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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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さらばグレートサイヤマン

 
前書き
悟飯のビーストへの変身は魂VS魂が流れているイメージ。

もしこんなので流れたら神曲の無駄遣いでしょうけどね。 

 
悟飯は悩んでいた。

幼い頃から学者になるために姉や師匠から極端すぎると言われるほどに勉強をし、ようやく念願の学者になれた。

その過程で勉強以外の唯一の趣味と言えるグレートサイヤマンは何故か姉から大不評なのだ。

ブルマから認められるほどの格好良さを誇っており、自信過剰と言われるかもしれないがグレートサイヤマンの衣装を纏った時の自分は父にも師匠にも負けないくらい格好良いと思える自負がある。

ビーデルからも異性であるためか最初は微妙な反応だったが、今では2人っきりになるとお揃いのスーツを着てグレートサイヤマン・ファイティングポーズを取ってくれる。

悟天は反抗期に入ってしまったが、幼い頃は格好良いと言ってくれたし、トランクスもあまりの格好良さにコメントが出来ない程だったのだ。

「ベジータさん、どうやったら姉さんにグレートサイヤマンを認めて貰えるんでしょうか?」

「帰れ」

娘のブラの視界を遮りながら一蹴するベジータ。

「ベジータさん!僕は真剣に相談してるんですよ!そんな冷たくしなくても良いじゃないですか!」

「ええい!その格好でブラの視界に入るな!穢れる!!カカロット!貴様、息子の教育はどうなっている!!」

まだ2歳のブラにグレートサイヤマンを見せたくないベジータは悟飯を足蹴にしながら追い出そうとする。

「い、いやあ…そんなこと言われたってよ…悟飯…おめえもいい加減良い歳なんだから止めろって」

隣で茶菓子を頬張りながらお茶を啜っていた悟空も困ったように言う。

「父さんまで!?やっぱり2人共純粋なサイヤ人だからこう言うのに疎いのかな…あ、トランクス!」

「(ゲッ!?)ど、どうも悟飯さん…」

通りすがりのトランクスが悟飯に捕まり、トランクスはグレートサイヤマンの格好を見てまた厄介事かと顔を引き攣らせる。

「トランクス、君なら分かるだろう?グレートサイヤマンの格好良さが!?」

「…ノ、ノーコメント…」

「そうかそうか、このグレートサイヤマンの格好良さは言葉に出来ないもんな!!」

幼い頃は悟空やベジータにグレートサイヤマンはダサいと言っていたが、成長した現在はそれなりに配慮が出来るようになり、無理して笑顔を作ってノーコメントと返答した。

実はトランクスもこっそりヒーロー衣装を作ろうと悟天とデザインを考えていたのだが、デザインを描いていた悟天が悟林に見つかってデザイン段階で容赦なくダサいの評価を貰ってセンスに自信があったトランクスと悟天の心がポッキリと折れてしまい、お蔵入りになってしまった。

「ベジータ、トランクスは大人になったなぁ」

「当たり前だ。俺の息子だぞ」

同じサイヤ人の混血であるにも関わらず、両親も変なセンスはしていないはずなのに何故こんなことになっているのか。

「姉さんは何時まで経っても分かってくれないし…こうなったら全力のポーズを見せるしかない…!僕が精神と時の部屋に籠って編み出したポーズを!」

「おめえ、それを何で修行で出来ねえんだ?」

その熱意を何故修行に活かせないのか?

息子の熱意の方向性が理解出来ず、悟空はお茶菓子のお代わりを頬張る。

「今行くぞ姉さーんっ!!今からグレートサイヤマンの格好良さを教えてやる!!」

やる気の炎を滾らせてる一方で畑仕事を終えて狩りをしていた悟林は謎の悪寒に襲われて身震いしていた。

「なあ、ベジータ、トランクス。悟飯の奴どうなっかなー?」

「殺されるだろうな…確実に」

「悟飯さん、何度も怒られてるのに懲りないよな…」

取り敢えず修行後の一服を終えて3人は悟飯の生死確認のためにパオズ山に足を運び、予想通りと言うか何と言うか悟飯がボロ雑巾になって倒れており、何故かいるビルスとウイスはパオズザウルスの唐揚げに舌鼓を打っていた。

