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現実世界は理不尽に満ちている!

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第8話「恋しいなぁ」

 
前書き
ネオ•代表05-1です。第8話「隣星系に攻め込む作戦完了」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 風呂。

 それは、人間が産まれたままの姿になる場所である。

 そんな場所である風呂に、一人の女性が湯船に浸かろうとしていた。

 絹糸のようにサラサラである黒髪。
 洗ったばかりなのか、水滴が前髪から顔へ移るように下りていた。

 整った形の眉に、スッと筋の通った小鼻。

 女性らしい長い睫毛。
 
 その睫毛の下にある双眸は宝石のような赤い瞳。

 口にはぷっくりと柔らかそうな桃色の唇があり、口紅など塗る必要が無いくらいのレベルだ。

 そして、極めつけは……肌。

 雪のように白い肌にはシミひとつ無く、シルクのように滑らかで女性特有の柔らかさがあった。

 170cm以上はある身長に、手足の筋肉は男性と比べるとやはり少なく、キュッと引き締まっていた。
 
 同様にお腹周りや割れていた腹筋も無く、無駄が一切無い。
 腰は適度にくびれており、出るとこは出て締まるところは締まっている。

 実に、理想的な肉つきだ。

 最後に、最も目を引く場所は勿論……女性を象徴する大きな膨らみが2つあった。
 幾つかの水滴が大きく均整の取れた胸を通り、床へと落ちていく。
 
 少し体を動かせば「ぷるん」と揺れ、その豊かさと柔らかさを物語っていることが伺えるだろう。

 鎖骨周りもスッキリとしており、その上に垂れた髪のせいか、妙にその、色気があった。

 「……」

 何を思ったのか、突然と胸を揉む黒髪の女性。
 優しく揉んでいたその直後、程よい重さと柔らかさ温かみが、手の全体を包み込むように感じる。

 ふと、我に返った黒髪の女性。
 …もしも、他人に見られたらと思うと…………側から見ればとても扇情的で、魅入ってしまいそうな光景であること間違いなし。

 彼女はハッとなり、直後に胸から手を離す。

 …何か、イケナイ事をしていたような気分、いや実際そうなんだが。
 口に出したと同時に落ち込みつつ、彼女はヒノキの風呂桶をそっと湯船に浮かせた。

 ヒノキの風呂桶を浮かせた彼女は、湯船が張られている浴槽へと一歩一歩と前に進んでいく。
 
 彼女が居る浴室は、小さな銭湯クラスの広さを誇っている。

 その為、浴槽は一般家庭にあるような浴槽ではないのは当たり前であり、シャワーも当然で一つ二つ三つと沢山あり、一つのシャワーに一つずつのシャンプー&ボディーソープが完備されている。

