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第42話「第八浮遊大陸攻防、開始」

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第42話「第八浮遊大陸攻防、開始」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 ―――ブリリアンス艦隊旗艦 エリス級l級重砲駆逐艦〈エンスタ〉。

 データリンクを開始しつつ、予定通り艦隊を組み直す。連合艦隊は平航する形となり、作戦実行に向けて予めインプットされている陣形へと展開していった。

 「司令官、地球カラ全艦隊に向ケタ通信ガ来テイマス。作戦内容ノ最終確認カト」

 「回線ヲ開ケ」

 「ラジャー、ラジャー」

 やがて、艦隊の展開が完了したのと同時に、作戦内容の最終確認が地球からの通信越しで説明される。
 その説明を、地球連邦防衛軍の統括副司令長官―――芹沢宙将が行う。威厳に満ちた声音で、作戦内容を淡々と説明した。

 『奴らがこの浮遊大陸基地を占拠して、既に60日。基地要員の救出は、ガミラス側も諦めている』

 この艦隊の司令官を務める戦術ドロイド―――タクティカル・ドロイドとも呼ばれる―――は、静かに聞いていた。芹沢の同情の欠片もない言葉を聞いても、救助されない運命を授けられた悲運のガミラス将兵に戦術ドロイドは同情しない。いや、正確にいうならば、感情を持っていないのだ。

 第八浮遊大陸の基地がガトランティスに占拠された時点で、彼らは生命活動を終了していることだろう。救助する必要性は無い。自分はただ、任務を果たすだけだ。

 『攻撃目標、ガトランティス艦隊及び浮遊大陸基地。なお、浮遊大陸基地奪還の栄誉は、我々地球艦隊に任された』

 今回の第八浮遊大陸基地奪還作戦の作戦内容は、だ。

 ・1ガミラス軍が先鋒として先端を開き、敵の注意をなるべく引きつける。

 ・2ブリリアンス軍と地球連邦軍は、ガミラスが撃ち漏らした敵を各個撃破しつつ援護する。

 ・3そのまま敵が降伏するか、全滅するまで攻勢を続ける。

 以上が、以下の通りだ。

 作戦通り事が運べればいいが、そうもいかないであろうことは予測されている。ガトランティス軍の艦隊戦力は410隻で、数でいえば連合艦隊が二回りほど上だ。

 スクリーンに、作戦図が映し出される。それは、第八浮遊大陸へ五方向から向かう旨だった。それぞれの艦隊の中核となるのは、〈ケルベロス〉の愛称にⅠからVまでのコードを付された改ゼルグート級装甲突入型。これを全面に押し立て、敵艦隊を連続的かつ同時的に攻撃し、防御陣を突破、第八浮遊大陸内に進攻した改ゼルグート級は要塞化していく。

 各艦隊はこの作戦通り、縦深隊形を執っていた。

 「間モナク敵軍ノ警戒線に侵入」

 「レーダーに敵ガトランティス艦隊ヲ捕捉シマシタ。ククルカン襲撃型駆逐艦、ラスコー級突撃型巡洋艦、ナスカ級打撃型航宙母艦ヲ複数確認」

 「敵艦隊内にアウトレンジ艦―――メダルーサ級殲滅型戦艦ヲ確認。数ハ3隻デス」

 ガトランティスの艦種が判明している理由は、ガミラスからの情報提供と捕虜の尋問で得たからだ。

 しかし、よりによって、メダルーサ級殲滅型戦艦が投入されているとは。戦術ドロイドは思う。宇宙戦艦ヤマトの戦闘記録からしても、転送システムを応用したアウトレンジ砲撃―――火焔直撃砲は面倒極まりない兵器だ。ましてやアクラメータ級を一撃で沈めたのだから、ブリリアンスにとっても脅威だ。それが3隻も同宙域に存在するとなると、厄介なことこの上ない。