「あれ?ビルス様にウイスさん、どうしたんだ?」

「んー?悟林がこの山の幸をご馳走してくれるって言うからね。来てやったんだよ、この山で獲れる食べ物、見た目が少し悪いのはあるがどれもこれも美味い!!」

「確かに少ーし見た目は悪いですがこの唐揚げ、とーってもジューシーで一度食べたら止まりませんよー。」

ウイスもビルスもパオズザウルスの唐揚げの美味さに満足そうであり、悟空も育った故郷の食べ物が褒められて嬉しそうだ。

「へへ、パオズ山の食い物は美味えからなー。ところで悟飯はどうしたんだ?」

「それがいきなり現れたかと思うと摩訶不思議な格好をして奇妙なポーズを取り始めたんですよ」

「まるでフリーザのとこの何とか特戦隊みたいなポーズでね。悟空、お前の息子のセンスが狂ってるんじゃないか?」

ビルスとウイスから見てもグレートサイヤマンのポーズはダサいらしい。

「悟飯…いい加減にしなよ本当に…」

「ね、姉さん…どうしてグレートサイヤマンの良さを分かってくれないんだ…!」

「分かりたくもない!!こんな玩具!!こうしてやる!!」

「あ…っ!」

正直悟林からすればこんな物を嬉々として着る弟の方が理解出来ない。

二度と見なくて済むように変身装置を奪うとそのまま踏み潰した。

「お、お義姉さん…何てことを…!」

グレートサイヤマンに染められてしまった哀れな犠牲者であるビーデルが変身装置を踏み潰した悟林に愕然となった。

「悟飯!今日からグレートサイヤマンは禁止!予備の変身装置も没収だよ!分かった!?」

悟林の言葉は悟飯には届いていなかった。

変身装置を踏み潰されたショックで悟飯の頭の中は真っ白になり、次第にそれを理解していくとマグマのような怒りが沸き上がってきた。

「ちょっと悟飯!ちゃんと人の話を聞いて…」

「うあああああああっ!!!!」

立ち上がるのと同時に悟飯の怒りの咆哮が上がり、気が爆発すると長く伸びた銀髪と目は瞳孔のある赤眼。

獣化を果たした悟飯が悟林を睨み付ける。

「ご、悟飯…」

悟林の気の爆発を感じ取り、また姉弟喧嘩かと様子を見に来たピッコロが微妙な表情を浮かべている。

肝心な時に怒れない癖にこんなしょうもないことで有り余る潜在能力を爆発させる悟飯に微妙な表情を浮かべるのも無理はないだろう。

「あいつの怒りの琴線が分からん…」

ベジータもベジータでブウとの闘いの時のように重要な闘いで怒れない癖にこんなことで怒るのに呆れざるを得ない。

「もう許さないぞ…姉さん…!」

「…お前って何で肝心な時に怒れない癖にこんなゴミみたいな衣装に怒るわけ?」

「ゴミ…?グレートサイヤマンのことか…グレートサイヤマンのことかーーーっ!!!!」

悟飯にとってグレートサイヤマンの衣装は悟空にとってのクリリンのような大事な物であり、それを侮辱することなど許せるはずがない。

知られたらクリリンに土下座と謝罪案件なことを思いながらオーラを爆発させ、一気に距離を詰めて来る悟飯に悟林も究極神化と同時に超究極界王拳を発動しながら迎え撃つ。

拳と蹴りがぶつかり合う度に激しい衝撃波が撒き散らされていく。

「何てしょうもない争いだ」

「まるでビルス様とシャンパ様の喧嘩のようですねぇ」

「おい!あれと破壊神同士の対決を同列に扱うな!威厳と歴史が違うわ!!」

あまりの低レベルの喧嘩にビルスはパオズヤモリの丸焼きを頬張りながら呆れたように言うが、ビルスとシャンパの喧嘩を見てきたウイスも呆れながら言うとビルスはあの姉弟喧嘩と同レベル扱いされることに怒る。

