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第39話「水着回」

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第39話「水着回」となります。
どうぞ、ご覧ください 

 
 青い海。
 白い砂浜。
 海の家。

 スヴェートの為に用意されたビーチは彼女が気まぐれで「ビーチで寛ぎたい」と言うだけで、ドロイド達によりせっせと準備されたのである。

 その証拠に、だ。
 砂浜にはゴミ一つ無いのは、来る前に掃除を終わらせていたからだ。

 そんな中、だ。サングラスを掛け、面積の小さな水着を着用しているスヴェートは、ビーチ・チェアに背中を深く預けている。ガラス製の瓶に入っているオレンジジュースを片手に持ち、飲んでいる姿を含め、彼女が言った通り寛いでいることがよく分かる。

 さて、だ。スヴェートは思う。
 どうして白い砂浜で見る水着は輝いて見えるのだろうか。下着同然、下手をすれば下着よりも面積の小さな水着の数々。ましてや女性が水着姿ならば、男なら目で追ってしまうことだろう。…まぁ、そんな私は目で追ってしまっているのだが。

 何故なら、容姿端麗の女性達が沢山といるからだ。各々遊んだり、ビーチ・チェアに寝転んだり、ボードのような物を持って波をかき分け沖に行く者など、思い思いの行動をしている。

 無論、ブリリアンス・ギルドに有機生命体こと人間は、私を含めた2人だけ。

 では彼女達は何者か?という疑問があるだろう。彼女達の正体は―――人形機械だ。この生体アンドロイド達はスヴェートの遺伝子をベースに培養製造されているため、見た目が似ている。とはいえ、可能な限り骨格などを調整しているため、同じ姿形をしているというわけでもない。

 あの場にいた外交団の殆どが、生体アンドロイドで構成されていたのだ。

 「ふぅ、最高」

 スヴェートがビーチで寛いでいる理由は単純だ、外交を頑張った自分へのご褒美なのだ。

 「ん?」

 ふと、自分に向けられている視線に気がついたスヴェート。方向からして、左後ろだろう。彼女が視線を自分に向けている人物へと振り向いた。

 「どうした、スノウ」

 その人物はスノウ。宇宙正義の理念を掲げる連邦に所属し、スヴェートの遥か上の年齢である女性だ。腰まで届く黒い肩掛けマントを背負い、黒い装甲服と素顔を一切晒さない黒ヘルメットに身を包む。

 スノウは言葉を発することなく、紫の双眸をスヴェートへと向けていた。見つめているのだ。じっと、だ。

 「………なんでもない」

 なんでもない訳がないだろう、とスヴェートはツッコミを入れた。なら、その沈黙は何だ。何故不機嫌で不服そうなんだ。表情は分からないが、声音と雰囲気で分かるぞ。

 スヴェートは思い出す。あの時、地球から帰還し、ビーチに向かおうとしていた際に、スノウが乗る漆黒の連邦艦がやって来たのだ。それはもう、突然とだ。正直ビックリしたし、何より心臓に悪い。エターナルストーム級を大きく上回る扁平型の漆黒艦が突如として現れたのだ。

 シャトルに乗り此方までやってきたスノウに、何故か叱られてしまったのは記憶に新しい。何か叱られるような事をしただろうか、と今でも思うものだ。

 「じゃあ、私は遊んでくる。子供の時以来の、砂遊びをな」

 子供の時の記憶があんまりないなぁ、とぼやいたスヴェートは持っていたドリンクを水着姿の給仕―――生体アンドロイドに預け、ビーチ・チェアに預けていた背中を上げたのだった。

 ……
 …

 スノウは紫の双眸を、ただ静かにスヴェートへ向けていた。

 「地球に行くのなら、一声くらいは掛けて欲しいものだ。しかし、ビーチに行くだけでこれ程の守りが就いているとはな」

 ビーチで遊ぶ前に掃除をさせ、海の家を用意。

 スヴェートの見えるところでは、【純白のフェイズIIアーマーとヘルメット】を装備する生体アンドロイドで統一された軍隊が警備をし、彼女の見えないところではバトルドロイドの軍隊が警備をしていた。

 周辺だけではなく、海中には【AQシリーズ・バトル・ドロイド―――アクア・バトルドロイド】と旧世代の潜水艦が警備している他、海上には旧世代の軍隊がかつて保有していたイージス艦が警備。上空と宇宙には宇宙艦隊が待機中だ。

 スヴェートの思いつきで、これだけの労力が消費されていた。

 「まぁ、妥当か」

 ブリリアンスが連邦加盟惑星とはいえ、防衛はいつの世も必要不可欠。

 ブリリアンスが加盟惑星となった理由―――選定基準をスヴェートは知らない。スノウが言っていないからだ。ただ、加盟惑星おめでとう、と短く言っただけだ。

 「地球連邦、か」

 地球は連邦非加盟惑星だが、惑星を一撃で死に至らせめる兵器がある。連邦は、地球を加盟惑星とする必要はないだろう。最も、連邦の選定基準は武力のみで決まるものではない。

 「スヴェート、私は帰る。仕事があるからな」

 この距離だ、聞こえているとは少しも思っていない。名残惜しいそうに視線を向けていたスノウだったが、彼女は背を向けこの場を去ったのだった。 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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