 しかし、だ。それは心配無用だろう。
 《ガミラス臣民の盾》を艦首前方に展開装備している、改ゼルグート級装甲突入型があるのだから。元々ゼルグート級という艦種自体が重装甲ではあるが、特筆すべきは《ガミラス臣民の盾》だ。

 一見すると、ただ艦隊を守る盾の物。それは正しい。しかし、そんなチャチなレベルではない。

 《ガミラス臣民の盾》の持つ各種効果については、だ。一つ目が、単純かつ強力な防御性能で「耐える」という一点にかなり絞るものの、実質的な改ゼルグート級専用の対火焔直撃砲装甲として機能。2つ目が、転送や如何なる次元跳躍をも不可能にする空間撹乱能力。

 つまり、だ。

 この《ガミラス臣民の盾》があれば、転送システムを応用したアウトレンジ砲撃は使用出来ない。その証拠に、だ。アウトレンジ砲撃は無く、艦隊による奇襲も無い。《ガミラス臣民の盾》が、正常に機能している証明だ。

 《ガミラス臣民の盾》があるだけで、連合艦隊は優位となっている。とはいえ、だ。火焔直撃砲を装備するメダルーサ級は未だ健在。アウトレンジ砲撃で出来なくとも、通常射程に入り次第、ガトランティスは火焔直撃砲を使用するだろう。

 思考の最中、キャプテン・シートに座る戦術ドロイドにバトルドロイドが報告した。

 「全メダルーサ級、火炎直撃砲ヲ発射」

 報告された直後だった。火炎直撃砲の砲口に眩い紅蓮の輝きが白光に変わったかと思えば、巨大な火焔流と多数のプロミネンス状のエネルギー弾を撃ち放つ。
 
 「改ゼルグート級装甲突入型〈ケルベロスⅠ〉、同〈ケルベロスⅢ〉、同〈ケルベロスⅣ〉に着弾」

 装甲突入型ではないゼルグート級であれば一撃で轟沈し、改ゼルグート級であれば”防御出来るかもしれない”だが、この装甲突入型は違った。

 「《ガミラス臣民の盾》に、損傷ハアリマセン」
 
 「受ケ止メタゾ、凄イゾー!」

 「踊ロウトスルナ馬鹿者!此処ハ戦場ダゾ!集中シロ!」

 「スミマセン…」

 《ガミラス臣民の盾》は破れるどころか、傷すら無かった。穿つことが出来ないその漆黒の盾に、ガトランティスの将兵は驚愕するだろうと、戦術ドロイドはそう分析した時、艦隊が射程圏内に入ったと報告を受ける。

 戦術ドロイドは、即座に命令を下した。

 「全艦隊、攻撃ヲ開始セヨ」

 距離を詰めた地球艦隊とガミラス艦隊は、主砲を斉射していく。それはこのブリリアンス艦隊を構成するエリス級Ⅰ級Ⅱ型も同様で、その重粒子砲を発砲し始めた。

 対峙するガトランティス艦隊は怯まない。射程圏外から砲撃する火焔直撃砲のアドバンテージを失ったガトランティスだが、戦闘国家と称されるだけあって兵士達の戦闘士気は高いようだ。劣勢であろうとなかろうと勇猛果敢に突撃せんとしている。