「「魔貫光殺砲ーーーっ!!」」

フルパワー状態での魔貫光殺砲の激突は完全に互角。

取り敢えず食事に埃がかかったらいけないと判断したウイスがバリヤーを張って食事を守る。

「チッ!ちょっと怒るだけでこれか…本当にズルい奴」

少しだけ弟への嫉妬が浮かぶが、こればかりは仕方ないと割り切って戦闘を続行する。

悟林の拳が悟飯に迫るが、悟飯は屈んでそれをかわすと悟林の腹に拳を叩き込む。

「ぐうっ!?」

「今のは最初に壊された変身装置の恨み!!」

「このっ!!」

悟林は回し蹴りをするが、悟飯は右腕で受け止めると殴り飛ばして岩に叩き付ける。

「2つ目の恨み!!」

「え!?悟林さん…押されてる…!?」

「こ、これは…夢か…!?」

トランクスとピッコロが悟林がやられてることに我が目を疑っている。

「魔閃光ーーーっ!!」

砕けた岩から飛び出した悟林は気功波を放つが、悟飯はそれを殴り飛ばして悟林の真上を取ると組んだ拳を叩き込む。

「これは3つ目の恨みだっ!!」

「うわっ!!」

「そしてこれがさっき壊された装置の恨みっ!!!」

即座に魔閃光を放って悟林に直撃させると地面に叩き付けられた悟林が倒れている。

「くっ!!やれば出来るじゃない…!何で普段からこれくらいの力が出せないんだよ…!!」

もう悟飯は悟林からしても理解不能だ。

取り敢えず弟の痛い趣味は姉として全力で矯正しなければなるまい。

「姉さん…今日という今日は許さないぞ…!」

「へええ…何を許さないわけ?お前の痛い趣味を矯正してやってる姉の優しさに感謝してもらいたいね!!見ていて恥ずかしいんだよこの愚弟!!」

「もう、何を言っても無駄なようだね。僕は姉さんを倒してこれからもグレートサイヤマンであり続ける!!」

「神龍でどうにかならないかなぁ…これ…?」

悟林の呟きが聞こえたピッコロが無言で首を横に振り、食べ終えたビルスとウイスですら悟林に同情の視線を寄越している。

「かーめーはーめー…」

「ああもう!!」

悟林もギャリック砲の体勢を取ると気を高めていく。

「おお、あいつら最後の勝負をする気だぞ!!」

「(悟林、負けるんじゃないぞ!!)」

悟空はかめはめ波とギャリック砲の激突にワクワクし、ベジータはかめはめ波に負けたくないのか悟林を応援する。

「波ーーーっ!!」

「ギャリック砲ーーーっ!!」

かめはめ波とギャリック砲が激突し、拮抗するが悟飯は更に気を高めて威力を上げていく。

「悟林さんが本気で押されてる!?」

「そ、そんな馬鹿な…!あんなしょうもないことでの怒りでか…!?」

「悟飯君っ!!行けぇーーーっ!!」

トランクスとピッコロが愕然となり、すっかりグレートサイヤマンに染められてしまったビーデルは悟飯を応援する。

「終わりだーーーっ!!」

「………舐めるなよ?」

どこまでも冷たい声に悟飯は背中に冷たい物が走ったような感覚を覚える。

悟林はギャリック砲を中断して即座にバリヤーを展開することで気功波を受け流し、両腕を広げながら先程よりも遥かに高密度の気を突き出した両手に溜めていく。

「ファイナルフラーーーッシュッ!!!!」

元々気を溜めるのに時間がかかる技をフルチャージを迅速に行うことが出来る悟林が全力で気を溜めるとどうなるのか悟飯は身を以て思い知ることになった。

ファイナルフラッシュの欠点は最大威力を発揮するのに気を溜めるのに時間がかかる。

しかし、その欠点が完全に解消されれば破壊力に関しては気功波でも最上位の威力だ。

悟飯のかめはめ波を飲み込んでそのままファイナルフラッシュに飲み込まれた悟飯に対して更に気を上げて特盛のお代わりをくれてやった。

気功波を止めると黒焦げになった悟飯が倒れ伏していた。

「ありゃあ、負けちまったか」

「はっはっはっ!残念だったな、どうやら俺の技の方がかめはめ波よりも優れていたらしい」

終わったと誰もが思ったのだが、悟林の怒りは全く収まっておらず、気絶している悟飯に追撃の気爆破が繰り出された。

指をクンッと上げるのと同時に悟飯は爆発に巻き込まれ、どこかへと吹っ飛んでしまった。

「ご、悟飯君…」

「ビーデルさん」

「は、はい…」

「今すぐ家にある変身装置を寄越しなさい。破棄するから」

つまり自分が屈してしまえばグレートサイヤマンは完全封印と言うことになる。

しかしいくら実力が天と地…いや、比べること自体が烏滸がましい程の実力差があるのだが、自分は悟飯の妻にしてグレートサイヤマン2号なのだからそんなあっさりと理不尽に屈するわけにはいかない。

「お、お義姉さん!私は脅しには屈し…」

「あのね、ビーデルさん…あまり面倒かけないでね…良い子だから、は や く し な さ い」

強く足踏みし、凄まじい衝撃を撒き散らしながら地面を陥没させて今にも殺しそうな絶対零度の声で脅すとビーデルは変身装置を渡してしまった。

「申し訳ありませんでした」

「懸命な判断だね」

本気で怒っている義姉には勝てず、ビーデルは悟林に屈してしまい、グレートサイヤマンは永久封印されてしまうのであった。 
 

 
後書き
激怒ビーストで挑んだものの、超究極界王拳究極神には敵わなかった悟飯ちゃん。 
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