手で構えた。
この個人用エネルギー・シールドは彼らの背丈ほどの大きさがあり、光学武器を防御することが出来る代物である。
BXコマンドー2体は、個人用エネルギー・シールドを起動する。
瞬間、黄色いエネルギーの膜が張られる。
六角形の金属質のフレームからなっている個人用エネルギー・シールドは、起動するとフレームの間に黄色いエネルギーの膜が張られた。
それと共にブラスターライフルをシールドの膜の外に出し、構える。
「隙間を作れ」
その隙間は、腕一本が入るかどうかの大きさだ。
ダークネス卿がそれを指示した理由は、溶かされた円状のドアをフォースで飛ばす為である。つまりは、艦橋内部へとシュートするのだ。
彼女が手のひらを向けると、溶かされた円状のドアは音を立てる。
刹那、艦橋内部へとシュートされる。これで進路上の障害物はクリアされた。
パッと手を引く。
隙間が閉ざされた次の瞬間、光の銃弾が襲来し始めた。ガトランティスの兵士が、攻撃してきたのだ。
しかしその銃撃は、前列のBXコマンドーが持つエネルギー・シールドに着弾。ダークネス卿達に、それが届くことは無かった。
エネルギー・シールドを通り抜けることが出来ないのだ。
光学武器以外の攻撃はモロに受けてしまうが、歩兵が携帯するような光学武器クラスであれば問題なく防御出来た。
BXコマンドーは自分のブラスター・ライフルの銃口部だけをシールドの膜の外に出し、敵のビームの影響を受けない安全圏から銃撃を行った。
その直後だ。
ダークネス卿の隣に立つBXコマンドーが、漆黒の小さな円盤を手に持ったのだ。半身になって肩を引くと、漆黒の円盤を2つ投擲した。
手榴弾と認識したのだろうか、こちらへの攻撃が薄くなりつつある。
しかし、ガトランティスは知らない。確かに爆弾ではあるが、厳密には―――殺傷能力が無い兵器なのである。
その兵器の正体を知っているダークネス卿は、それ専用のゴーグルを装着した。更に、両手で耳を抑えた。
その時だった。
瞬間、白き閃光が艦橋を満たした。それは最早「音」や「光」と呼べる単純なものでなく、凶暴な力となって人の感覚を撹拌する。
「―――私の目がッ、ワタシノ目ガァァァアアア!!」
「―――ノルゥゥゥウウウ!!」
後継者らしき少年の悲鳴とゴーランドらしき男の声が、艦橋の外までにも響き渡った。
漆黒の円盤の正体は、閃光手榴弾。
白き閃光と180デシベル以上の大音量により、効果範囲内の者に対して眩暈やショック状態を引き起こさせる代物である。
「素晴らしい、実に素晴らしい」
効果は抜群だ、表情が緩むダークネス卿。
某大佐と同じ悲鳴を聞けたあまり、遂にはニヤケ顔まで浮かべた。
この混乱に乗じて、突入してしまおう。
突入を指示するとBXコマンドー7体が一斉に突入、制圧を開始した。
「ゴーランドと後継者の首、討ち取るとしようか」
ダークネス卿はゆっくりとした足取りで、艦橋へ入る。
既に艦橋は制圧し、敵はゴーランドと後継者―――ノルを残し全滅。後はその2人の首を討ち取れば、艦隊はこちらの勝利で終わる。
「呆気ないものだな」
ゴーランドは倒れ伏せ、ノルは私に対し呆然と見つめているだけ。
近づいた彼女は、深紅のライトセーバーを現界させた。
「さらば、ノル」
先ずは後継者の首、討ち取ってやろう。
その時だった。
「なっ、ゴ―――父上!?」
突如としてゴーランドは起き上がり、咄嗟にノルを突き飛ばしたのだ。
ノルが倒れた次の瞬間、ゴーランドの胸はライトセーバーに貫かれる。
「…はぁ、邪魔が入った。庇うパターンもあったな。まぁよい」
手首、足先、二の腕、太ももに、数え切れない刺突がゴーランドに突き刺さる。それは次第に、体の中心へと集っていった。
「身体の先から中心へ突いていき、最後は心臓だったか。うむ、問題なく出来ているようだな」
最後に心臓を突き刺すと、ダークネス卿はゴーランドを蹴ってライトセーバーを引き抜いた。すると彼は、ノルの足下で仰向けとなる。
「ち、父上…?」
ノルはヨロヨロと近づくと膝をつき、彼の手を握る。父と呼ばれたゴーランドは微笑みを子へ向けて、最期にこう言い残した。
「すまん、な…ノ、ル…」
瞳を閉じるゴーランド。
そして、ピクリとも動かなくなった。
「そ、そんな…ち、父上!気を確かに!父上!!」
ノルは無我夢中で呼び掛けるが、反応は無かった。
彼は、号泣した。
それを見ていたダークネス卿は、溜息を吐く。