 「砲撃ノ手ヲ緩メルナ。敵ガ自ラ攻メ込ンデ来ルノデアレバ、崩シテヤルノダ。〈ケルベロス〉ガ火炎直撃砲ヲ引キ受ケテクレテイル。接近ヲ許スナ」

 ビームを弾幕のように砲撃する速射輪胴砲塔が前部に配置されているガトランティス艦は、ガトランティス人の攻撃的な思想を具現化しているといっても過言ではない。

 「敵艦隊、陣形ヲヤヤ乱スモノノ維持シ、ガミラス先鋒部隊に肉薄シテイマス。ガミラス先鋒部隊ノ損害ハ1割デス」

 報告すると共に、大型モニターに敵味方示す輝点フリップでの最新の交戦状況を映す。それを観て、戦術ドロイドは思う。

 ガミラス艦隊の損害は相対的に小さい。彼らの損害が1割である理由であるのは、新装備にして地球やブリリアンスでは標準装備している防御兵装を搭載しているからだろう。

 改デストリア級重巡洋艦を沈めんとラスコー級巡洋艦は真正面から砲撃を浴びせたが、改デストリア級に防御され、逆にラスコー級は撃沈へと追い込まれる。

 別のラスコー級が改デストリア級の右舷上方側から襲い掛かるが、返り討ちとなる。ガミラスのように対ビームコーティング―――ミゴヴェザーコーティング(帯磁加工装甲)すらされていないガトランティス艦は、撃沈されていった。

 別の改デストリア級ではククルカン級襲撃型駆逐艦2隻に包囲されようとしていたが、駆けつけた友軍艦により包囲は間逃れた。

 戦局が膠着状態とならないよう、ガミラス艦隊は上手く被害を抑えつつ踏み込みをしていく。地球艦隊はガミラス艦隊と比べると少し鈍いものの、ガミラス艦隊と同様に踏み込みをしていく。

 後退せず、かといって距離を詰め過ぎないよう気をつけつつの踏み込み。戦果を上げる中、全メダルーサ級による火炎直撃砲の攻撃が〈ケルベロスⅡ〉にやって来た。

 メダルーサ級3隻の同時射撃。同一標的への集中攻撃により〈ケルベロスⅡ〉の《ガミラス臣民の壁》へ叩き込む。《ガミラス臣民の壁》は融解と同時に粉砕され、火焔エネルギーの濁流が〈ケルベロスⅡ〉を轟沈に追い込んだ。

 「〈ケルベロスⅡ〉、轟沈」

 《ガミラス臣民の壁》と改ゼルグート級装甲突入型〈ケルベロスⅡ〉は、敗れた。その事実は、連合艦隊に衝撃を与えた。

 戦術ドロイドは思考する。

 もし《ガミラス臣民の盾》を全て失えば、火焔直撃砲から艦隊を護ることは不可能となるだろう。そうなる前に深く食い込み、メダルーサ級を沈めなくてはならない。しかし、その目論見が読まれているのか、どの部隊も足止めされている。
 
 そう思考していた時だ。敵陣形の内部で、一部乱れが生じたのをオペレーターが捉えた。

 「司令官、敵艦隊後方ノ内部デ複数ノ爆発ヲ確認シマシタ」

 「何ダト?」

 戦術ドロイドは疑問に思う。どの部隊も足止めされている今、奥深くに入り込むとは余程に統率力が高く技量があるようだ。ブリリアンス艦隊の部隊やガミラス艦隊の部隊ではないと報告された以上、地球艦隊の部隊という事になろうが、いったいどこの…。

 戦術ドロイドが求めていたその答えは、バトルドロイドから報告された。

 「データ照合―――地球連邦、第二護衛艦隊所属ノ〈ゆうなぎ〉」


 ―――地球連邦、第二護衛艦隊所属ノ〈ゆうなぎ〉。
 
 金剛改型宇宙戦艦の艦橋には、3人の元ヤマトクルーがいる。

 一人は、南部康雄。
 南部重工の御曹司だ。常にメガネを掛けている南部の年齢は25歳。宇宙戦艦ヤマトで勤務していた際は、砲雷長を務めた。砲術を始めとした火器の取り扱いはエキスパートで、ガミラス艦とガトランティス艦を尽く沈めてきた実績がある。その命中率は機械的な補助があるとはいえども、彼の砲術は群を抜いている。
 エリート意識ましましだったが今では払拭され、現在はこの〈ゆうなぎ〉で砲術長を努めている。

 一人は、相原義一。
 年齢は26歳。宇宙戦艦ヤマトで勤務していた際は、船務科で通信管制を担う通信長を務めた。常に穏やかな表情が特徴だ。前と同じく、この〈ゆうなぎ〉でも通信長を務めている。

