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ハッピークローバー

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第百三十七話 閉会式が終わってその九

「やっぱりな」
「駄目よね」
「そうだよ、それで働いていたら」
 そうしていたらというと。
「一人で生きていけて家庭だってな」
「持てるわね」
「だからな」 
 それでというのだ。
「そうしたことはな」
「理想は就職してからね」
「やっぱりそうだろ、自分で働いて」
 またこう言った。
「稼いでこそな」
「そうしたことも出来るのね」
「そうだろ、責任持てるしな」
「責任ね」
「そうしたことって子供出来るだろ」 
 鳴海はこの現実を指摘した。
「子供育てないと駄目だろ」
「ゴムあるけれど」
「あってもだよ」
 それでもというのだ。
「出来ることするとな」
「出来るっていうのね」
「そうしたことするんだからな」
 避ける様にしてもというのだ。
「念頭に置かないと駄目だろ」
「そう言われるとね」 
 かな恵も否定出来なかった。
「赤ちゃん作るものでもあるのはね」
「事実だよな」
「そうなのよね」
「赤ちゃんなんてな」
 鳴海は有り得ないという顔と声で言った。
「就職してからでないとな」
「お金稼がないとね」
「とてもな」
 それこそというのだ。
「育てられないだろ」
「そうよね」
「だからだよ」
「そうしたことはなのね」
「就職してからな」
「高校の時はまだね」
「そうだよ、そりゃ俺だってそうしたことに興味あるよ」 
 鳴海は自分でそのことを認めた。
「嘘は言わないよ」
「私もそれはね」
 かな恵も正直に答えた。
「興味あるわ」
「かな恵もか」
「女の子だって興味あるわよ」
「そうなんだな」
「男の子だけじゃなくてね」
「男だけだってな」
「そんな筈ないから」 
 かな恵は飲みつつ真面目な顔で話した。
「そうじゃないと人類滅亡してるでしょ」
「お互い興味ないとな」
「ギリシア神話だってそうでしょ」
「あの神話か」
「男の人の女の人も」
「神様だって」 
 彼等もというのだ。
「もう本能で動いてるでしょ」
「そういえばあの神話に出て来る人間も神様も理性ねえな」
「まさに本能のままにね」
「そうしたことするな」
「かっとなってな」
 ギリシア神話を読んでいると常である、どの人間も神も感情を抑えるということは全くと言っていいいまでに存在しない。 
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