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八条学園騒動記

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第七百六十四話 悪より嫌なものその六

「それからほぼ引きこもっていましたね」
「ずるく生きていて」
「そうでした、失業保険が切れそうになると」
 そうなると、というのだ。
「働きまたです」
「いい頃合いと見れば辞めて」
「また失業保険で生きる」
「そして奥さんに食べさせてもらう」
「そうした生活でしたね」
「まことにずるくです」
 そう言っていい様なというのだ。
「生きていてです」
「自分のことだけで」
「客観視もしなかったですね」
「そして狭い世界に生きて」
 そうであってというのだ。
「偉いと思い込みました」
「自分をですね」
 ラメダスが応えた。
「そう思いましたね」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「それはです」
「勘違いでしたね」
「最悪の」
「そうでしたね」
「狭い世界に生きていて」
「自分が、人間がどれだけ小さいか」
 ラメダスは強い声で言った。
「全くですね」
「気付きませんでした、信仰を教えられても」
「気付きませんでしたね」
「信仰に気付くにもです」
「ある程度のものが必要ですね」
「ですが」
 そうであるがというのだ。
「今お話している人はです」
「そのある程度のものも」
「ないとです」
「餓鬼になるのですね」
「信仰も授からず」
「何もない、即ち」
 ラメダスはそれならと言った。
「ゼロですね」
「そうです、人として必要なものをです」
「全く持っていない」
「ゼロならです」
 そうであるならというのだ。
「人に何を。神を説かれても」
「信仰も持てないですか」
「そうなのです」
「そうですか」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「何も備えず」
「そのうえで、ですね」
「ただ生きているだけで」
 そうであってというのだ。
「餓鬼になります、自分がこの世で一番偉いと思えば」
「終わりですね」
「それ以上はないと思い」 
 そう勘違いしてというのだ。
「学ぶことなぞです」
「なくなりますか」
「ただふんぞり返っているだけで」
 ただそれだけでというのだ。
「人から言われても」
「見下すだけで」
「学ぶどころか」
「批判するだけですね」
「何処が駄目そこが駄目だと」
 その様にというのだ。 
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