 最後は、古代進。
 年齢は24歳。宇宙戦艦ヤマトで勤務していた際は、戦術長を務めた。人情的で穏やかな性格と、常に凛としている姿勢が特徴だ。彼は、この〈ゆうなぎ〉の艦長を務めている。

 3人は共通して、イスカンダル航海を共にした仲だ。

 『こちら地球連邦艦隊旗艦〈タイコンデロガ〉より、第二護衛隊旗艦〈ゆうなぎ〉へ。直ちに戦列に戻られたし。艦隊の秩序を乱すな。敵に突け入られる恐れがある」

 そして今、艦隊旗艦〈タイコンデロガ〉より呼び掛け―――咎めを受けていた。3人の男は、当然だろうと思う。〈ゆうなぎ〉は単に艦隊から突出している訳ではなかった。「夕凪」という穏やかな名からは想像もつかない動きをしているのもそうだが、許可なしに戦列を離れたのだ。当然だろう。

 しかし、やめるつもりはない。

 「こちら第二護衛駆逐隊〈ゆうなぎ〉。整列して応酬するだけでは効果に乏しく。我が部隊が切り込み、敵中枢に打撃を与えて隙を狙う!」

 艦隊旗艦〈タイコンデロガ〉は自分達〈ゆうなぎ〉が、栄誉を優先しているのではないかと疑心に駆られてしまっているだろう。

 実際のところは違う。古代達にとって栄誉など欲するところにあらず、欲するのは生還するという目標のみだった。無駄な犠牲を増やさないためにも果敢にも突撃を敢行し、ガトランティス艦隊を混乱に陥れようとしているのだ。

 第二護衛駆逐隊〈ゆうなぎ〉は、上下左右に動き回りながら砲撃を加えており、片っ端からガトランティス艦を沈めている。その姿は、まるで戦闘機の機動のようだった。

 爆発する敵艦の爆炎と閃光に艦橋内部が照らされる中で、古代はツバ付き軍帽を被り直しつつ次々と指示を飛ばした。

 「このまま敵中枢に飛び込む。敵艦を各個撃破しつつだ!」

 自席で電探士が縮こまった。

 「む、無茶苦茶だ…!?」

 果敢であれどあまりも無謀な突撃だ。そんな電探士の彼に苦笑いしつつ、相原義一はフォローを淹れた。

 「うちの艦長は、戦闘機乗りでもあったんだ。これくらいはお手の物だよ。それに〈ゆうなぎ〉は波動エンジンに換装しているし、充分に成し得るよ」

 人の良さそうな笑みを浮かべて不安を払拭させる相原に対し、南部康雄は火器管制システムを操り戦闘指揮を執っていた。砲術の腕は随一とされるだけに、彼の手腕は衰えることを知らない。

 射撃管制用のスコープに映るガトランティス艦に次々と叩き込み、デブリをその一帯に絶賛生産中である。

 まぁ、当然というべきか。上下左右しまくっているだけに、古代進を除いて〈ゆうなぎ〉乗組員の顔色は蒼い。

 「空母から敵攻撃機デスバデータの発艦を確認!」

 前方のナスカ級打撃型航宙母艦から発艦する敵攻撃機デスバデータ。その報告に、古代は迎撃を命じた。

 「上部甲板ミサイル、発射!目標、敵攻撃機デスバデータ!」

 「了解!」

 南部が頷く。
 甲板上のミサイル・ハッチが連続して開いた直後、ミサイルを放ち目標に向かっていく。やがて、それは発艦した全ての攻撃機デスバデータに命中し、撃墜した。

 「敵の目の前で発艦させるなんて、以前に会った奴らと何ら変わらないな」

  南部はガトランティスの手際の悪さに悪態を突いた。かつて遭遇したダガーム大都督が率いるグタバ遠征軍もまた、〈ヤマト〉の目前で艦載機を発艦していたことがあったからだ。