 浴槽内の床に設置されている手すりに掴まりつつ、階段状となっている床に気をつけながら、やがて彼女は湯船にどっぷりと浸かった。

 「ふぅ」

 温かなお湯は全身を包み込みとても気持ちよく、思わず声を漏らしてしまうのは仕方がないというもの。

 「……」

 湯船の中で膝を抱えると、フヨフヨと浮かぶ胸が太ももに当たり形を変えた。

 「…現実世界に転移したギルド長、か」

 はぁ、と溜め息をついた黒髪の女性はもう一度胸を触るが、やはり触ったという感覚があることから、現実である事を認識させられる。
 
 …胸を触って現実であるかの確認って何だ?
 そう口に出した彼女ギルド長は、重い溜め息を吐く。

 その重い溜め息は、胸を触って現実かどうかの確認はどうか?が含まれているが、それを上回る事が一つ含まれていた。

 「まさか、宇宙人が実在するとは…」

 宇宙人。

 人類が存在するように、宇宙人は存在する。

 しかし、宇宙人など存在しないと、人類は信じて疑わない。
 誰もが、だ。

 だが、ギルド長は違う。
 何故なら、宇宙人は実在すると信じて疑わない。

 何故、この広大な宇宙に人類のみだと決めつける?
 彼女には分からなかった。

 「宇宙人は実在する。…ファーストコンタクト時は驚いたものだ」

 要塞と共に転移したのも衝撃だったが、宇宙人のほうが遥かに衝撃だった。

 なんやかんやあって、〈クロイン〉と呼称した宇宙人と戦い合っている。

 その〈クロイン〉はシールド並びに光学兵装を標準装備している戦闘艦を保有。
 SF作品でしか登場しない装備を、だ。

 いや、光学兵装に関してでいえば、現代に試作の物があるが、それでも試作の中の試作であり、〈クロイン〉の装備には遠く及ばない。

 「現代兵器vs〈クロイン〉」

 フッと笑みを浮かべるギルド長。

 昔から根っからの宇宙人オタクと自負する彼女は、宇宙人に侵略される映画を数多く見てきた。

 異星人のオーバーテクノロジーの塊で最初は押されるも、知恵と戦略で人類は勝ってきた。
 だがそれは物語上での話であり、実際は都合よく行かないし、どうなるか分からない。

 「ふぅ…ん?」

 回想の最中、胸に違和感を覚えた。
 ツンツンっと弱く突くような、擽ったいような、そんな違和感を。

 ギルド長は違和感の正体を見る為に、視線を下に向けた。

 彼女は見た。

 玩具のアヒルは(くちばし)をツンツンっと突いているところを。
 その様子は、まるで構ってちゃんのようであった。
 
 「く、擽ったいな」

 一瞬、声が詰まるも、ギルド長はそっと玩具のアヒルを退かした。
 
 「あ、そうだ」
 
 玩具のアヒルを退かしたギルド長は、ヒノキの風呂桶にあるタブレット端末を手に取った。

 「…あ」

 ギルド長はうっかり、タブレット端末を熱湯へジャボンっと落としてしまう。
 あわあわと慌てる彼女だったが、そういえばっと思い出し、スッとタブレット端末を回収する。

 タブレット端末を回収したギルド長は電源を起動させた。
 黒かった画面から一変し、ロック画面には宇宙をモデルにした壁紙をバックに白い文字つまり現在の時刻が映っていた。

 そう、このタブブレット端末は防水仕様なのだ!
 その為、先程のようにお風呂でうっかり落としてしまっても安心なのだ。

 その証拠に、タブレット端末を落としてしまったギルド長は慌てる事なく、六桁の暗証番号を入力し、ロック画面を解除した。
 先程あわあわと慌てていた出来事は、彼女の記憶には綺麗さっぱり残っていなかった。

 ギルド長はとあるAPPを開いた。

 とあるAPPを開いたギルド長はロード画面が終わるや、流れるように資産情報に関するファイルをタップした。

 資産情報に関するファイルには資源に設備そして総戦力といった、ありとあらゆる項目があった。
 その項目の一つをタップした。

 タップしたその項目は、艦船設計図。

 ギルド長は艦船設計図を閲覧する。

 閲覧する理由として、これといった深い理由は無い。
 ただ、どんな船だったかを、観たいだけだ。

 閲覧する艦船設計図の内容は、これだ。

ーーー
・マーレトランキリタティス級ミサイルフリゲート
・レリアット級高速魚雷フリゲート
・マーレ インブリウム級突撃フリゲート
・マーレ インブリウム級実験型パルス砲フリゲート
・【トーラス級 パルス砲駆逐艦】
・【セレス級 艦載機型駆逐艦】
・【ツンドラ級 戦術駆逐艦】
・Çー9979着陸船
ーーー

 以上が、閲覧する艦船設計図である。

 先ずは、マーレトランキリタティス級ミサイルフリゲート。

 全長が255mあるこのミサイルフリゲート艦は、クロス複合砲システムとミサイルを搭載した統合型ミサイルフリゲートであり、一般多機能ミサイルを持ち、付近の飛行目標を要撃を行う艦艇だ。