「なぜ泣いている?泣くな。ガトランティスはクローニングによって世代を重ねる。クローンで、また生産される。代わりなど、いくらでもいるではないか」
戦う為に創られた存在なのだ。それ以外の事は、一切必要ない。
ましてや、ガトランティスは病原菌で癌。死んで当然。
ノルが泣いているのは隙を作り、私を殺そうとしているのだ。欺く為に、だ。
「お前を、絶対に許さない!」
キッと睨みつけるノル。
「親子、愛…?」
ダークネス卿は首を傾げた。
隙を作ろうとしているのだよな。不思議と、愛を感じるような気がするのはどうしてだろうか。父に対し、愛を抱いているようだ。
ガトランティスは愛に縛られない筈なのに、だ。ノルは、嘘偽りが皆無だった。
「気が変わった」
「な、何を言っている…」
通常であれば首を討ち取るが、今回は別。
観察対象として、私の領土に連れていこう。興味深い…。
そう決心したダークネス卿は、ノルを拘束するよう指示した。
「は、離せ!」
BXコマンドーに挟まれ、両腕を掴まれているノル。
そんなノルに対し、彼女はフォースで眠らせた。瞬間、拘束を解こうと暴れていた彼は、意識を失った。
「隊長」
「ハイ、ダークネス卿」
「ノルを〈ダークネス〉檻房レベルに収容、ゴーランドは冷凍室に運べ」
「ラジャー、ラジャー」
意識を失っているノルと死んだゴーランドを運ぶ、BXコマンドー小隊。
艦橋は今、ダークネス卿1人となった。艦橋の外を見つめている彼女は口を開く。
「艦隊戦は、私の勝ちか」
その言葉と呼応するかのように、テレザート星軌道上に”本隊”がやって来た。副旗艦〈ケーニヒス・ティーゲル〉に率いられる120隻の艦隊が、〈ゴーランド〉後方にワープアウトする。
1隻のセレス級空母型駆逐艦が、〈ゴーランド〉の横を通る。
{IMG201662}
爆撃機―――ハイエナ級ボマーが封印岩盤内壁に展開する地上戦力を爆撃せんと、次々と発艦していく。その他のセレス級空母からも、多数のハイエナ級ボマーが発艦していった。
「さぁ、爆撃を開始しよう」
ダークネス卿はマントを翻すと、その場を後にした。
-
現状公開可能な情報:ヴェネター級スターデストロイヤー
艦種:戦艦
全長1030m
最高速度(大気中)時速975km
ハイパードライブクラス1
対消滅機関:ブリリアンス・ドライブ
装甲:エネルギー消散型装甲、対ビームコーディング
防御:シールド
武装
・大型ターボレーザーキャノンx8
・中型二連ターボレーザーキャノンx2
・局所防衛砲x52
・近接対空防御パルスレーザーCIWSx30
・トラクター・ビーム発生装置x6
補助装備
・戦闘機x420
・その他、地上兵器多数
ベイ
・上面フライトデッキ
・下面ドッキングベイ
・両舷ドッキングボード(船体左右に位置するトンネル型ハンガー)
所属
・ブリリアンス王国(ブリリアンス・ギルド)
概要
ヴェネター級スターデストロイヤーは最新鋭戦艦である。アクラメーター級と同じ楔型の船体をしており、従姉妹のような関係である。
ブリリアンス基準では巡洋艦となる予定だったが、今までよりも多く武装が装備されていることから、ブリリアンス艦種は戦艦となった。
ヴェネター級は、火焔直撃砲の攻撃に耐えられる強力なシールドと幅広い火器を装備している。オリジナル機関を宿すが、フィールドは装備していない。
また船体上面を真っ直ぐとある、特徴的な長いフライトデッキとハンガーを備えていた。戦闘機、ガンシップ、シャトルは主にそこから出撃する。
空母としても使え、兵員輸送船としても使え、貨物船や補給船、幅広い任務にこなせる事が出来た。100隻の敵艦隊でもシールドが装備されていなければ、簡単にヴェネター級の餌食となるだろう。
そんなヴェネター級だが、少数のみの生産と決定された。真偽は不明であるが、今のところは既存艦でも間に合っている、と判断したのだろう。そのためヴェネター級の戦力数は、両手で数える程度である。10隻以降は生産されていないものの、指示あれば直ぐ生産出来る体制は確立されている。
漆黒艦隊を率いる4号はヴェネター級〈ダークネス〉に座乗しているが、実はあまりヴェネター級が好きではないという情報がある。本人は漆黒のブリュンヒルト級に座乗したいとあり、生産途中のため仕方なく乗っているだけとのことだが、真偽は不明だ。
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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