 「主砲、発艦させた敵空母に照準合わせ!」
 
 「了解!」

 南部は頷き、照準を敵空母―――ナスカ級に合わせる。

 「発射準備よし!」

 南部からの報告に、古代は命じた。

 「撃てぇ!」
 
 〈ゆうなぎ〉の主砲がナスカ級を射界に捉え、陽電子衝撃砲―――ショックカノンを叩き込み、撃沈に追い込んだ。

 少しして、遂に敵中枢へと到達した。

 「左舷にメダルーサ級を確認!」

 艦橋の窓からでも目視可能な距離に、1隻のメダルーサ級はいた。メダルーサ級に装備されている艦首の巨大な主砲塔こと五連装大口径徹甲砲塔が、右舷上方より迫る〈ゆうなぎ〉を狙うために、砲身が最大限に上を向く。

 五門の砲口から順次ビームが発射される。加えて艦体に装備された他の速射輪胴砲塔等も呼応して、襲い来る〈ゆうなぎ〉に次々と発射する。

 〈ゆうなぎ〉が驚くほどの機動性で回り込み、なおかつ波動防壁で敵のビームを逸らしダメージを軽減させていく。

 敵艦の対空迎撃射撃の網を掻い潜る中で、古代は攻撃を行う絶好のポイントに差し掛かるや、焦ることなく命じた。

 「艦首魚雷発射管、1番~4番を開口。目標、正面のメダルーサ級!」

 「発射管開口、魚雷発射準備よし!」

 「発射!」

 艦首方向がメダルーサ級の横っ腹に向くと同時に、〈ゆうなぎ〉艦首に装備されている艦首魚雷発射管が開口され、新型空間魚雷4本が獲物目掛けて飛び出した。新型空間魚雷は真っ直ぐ突進し、食らいつこうとする。

 そのメダルーサ級は突進してくる〈ゆうなぎ〉に注意が完全に行っているようで、猛進してくる空間魚雷にまで気が回らなかったようだ。迎撃不可能な近距離にまで接近した。

 五連装大口径徹甲砲塔のターレット部分に新型空間魚雷が集中して叩き込まれると、被弾した個所の装甲が剥離されるどころか内部奥深くにまで被害が到達。火焔直撃砲のエネルギーを主砲に転用するための伝導管にまで及んだ結果として、大爆発を引き起こす。

 追い打ちとばかりに〈ゆうなぎ〉が主砲を斉射したことで、目標のメダルーサ級は完全に沈んでいった。爆発と炎が包まれたメダルーサ級に全速で突っ込むと、振動が伝わってくる。乗組員一同は肝を冷やした。

 「くっ…!」

 古代は、艦橋の外の爆煙から視線を逸らさない。爆煙が引くと、なおも連合艦隊とガトランティス艦隊の砲撃を交わす光景が確認出来る。

 「ブリリアンス軍の部隊、メダルーサ級を沈めることに成功」

 古代を含めた連合艦隊将兵にとって、それは吉報だ。残りのメダルーサ級は1隻だけ。これを沈めれば、戦況は一気に優勢となる。ガトランティス艦隊の艦艇数は200隻を下回ろうとしており、対する連合艦隊の大半が健在だ。第八浮遊大陸基地側まで押し込もうと、連合艦隊は進撃する。

 「こんなことを…っ」

 その光景を静かに見つめる古代は、思わず口から呟きが漏れる。それは、呻きだった。俺は、こんなところで何をしているんだ。なんで、こんなことを…。

 「古代艦長!」

 オペレーターの大きな声が、古代を我に返らせた。

 「敵艦隊が後退し、浮遊大陸へと引き返していきます」

 「後退?」

 古代は問い返す。モニターの一つに視線をやると、確かに後退している。この報告に違和感を感じた彼は若いながらも、激戦を潜り抜けた身であるからこそ感じた違和感だった。 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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