 主に護送、ミサイル、対空任務を担う。
 派生としてパルス砲型があるが、違いは防衛パルス砲に換装したのみ。

 艦の形状は葉巻型に近しく、艦の色は白一色だ。

 2つ目は、レリアット級高速魚雷フリゲート。

 全長が220mありダークグレイ一色のレリアット級は、艦船の両側に高速対艦魚雷発射管を搭載している他、パルス砲をx3装備している。
 特殊なエネルギー放出弾頭の魚雷を搭載し、重武装の目標に優れたダメージを与える事が出来る。

 派生として、対艦型とステルス型がある。

 3つ目は、マーレ インブリウム級突撃フリゲート。

 全長270mあるこのフリゲート艦は、新型モデルだ。

 戦闘で敵に壊滅的打撃を与える任務を果たす為に、艦全体が艦首の電磁加速砲を中心に設計され、大口径の480mm砲を艦首に搭載する事で、敵艦に壊滅的打撃を与える事が可能だ。

 〈クロイン〉のシールドを消失ないしは減衰させる。
 その目的で設計・生産されたのが、このマーレ インブリウム級突撃フリゲートだ。

 「…まさか一発で、シールドを剥ぎ取ることが出来たのは予測外だった」

 思い出したギルド長は、改めて驚きの色を露わにした。
 
 マーレ級突撃フリゲートの艦色は、地球の衛星である月を基調としている。

 4つ目は、マーレ インブリウム級実験型パルス砲フリゲート。

 マーレ級突撃フリゲートの派生モデルである本級は、パルス砲を搭載している。

 実験型とある通り、フリゲート艦にパルス砲を搭載するのは実験の意味合いが含まれている。
 
 高出力のメインパルス砲がx1と、対空小型パルス砲x2で構成されており、柔軟にエネルギーを供給出来るエネルギーシステムを搭載し、戦闘開始時に火力全てを対艦攻撃に集中させることで、敵艦を速やかに撃沈させることが可能だ。
 
 5つ目は、【トーラス級パルス砲駆逐艦】。

 全長520mあり薄い緑色のトーラス級は光学兵装を搭載した駆逐艦で、艦首に大型パルス砲塔を装着し、副砲として小型パルス砲がx3装備している。

 どの艦艇もそうだが、現実では致命傷となる攻撃を受け、見るに耐えない姿となっても、WOSでは艦艇は無傷に見え、致命傷であることが分かるのはHPゲージででしか分からない。

 6つ目は、【セレス級 艦載機型駆逐艦】。
 
 全長580mあり白が基調のセレス級は、艦載機を搭載する駆逐艦だ。
 
 軽空母とも呼ばれるセレス級は、その限られたスペースに戦闘機の保守・司令システムを完備しており、戦闘機10機を搭載可能。
 搭載している機体は、【ヴァルチャードロイド】だ。

 派生として支援型があり、戦場時UAVによる味方艦船の補修が可能である。

 7つ目は、【ツンドラ級 戦術駆逐艦】。

 全長610mあり薄い緑一色であるツンドラ級は、味方艦船の修理が可能なUAVに対空UAVを搭載している。

 「…beautiful」

 ギルド長は、このツンドラ級の見た目が気に入っているのだ。
 それも、美しいを英語で言ってしまう程に。

 そして最後の8つ目は、Çー9979着陸船。

 Çー9979着陸船は、地上戦力を惑星の地表へ移送することを目的に設計されている。

 巨大なH型のシルエットが特徴な重装甲の着陸船は、一個大隊の地上戦力を運ぶ事が出来る。

 これら全ての艦艇は、対ビームコーティングが施されている為、ある程度の光学兵装から身を守ることが可能である。
 フリゲートから駆逐艦と、艦種が上がるごとに対ビームコーティングは強力となる。

 「性能も見た目も最高だな」

 素晴らしい、と付け加えたギルド長は笑みを止めることなど出来なかった。

 少ししてAPPを閉じ、タブレット端末をヒノキの風呂桶に戻したギルド長は、瞑目する。

 「地球が恋しいなぁ」

 その心眼には、青い地球の姿が映されているのだった__。

 ギルド長が地球へ想いを馳せている一方、一つの通知がタブレット端末に届いた。
 その通知には、こうあった。

 ーーー隣星系に攻め込む作戦完了、と。 
 

 
後書き
 さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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